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会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

大和ハウス、退職給付債務の割引率変更に伴う特別損失849億円を計上(ロイターより)

大和ハウス、退職給付債務の割引率変更に伴う特別損失849億円を計上

大和ハウス工業が、2016年3月期決算で、退職給付債務の割引率変更に伴って特別損失849億円を計上するという記事。

「割引率は1.7%から0.8%に変更した。」

マイナス金利までいかなくても、低金利の影響は大きいようです。

退職給付に関する特別損失の発生及び平成 28 年3月期業績予想の修正に関するお知らせ(大和ハウス工業)(PDFファイル)

「当社は、退職給付会計における数理計算上の差異について、発生年度に一括処理を行っています。期末日の金利市場の動向を受け、企業年金制度及び退職一時金制度の退職給付債務の算定に用いる割引率を主として1.7%から 0.8%へ変更致しました。これに伴う退職給付債務の増加額(849 億円)を特別損失に計上する見込みのため、平成 28 年3月期の連結業績予想を修正することと致しました。」(プレスリリースより)

特別損失に区分する理由はないように思われます。(後述のLIXILは営業費用処理)

遅延認識の会社は、低金利で退職給付債務が膨らんでも、損失を一挙に計上することはありませんが、包括利益には影響してきます。

中国子会社の不正が問題となったこの会社も、割引率引き下げで費用が増えたようです。

LIXILグループ、6年ぶり最終赤字 16年3月期(日経)

「企業は将来支払う退職一時金や年金について、現時点で用意しておくべき金額を退職給付債務として決算上、認識しておく必要がある。LIXILグは、LIXILなど国内子会社の退職給付債務を見積もる割引率を引き下げ、年金関連費用が膨らんだ。

計算に使う割引率には20年物国債などの利回りを参考にしている。15年3月期に国内外合わせて1.6%としていたが、国内金利の低下を受けて引き下げた。会社側は「開示できない」(IR担当者)としているが、0.6%程度まで下げたとみられる

この結果、年金の積み立て不足が拡大したうえ、年金資産の運用に伴う損失も出た。

一方、水栓金具を手掛ける独子会社グローエでは、割引率のもとにしている「欧米の高格付けの社債利回りが上昇した」(IR担当者)ことで退職給付債務が減少して、利益押し上げ効果となった。」

通期業績予想の修正に関するお知らせ(PDFファイル)(LIXILグループ)

「当通期連結業績の親会社株主に帰属する当期純損益に大きな差異が発生した要因は、国内子会社の退職給付債務に関して数理計算上の差異を即時認識する会計処理を採用しているため、金利低下に伴い営業損失約△100 億円が発生したこと(税引後約△70億円)、当期に計上した関係会社投資関連損失約△280億円に対して損失の追加回復・入金の最大化を目指し、損失の確定を行わず当期での繰延税金資産の計上を見送ったことによる影響△90 億円、不採算事業などにおける減損処理などの一過性影響約△85 億円(税引後約△70 億円)や中国ビル事業(上海美特社・3月末売却済)での税引後損失約△40 億円等の一時的影響のほか、国内新築需要が見通しを下回ったことなどによる売上・営業利益の計画未達の税引後影響約△20 億円によるもの、また海外子会社における退職給付債務の数理計算上の差異約+135 億円(最終純損益+40 億円)などにより予想を下回ったものであります。」(プレスリリースより)

海外子会社分を含めれば、差し引きプラスの影響のようです。

(繰延税金資産の計上を見送った理由が弱いように思われます。恣意的な感じがします。)
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