RIZAPが、負ののれんの計上により、利益をかさ上げしてきたという記事。
「凄まじい勢いで進めてきたM&AがRIZAPグループを表面上、急成長させたのは紛れもない事実だ。12年3月期に8社だったグループ会社は、いまや75社を数える。
このうち18年3月に子会社にしたワンダーコーポレーションを含め、上場企業の買収は9社に上る。マルコ、ぱど、夢展望、ジーンズメイト、堀田丸正、イデアインターナショナル、HAPiNS、SDエンターテイメント――。しかし、これらはいずれも経営不振企業だ。
なぜ、経営不振企業ばかり買収してきたのか。キーワードは「のれん代」だ。のれん代とは、企業の買収で支払った金額と買収先の純資産の差額をいう。
RIZAPが採用している国際財務報告基準では、実際の市場価格より高く買収した場合には、4年目の決算の期首に資産価値を見直し、収益が上がっていなければ減損処理をしなければならない。安く買収した場合は、“負ののれん代”として一括して利益を計上できる。RIZAPグループは、負ののれん代によって利益をかさ上げしてきた。
17年3月期の全社の営業利益は102億円。このうちM&Aによる割安購入益が59億円。営業利益の58%にあたる。18年同期は営業利益136億円のうち割安購入益は74億円。全体の営業利益の54%を占める。負ののれん代が利益をもたらすという会計マジックを使ってきたわけだ。」
負ののれんを利益計上するのは、日本基準も同じでしょう。
その会計処理自体は基準違反ではないのですが、安く買えたということは、株式市場で、純資産(時価ベース)に見合うだけの稼ぎがない会社だと評価されていたということですから、そういう企業を立て直すのは簡単ではないでしょう。
(正ののれんの場合の「4年目の決算の期首に資産価値を見直し...」という箇所については、そんな規定はなかったような...。当然、毎期のれんの減損テストをやるはずです。)
記事によれば、新しい最高執行責任者は、グループのスリム化に取り組むそうです。
「「たくさん買収した子会社には、当然ながらまだまだ改善の余地がある。大きく可能性のある会社を伸ばすのと、どうしようもない会社の赤字を止めるのが私の仕事」
8月13日、都内で開いた決算説明会で松本COOはこう説明した。瀬戸健社長兼最高経営責任者(CEO)は「松本氏の発言は子会社の売却を意味する」と、M&A一辺倒の路線の転換を示唆した。」
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