日本取引所グループが、新規株式公開案件で不適切な事案が相次いでいる問題への対応策を発表したという記事。
「新規公開会社の経営者による不適切な取引について上場審査を強化するほか、IPO企業に対して業績予想の前提条件や根拠の適切な開示を要請する。また、上場予定時期が集中しすぎないよう求める。」
証券会社と監査法人にも注文をつけたそうです。
「斉藤CEOは証券会社について「長い間、外交をしてきて(上場を目指す企業のことを)知っているはず。知らなかったら上場できるはずがない」と指摘した。一方、監査法人については「過去何年間分の財務データを調べていれば、プロであれば(不適切な財務処理は)ある程度わかったと思う。わからないでは済まされない」と述べた。・・・」
最近の新規公開を巡る問題と対応について(日本取引所グループ)
以下のような対応策を示しています(プレスリリースより)。
「1.新規公開会社の経営者による不適切な取引への対応
・経営者の不適切な取引について、上場審査を強化
・上場申請会社の経営者・社外役員等に対して、不適切な取引防止のための啓発セミナーを実施
2.上場直後の業績予想の大幅な修正への対応
・ 上場時に公表される業績予想について、前提条件やその根拠の適切な開示を要請(上場直後に業績予想の修正開示を行う場合には、それらに関する特に丁寧な説明を要求)
3.上場時期の集中への対応
・上場予定時期について、東証における集計及び周知を通じて全体日程を共有し、集中緩和を要請
※ 昨年は、年間計80社のうち28社の上場が12月に集中」
会計士協会会長あての要請文(3月31日付)も公開されています。
「上記対応に際しては、当取引所又は当法人から新規公開会社の監査人たる公認会計士又は監査法人との間で対応状況等について情報交換をさせていただくことも想定しております。」
Macquarie Capital Settles Over Fraudulent IPO(CFO)
こちらは、中国に本拠を置くPuda Coalという新規公開会社の目論見書に虚偽の情報が含まれていることを示すデューデリ報告書を入手していながら、株式公開を引き受けたとして、Macquarie Capitalという証券会社が、米SECから処分を受けたという記事。15百万ドルを支払うほか、損失を被った投資家に補償するための基金を設立するそうです。
The Securities and Exchange Commission on Friday said that Macquarie Capital settled charges for underwriting a public offering for China-based Puda Coal despite obtaining a due diligence report indicating that the company’s offering materials contained false information.
Macquarie, a unit of Australia-based Macquarie Group Ltd., agreed to pay $15 million and also cover the costs of setting up a “fair fund” to compensate investors who suffered losses after purchasing shares in the 2010 public offering.
日本では、新規公開会社の粉飾を見逃した監査人が処分される事例はたまにありますが、証券会社に対する処分例というのはあるのでしょうか。
最近の「企業会計」カテゴリーもっと見る

「不適切会計に関するアンケート」調査 自社の決算書は「信頼性が高い」9割に届かず 会計士任せ、人手不足や規則の頻繁な変更も一因(東京商工リサーチより)
電通グループの25年12月期、3期連続最終赤字に 海外で人員削減(日経より)

会計ソフトのフリー、創業以来初の最終黒字13億円 25年6月期(日経より)

「会計基準の選択に関する基本的な考え方」の開示内容の分析について≪2025年3月決算会社まで≫(東京証券取引所)
香港高裁、華南城に清算命令-資産規模では中国恒大以降で最大(ブルームバーグより)/中国不動産大手「恒大グループ」 株式の上場廃止を発表(NHKより)
創業133年の米コダック、事業停止の危機か(CNNより)
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
2000年
人気記事