会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

奇異なる監査報告書 九州親和Hの監査報告

奇異なる監査報告書 九州親和Hの監査報告(スクープヒットマン・マサが斬る)

九州親和ホールディングスの2007年3月期の監査報告書を取り上げた記事。

5月11日付の会社法監査の監査報告が無限定適正(後発事象の追記情報付き)であったのに、6月28日付の監査報告書が意見不表明となったことを問題視しています。EDINETをみてみると、たしかにそのような監査報告書になっています。

記事では、5月2日時点で福岡Fグループによる支援が公表されたのだから、会社法監査報告書発行の時点では、意見不表明の報告書が出るはずだという趣旨のことをいっています。しかし、会社法の監査報告書には後発事象の追記情報は付されているので、その後不表明に変更せざるを得ないような状況の変化があったと解釈せざるを得ません。

問題点として挙げられているもう一つの点は、証取法監査での意見不表明が、株主総会後に明らかになったことです。しかし、証取法の監査報告は定時株主総会の後に行われるというのが慣行なので、これはしょうがありません(会計監査人が株主総会に出席して報告するという手段もありますが)。会計基準の変更により、利益処分計算書が財務諸表から外れ、監査の対象外となったので、本来であれば、証取法の監査報告書は監査手続完了後であれば株主総会前の発行でもいいはずですが、(100%かどうかはわかりませんが)なぜか総会後の発行になっています。

もっとも、監査報告書が早い日付でも、有価証券報告書の提出が株主総会後であれば、監査結果が投資家に開示されるのは総会後になってしまうので、株主にとって役に立たないのは同じかもしれません。いずれにしても、決算発表の早期化が進んでいるのに、証取法監査の結果の開示が株主総会の日付に拘束されるのは、制度的な欠陥です。
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