ソフトバンクグループ、非公開の投資ファンドソフトバンク・ビジョン・ファンド(総額1,000億米ドル(約10兆円)規模とするのを目標としている)、最近買収を発表したフォートレス社(ファンド・マネジャー会社)の3者間での利益相反問題を取り上げた論説記事。
まず、ソフトバンクとソフトバンク・ビジョン・ファンドの利益相反について。
「ビジョン・ファンドが目指す「テクノロジー企業への投資」はソフトバンク自体の主要な会社目的でもある。2013年以来、かつて主業だった通信事業と並行して、孫氏は4兆円以上をかけて「投資部門」という位置づけで数十社の情報産業関連のテクノロジー企業を買い集めてきた。ビジョン・ファンドの同業者はすでにソフトバンクグループ自体の中に含まれている。
さて、孫氏が宝物、例えば次のアップル社の卵に目をつけたとしよう。ソフトバンクグループ自体にそれを買わせるか?あるいはビジョン・ファンドに組み入れるか?これは完全な板挟みだ。もしその卵をソフトバンクグループに入れて、後にその卵から白鳥が生まれたら、PIFやファンドの他の投資家から苦情が来るだろうし、逆もまたしかりだ。」
「ビジョン・ファンドの誕生を発表したプレスリリースによると、ソフトバンクグループはファンドの「投資先企業との提携を通じて当社のグローバル成長戦略を加速させることを目的」としている。...
しかし、ファンドの立場から考えるとソフトバンクグループにこのようなアクセスを提供することは必ずしも有利ではない。ソフトバンクグループ以外の第三者との提携の方が有利かもしれないし、提携関係の経済条件にもよる。ソフトバンクグループはまさに利益相反の立場にいるので、ソフトバンクグループに提携関係の有無、経済条件の判断を委ねることは、ファンドの他の投資家には不利益なものとなる。」
フォートレスとの関係について。
「現在フォートレスは機関投資家である顧客から700億米ドルを預かって、会社の買収をして資金を運用し、収入は顧客から受け取る手数料で得ている。フォートレスは投資顧問として、顧客の利益を最優先にして、顧客を平等に取り扱う法律上の義務を負っている。」
「フォートレスが買収後にある「卵」に目をつけたとしよう。同じ「テクノロジー企業」への投資を目的とする三者の顧客(すなわち、既存客、ソフトバンクグループ、ビジョン・ファンド)のどの口座にその卵を入れるか?これもまた完全な板挟みだ。三者の顧客のいずれかの口座に入れると、他方の顧客からクレームがでる。だからこそファンド・マネジャーは複数のファンドを運営する場合、それぞれのファンドの投資目的を個別にはっきりさせて、ファンド間でバッティングが起きないよう気を付けるのだ。複数のファンドをきれいに目的別に分類しないと、顧客または証券取引担当当局(米国ではSEC)に法的責任を追及されるリスクが高まる。」
ソフトバンクグループによる、フォートレス・インベストメント・グループの33億米ドルでの買収について(ソフトバンクグループ)
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