「テラ」(ジャスダック)の業務提携先だった「セネジェニックス・ジャパン」元代表取締役らが、金融商品取引法違反(偽計)などの疑いで逮捕されたという記事。インサイダー取引だけでなく、虚偽の情報を流布させたことについても、ようやく本格的に調べるということなのでしょう。
「捜査関係者によると、2人は2020年10月、テラが第三者割当増資を行ってセネ社から資金調達すると発表した際に、セネ社に元手となる資金を提供する飲食店経営会社(豊島区)に75億円超の資金があるとする虚偽の情報を開示し、テラの株価をつり上げようとするなどした疑い。
飲食店経営会社の口座には数十万円しかなかったのに、75億円超の残高があるとする書類を偽造してテラ側に示していたという。」
時系列的には、新型コロナウイルス治療薬共同開発の発表(2020年4月)→株価高騰→開発は実現せず→株価下落→第三者割当増資発表(2020年10月)→株価持ち直し、という流れだったそうです。
資金提供者に数十万円しかなかったとすると、増資は実現性がなかったということになりますが、そもそもの治療薬開発の方はどうだったのでしょう。
医療ベンチャーめぐりうその資料提出した疑い 株価つり上げ目的か(朝日)
「警視庁捜査2課によると、××容疑者らはテラ社が第三者割当増資をすると発表した2020年10月、セネ社がテラ社に協力する資金としてトレド社から約25億円を調達する際、トレド社の口座に約75億円の資金があるという虚偽の資料をテラ社に提出、株価をつり上げようとしたなどの疑いがある。」
コロナ新薬開発 株価上昇狙い虚偽情報…医療関連会社の元役員らを逮捕 警視庁(東京)
「虚偽情報を公表するため改ざんした預金通帳のデータをテラに送信したなどとして、私電磁的記録不正作出・同供用の疑いで、飲食店経営「トレド」役員の××××容疑者(76)=川崎市中原区=と、投資会社役員の××××容疑者(49)=千代田区=も逮捕した。」
新型コロナ治療薬開発計画の経緯を少し詳しく書いています。
↓
株価操作目的でうそ発表か 医療ベンチャー提携先元役員ら逮捕(NHK)
「「テラ」が、新型コロナウイルスの治療薬開発を進めていると発表していたメキシコのイダルゴ州では、おととし6月、「テラ」の業務提携先の「セネジェニックス・ジャパン」と、オマル・ファヤド州知事の共同会見も開かれました。
知事はその翌月、「メキシコ、日本など世界各国で命を救うことが出来ればと期待している。州を代表して日本の人々に深く感謝したい」などと、新薬開発に期待を寄せるビデオメッセージをSNSに投稿していました。
「テラ」はその後、イダルゴ州でメキシコの子会社が、薬事承認を取得したと発表しましたが、去年8月にテラが公表した社内調査報告書はメキシコで州政府が薬事承認を行うという制度は存在しなかったとしています。
NHKは、ファヤド州知事に取材を申し込みましたが、「この件については、企業側のみが対外的に説明できることになっている」として、コメントは得られませんでした。」
オバマ元大統領や鳩山元首相の名前まで使っていたそうです(オバマ元大統領の財団は関与を否定)。メキシコの州知事からメッセージをもらうことぐらいは簡単だったのでしょう。
最近の「企業会計」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
2000年
人気記事