JPモルガンを「顧客水増し」で騙したフィンテックFrankの悪行
JPモルガンが1億7500万ドルで買収した「フランク(Frank)」というフィンテック企業の創業者が、水増しした顧客リストで、JPモルガンをだましていたという記事。JPモルガンが訴訟を起こしたそうです。
「昨年末に起こされたこの訴訟は、400万人以上の学生がフランクのツールを用い、連邦政府の援助を申請したという「嘘」を、ジャビス(創業者)が売り込んだと主張している。JPモルガンが証拠を求めたところ、彼女は実在しない465万人の学生の個人情報を羅列した偽の名簿を作成したとされる。訴えによると、実際には、当時のフランクの顧客アカウント数は30万件にも満たなかったという。
ジャビスは当初、プライバシーの問題で顧客リストを共有できないと主張して、JPモルガンの調査を拒絶したが、その後、数百万件のアカウントをでっち上げたとされる。」
「訴状によると、ジャビスとアマールらはまず、フランクの社内のエンジニアに偽の顧客リストの作成を依頼したが、彼が拒否したため、「ニューヨーク市近郊の大学のデータサイエンスの教授」に協力を依頼したという。教授は、フランクの顧客のデータを使って、465万件の偽のアカウントを作成し、ジャビスは1万8000ドルを支払ったという。」
逆に、創業者側からも、JPモルガンを訴えているそうです。
この会社の事業は、買収前から、米議会で問題になっていたようです。
「超党派の議員たちは2020年にフランクについて警鐘を鳴らし、連邦取引委員会(FTC)に同社の「欺瞞的行為」を調査し、一時的な禁止命令を出すよう求めていた。「フランクが学生に誤った希望を与え、学生ローンの担当者の業務を混乱させていることを懸念している」と、議員らは述べていた。
「このツールは、学生が資金を得ることを容易にするものではなく、むしろフランクが利益を得るために学生のデータを利用していると思われる」と、議員らは指摘し、フランクはその後、消費者保護局から警告書を受け取っていた。」
JPモルガンのトップも失敗を認めています。
JP Morgan Chase’s chief executive Jamie Dimon admitted that the bank made mistakes in its $175 million acquisition of the student financial aid startup Frank after it launched a lawsuit against its founder Charlie Javice, alleging she had created 4.25 million users to inflate the value of the business.
JPモルガン、顧客数水増しの詐欺被害主張-230億円規模の買収案件(ブルームバーグ)
「同行は昨年12月22日にデラウェア州の連邦地裁に提起した訴訟で、「426万5000人の顧客を持ち、大学生の年齢の市場セグメントに深く関与していると考えた事業に対し、1億7500万ドル(約230億円)を支払った」とした上で、「得た事業は顧客数が30万人未満だった」と指摘した。」
「JPモルガンは、創業者のチャーリー・ジャバイス氏と幹部オリバー・アマー氏が買収手続き完了に向け偽の顧客アカウントを使って同行を欺いたと主張。買収後の調査でこうした手口を明らかにしたという。「不正行為がなければ得られなかった」であろう計2600万ドルをジャバイス、アマー両氏が受け取ったと同行は訴えた。」
創業者側の主張は...
「同氏の弁護士はJPモルガンが適切なデューデリジェンス(資産査定)を実施せずにフランク買収を急いだと主張。同行が自行の学生プライバシー関連法違反から関心をそらそうとしているとも指摘している。」
200億円超の買収なのに、デューデリがいい加減だったのでしょうか。