3月23日開催の企業会計基準委員会で、「減価償却に関する税制改正への対応」が議論されました。
「経緯」より。
「平成 27 年 12 月 24 日に閣議決定された「平成 28 年度税制改正の大綱」において、平成 28年 4月 1日以後に取得する建物付属設備及び構築物の税法上の減価償却方法について定率法が廃止され、定額法のみとなることが示された。」
「本件については、会計処理に関する部分を含むため、JICPA では特段のアナウンスメントをする予定はないと聞いている。」
「このような状況の中て、当委員会に対して、従来、いわゆる税法基準により減価償却方法を定めてきた企業が、税制改正に合わせ、平成 28 年 4 月 1 日以後に取得する建物付属設備及び構築物から定額法に変更する場合に、当該減価償却方法の変更が正当な理由に基づく会計方針の変更に該当するか否かについて質問が寄せられている。」
そもそも企業会計基準委員会で何らかの対応をすべきかどうかから議論しています。
その参考として、事務局で関係者に意見聴取をした結果が掲載されています。
「何らかの対応を図るべきとの意見」の代表例。
「建物付属設備及び構築物について、多くの企業が定率法を採用しており、これらの企業については、会計上は定率法を維持する企業と税に合わせ定額法に変更する企業に分かれる。大半の企業は、平成 10 年度税制改正時に JICPA から公表された監査上の取扱いと同様の対応がなされると考えている。税法上の改正に伴う会計処理の変更について正当な理由に基づくものと認められない場合、実務上は大きな混乱が生じる。」
「対応を図ることは困難ではないかとの意見」の代表例。
「一般に、会計と税法は目的が異なるため、税法の変更により会計が影響を受けることは適切ではないと考えられる。」
「何らかの対応を図るべきとの意見」の方が多く紹介されています。
審議資料は、「緊急避難的な措置を講ずることが適切であるか否か」、「(その場合の)前提を設けるべきか」で終わっており、結論は明確には示されていませんが、会議のWebcast(この審議事項だけで40分以上あります)を聞くと、会計士協会副会長も含め、対応すべきという意見が多く、事務局からは4月中に結論が出るように、次回の会議で何らかの提案を行うという趣旨の発言がなされています。(消極的な意見は、学者の委員1人だけでした。学者らしく空気を読まないのは立派です。)
理屈と実務のせめぎ合いというところでしょうか。会計士協会とASBJで譲り合っているうちに、エラーになってしまったという感じもします。
第332回企業会計基準委員会の概要 Webcast(企業会計基準委員会)
この問題は当サイトでもちらっとふれています。
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