学校法人森友学園をめぐる国有地不正売却問題で、大阪府豊中市議や弁護士らが近畿財務局を背任容疑で告発するという記事。
「小学校用地として大阪府豊中市の国有地を格安で取得した学校法人「森友学園」を巡る一連の疑惑について、同市議や弁護士らが11日、真相究明を求める集会を市内で開いた。主催者側は土地の売却交渉に当たった財務省近畿財務局を、近く背任容疑で大阪地検に告発する方針を表明した。」
「告発は今月22日を予定しており、被告発人は近畿財務局の「氏名不詳」とする予定。「著しく低い価格と知りながら、学園に利益を図り、国に損害を与える目的で売り渡した」として、背任行為に当たると主張する。」
これだけ不自然な取引なのに、財務省はガバナンス不在で自分たちでは調べないといっているわけですから、検察に頼るのもしかたがないでしょう。
森友学園、財務省の「交渉記録は残っていない」は本当か(ダイヤモンドオンライン)
「国有財産は国民の財産だ。火の車の財政を抱える財務省は切り売りして収入を確保しようと必死だ。少しでもいい値段で売る。それが役人の務めだろう。ところが大阪府の森友学園の一件には唖然とさせられた。
評価9億5600万円の土地が1億3400万円で払い下げられた。85%の値引き。
交渉経過を示す文書は「残されていない」(佐川宣寿理財局長)という。ところが、ある財務省OBは一笑に付す。「文書がないなどありえない」と。財務省は重要文書は「私的メモ」として公文書から外して保管している、というのである。一連の経過は、近畿財務局や本省理財局の担当者の手元にあるはず、というのだ。
それにしても今回の事件で財務省の動きは不可解だ。トンデモ売却の実現は、財務官僚の手引きなしにできるものではない。...」
「財務省の行政文書管理規則は保存期間1年未満、保存期間は事案の終了までだという。2016年6月の売買契約締結をもって保存期間は終了した、文書は残っていない、というのだ。
この答弁に、財務省の文書管理に詳しいOBは、私の取材にこう語った。
「交渉記録を残しておかないとあとで問題になった時、困る。行政経験の積み上げという面からも資料を残すことは大事だ」
ただ外部から覗かれるのは困る、というのが財務省の基本的な立場である。決裁文書などは公文書として保管するが、経過や政治家など外部対応などが詳細に書かれた文書は「担当者の私的メモ」とする。情報公開の対象から外すための工作である。
「私的メモ」といっても担当者個人が持っているのではない。関係者が共有できるファイルになっている。取り扱い区分は「私物」なので、捨てたり焼却しても法に触れない、という便利な扱いだ。
佐川局長は「交渉記録はない」「保存期間は終了している」と強調するが、「廃棄した」とは言っていない。
文書はまだ残っているのだろう。本省も財務局も担当者は毎年のように変わる。いま問題が紛糾しているのだから、財務省にとって当時を知る大事な文書のはずだ。」
デジタルフォレンジック技術を使って、担当者らのパソコンや電子メールを調べるなどすれば、残されていないはずの文書も復元できるのでは。
監査事務所への当局の検査では、文書化がなされていなければ、手続はやっていないとみなされるそうです。同様に、財務局が交渉記録文書を残していないとすれば、適切な手続を行っていないとみなすべきでしょう。
野党4党 森友学園理事長らの参考人招致要求を確認(NHK)
「...森友学園の籠池泰典理事長や、国有地を売却した当時、財務省で理財局長を務めていた迫田国税庁長官ら、関係者6人を参考人として招致し、衆議院予算委員会で審議するよう、与党側に求めていくことを確認しました。」
建設会社をつれてゴミが埋まっていると説明させれば、相続税評価額も9割引してもらえるのでしょうか。
麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要(平成29年3月3日)(金融庁)
「代議士という仕事をやっていれば、その地域にあって、その地域のいろいろな国有地の払い下げとか、いろいろな陳情が来る、それを聞かなければ代議士というのは何のためにいるのだか、いろいろな話は土地に限らずいろいろきますから、そういう話を聞く。そしてそれを近畿財務局か、大阪航空局かにつないでやる、これは普通のことであって、別にそれをするのが仕事の1つなのだと思いますので、そのことに関しては別に言うことは、感じません。この土地がどうして安くなっていたかというのは、地下にこれまでの経緯から沼地みたいになっていて、物がいっぱい捨ててあったので、それがどんどん出てくれば、当然その土地の値段が安くなる、当然のことなのだと思います。それをきちんと正当に評価して、不動産鑑定士等も入れて評価した額というので出てくるのではないでしょうか。その手続きに関して瑕疵はなかったと思いますから。特に私共として、財務省としては近畿財務局と大阪航空局との間にでき上がった話であれば、それに対して、その手続きに瑕疵がなければ、私共としては、それを承認するという立場です。」
記録が残っていなければ、手続に瑕疵があるかどうかはわからないのでは。
森友学園問題、不動産のプロはどう見たか
渦中の現場で見えた「不自然な事実」とは?(東洋経済)
第2の森友疑惑 安倍首相“お友達”大学に公有地36億円を無償譲渡(週刊朝日)
(補足)
森友学園問題の真相は財務省による「忖度」ではないか(ダイヤモンドオンライン)
たぶんこの解説記事の見方が当たっているのでしょう。
「そうすると、誰が関与して森友学園の国有地取得が実現したのかだが、基本的には政治家は誰も「口利き」はしていないのではないだろうか。財務省理財局が、籠池理事長の直談判を自らの判断で受け入れてしまったのだ。要は、籠池理事長が安倍首相と「近い関係にある」と思い、安倍首相の意向を「忖度」して、理財局の判断だけで話を通してしまったのではないだろうか。
これも一般論から入りたいと思うが、日本社会では、「うるさい人」がやってきたら、いちいち理屈で抵抗しないで、できるだけ触らない、関わらないということで話を通してしまうということがよくある。まして、権力を持つ人がバックにいるとなれば、なおさらである。
籠池理事長が財務省理財局に直接乗り込んできて、「安倍首相がバックにいる」とか、あることないことを言って圧力をかけたことは容易に想像できる。理財局からすれば、本当に首相がバックにいるのかどうかはわからない。しかし、杓子定規に断った後で、本当に首相が出てきたら面倒な話になってしまう。
麻生財務相が国会で「適切に処理した」と再三答弁しているように、国有地の売却自体は、財務省理財局の権限でできるもので、違法ではないのだろう。だから首相などに確認することもなく、通したということだろうか。それならば、至って「日本的な話」だということになる。」
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