会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

1200億円課税取り消し、IBM側の勝訴確定 最高裁(朝日より)

1200億円課税取り消し、IBM側の勝訴確定 最高裁

日本IBMの持ち株会社(日本法人)の国に対する税務訴訟が、IBM側の勝訴で確定したという記事。

「「日本アイ・ビー・エム」(東京都中央区、日本IBM)グループが、国から受けた課税処分の取り消しを求めた訴訟で、約1200億円の法人税課税を取り消した一、二審判決が確定した。」

「昨年3月の二審・東京高裁判決によると、日本IBMの持ち株会社が2002年、米IBM側から日本IBMの全株を購入し、この株を日本IBMに複数回に分けて売却した。この売買で出た約4千億円の損失を、連結納税制度に基づいて日本IBMの黒字と相殺。その結果、グループ全体での法人税の納税額がゼロになった。

東京国税局は「課税回避が目的だった」と申告漏れを指摘し、追徴課税したが、二審判決は「通常の取引と違うとはいえない」と判断。課税を取り消した一審・東京地裁判決を支持していた。」

持ち株会社から日本IBMへの日本IBM株売却は、日本IBMからすれば自己株式の取得です。その代金は、みなし配当とそれ以外の部分に分かれますが、みなし配当部分は益金不算入であり、また、譲渡損益はみなし配当を除いた金額で計算されます。日本IBMは利益をため込んでいたので、利益積立金の部分が大きく、持ち株会社の税務上の譲渡損益は大赤字(米IBMからは留保利益の分も込みの値段で購入していたので)となり、それを連結納税で節税に使ったというスキームだったようです(正確には専門的な解説などをご覧ください)。

租税回避だとは思いますが、このくらいは事前に想定して、対応を法令に書いておくべきだったという裁判所の判断なのでしょう。

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この事案のために、税制改正が行われています。

平成22年度税制改正と みなし配当 - EY税理士法人(PDFファイル)

IBM課税 国の敗訴確定 最高裁上告退け(毎日)
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