金融庁は「企業内容等の開示に関する内閣府令(案)」等を、20010年2月12日に公表しました。
改正内容のうち、一般企業に関係のあるのは、有報等における「コーポレート・ガバナンスの状況」における開示内容の追加と、臨時報告書提出事由の追加です。これらについては、2010年(平成22年)3月31日に終了する事業年度に係る有価証券報告書等から適用予定です。(つまり、大部分の企業にとっては今期から適用です。)
以下、金融庁のプレスリリースより。
「有価証券報告書等の「コーポレート・ガバナンスの状況」等において、以下の事項の開示を義務付けます。
(1)コーポレート・ガバナンス体制について
1) コーポレート・ガバナンス体制の概要・当該体制を採用する理由
2) 財務及び会計に関する相当程度の知見を有する監査役又は監査委員の有無
3) 社外取締役・社外監査役と内部統制部門との連携
4) 社外取締役・社外監査役の設置状況・設置していない場合の理由 等
(2)役員報酬
1)役員(報酬等の額が1億円以上である者に限ることができる。)ごとの報酬等の種類別(金銭報酬、ストックオプション、賞与、退職慰労金等)の額
2)役員の役職ごとの報酬等の種類別の額
3)報酬等の額又はその算定方法に係る決定方針の内容及び決定方法 等
(3)株式保有の状況
1)純投資目的以外の目的で保有する株式で、イ又はロのいずれかに該当するものの銘柄、株式数、保有目的、貸借対照表計上額
イ 当期又は前期の貸借対照表計上額が資本金の1%を超える場合
ロ 貸借対照表計上額の上位30銘柄に該当する場合
2) 提出会社が持株会社である場合における主要な連結子会社(提出会社と連結子会社のうち投資株式計上額が最も大きい連結子会社)で一定の要件を満たすものの株式について1)と同様の事項
3)純投資目的で保有する株式の上場・非上場別の当期・前期の貸借対照表計上額の合計額 等
(4)議決権行使結果について
臨時報告書において、株主総会における議案ごとの議決権行使の結果(得票数等)を開示。」
具体的な改正箇所は、第二号様式の(記載上の注意)「 コーポレート・ガバナンスの状況」(有報の様式でも準用)などです。
報道では、役員報酬の個別開示が中心的に取り上げられていますが、、会計関連では株式保有の状況」も少し面倒かもしれません。保有している(=貸借対照表に載っている)株式だけでよく、オフバランスしているが実質的に議決権は握っているという場合は開示しなくてもよいということになるのでしょうか。また、純投資とそうでないものの区別(どこかに定義が書いてあるのでしょうか)や、子会社で保有している株式の扱い(案では持株会社でなければ無視してよいようですが)なども気になります。
「財務及び会計に関する相当程度の知見を有する監査役又は監査委員の有無」を記載させるということで、今後、監査法人を退職したパートナーが監査役に就任するケースが増えるかもしれませんが、利害関係に関する法令違反とならないよう注意してほしいものです。(法令違反でなくても、監査法人をやめてすぐに出身監査法人のクライアントの役員になるのはどうかと思いますが・・・。)
1億円以上の役員報酬、個人ごとに公開へ 金融庁
1億円超す役員報酬、開示義務化へ…金融庁
最近の「金融庁」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
2000年
人気記事