上場会社の監査人の交代が多いという解説記事。目新しい情報はなさそうです。
「上場企業を担当する監査法人の交代が今年も5月まででわかったものだけで120件近く。株主総会が集中する今月下旬までには最終的に130件に迫りそうだ。」
最近は、監査法人側から契約打ち切りを企業側に通告するケースが増えているが、その背景には監査法人を取り巻く環境の変化があると言っています。
「ある監査法人の代表はこう話す。
「2011年のオリンパス、2015年の東芝という2つの大企業による不正会計問題の発覚で、金融庁は監査法人に対する不信感を強めた。そのため、指導監督などの締め付けがどんどん厳しくなっている。監査法人が調査をしなければいけない項目が増え、業務量が年々増加している。これが上場企業との契約の判断に大きな影響を与えている」
金融庁は監査法人最大手の新日本監査法人が47年間も東芝を担当していて、大規模な不正会計を見逃した失態を踏まえ、不正の原因を「癒着」ととらえた。
東芝不正会計事件が明るみになった直後の15年秋、『会計監査のあり方に関する懇談会』を設置し、これまでの監査のあり方を見直す方針を明らかにした。監査法人を一定期間ごとに強制的に交代させて癒着を防ぐ「ローテーション制度」をいずれは導入したいという考えのようだ。」
協会のレビューも厳しくなっているそうです。
「ある公認会計士によると、品質管理レビューが急に厳しくなり、業務負担も増えたという。
「不正会計はともかく、現金や借入金などの勘定項目をチェックする仕訳テストや、過去の2年分の財務諸表と突き合わせて調べるバックテストのような細かい監査は、協会の担当者もお互い公認会計士なので、負担を考慮して大目に見てくれていた。だがいまは監査をきちんとしたことを第三者に見せるための文書を、新たに大量に作らなければいけなくなった」
また大手の監査法人の会計士は「自社が会計士に義務付ける監査項目の数が増えて、煩雑度が増した。(監査法人の)内部監査室の発言力も強まっている。会計士が判断する裁量はほぼなくなっている」と語る。」
(仕訳テストやバックテストの意味がちょっと違うような気もしますが...。また、金融庁による検査にふれていないのはなぜでしょう。)
結論としては...
「上場企業と監査法人との間に生じた深い溝は、日本企業が欧米並みのコンプライアンスを備えるために避けて通れない道なのかもしれない。
だが、金融庁が東芝事件などの「あつものに懲りてなますを吹く」ように、企業の経営実態を考慮しないまま、「理想」を性急に実現させようとしていることが、混乱を大きくしていることはないのか。」
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