世界的に家族企業(同族企業のことでしょう)の研究に関心が高まっているという解説記事。
英米を除くと、大企業でも家族企業が支配的なのだそうです。
「1999年にファイナンスの分野のトップジャーナルである"Journal of Finance" に一本の論文が掲載された。そのタイトルは" Corporate Ownership around the World"であり、タイトルが意味するように世界中の企業の所有形態を明らかにした論文である。
内容はとても単純なものだが、この論文がファイナンスの分野のトップジャーナルに掲載された理由は、その結果が当時としては斬新でインパクトの強いものであったからである。
この論文では世界の27ヵ国を対象にし、各国で規模が大きい企業を20社、そして中間規模の企業10社を選び出し、企業を誰が所有しているのかを考察している。
学術の世界での基本的な考え方は1932年にBerle and Meansが"The separation of ownership and control" という概念を提示して以来(日本語では所有と経営の分離)、企業が大きくなるといずれは所有と経営は分離され、経営はプロの専門経営者が行うようになることを当然のように受け入れてきた。
この論文はその考え方が本当に正しいのかを実際のデータで検証しようと試みたのである。
得られた結果は米国と英国をのぞくと多くの国で所有と経営は分離されておらず、家族か政府が所有している企業が多いということであった。
つまり、学術の世界ではアメリカを標準として考えて研究を進め、所有と経営の分離を当たり前のように受け入れてきたが、実際はアメリカの方が例外であり、世界的にみると所有と経営が分離されていない家族企業が支配的な企業形態であった。」
米国でも家族企業は重要な位置を占めているそうです。
「この論文(2003年発表)のタイトルは"Founding-Family Ownership and Firm Performance: Evidence from the S&P 500"というものであり、家族企業と非家族企業ではどちらの業績が高いのかをアメリカのS&P 500社を対象にして分析をしたものである。
得られた結果はアメリカでも家族企業の数が少なくなく、S&P 500社のうち約3分の1が家族企業であり、さらに家族企業の方が非家族企業より会計の業績(ROA)でみても市場の評価(Tobin's Q)でみても業績が高いというものであった。」
この記事の続き。
「婿養子経営がスゴい!」日本企業40年分のデータ分析でわかった(現代ビジネス)
「日本においては98%の場合が、子供の養子ではなく、大人の養子なのである。このような慣習は上場企業の世界でも活用されている。
最も代表的なケースはスズキ自動車であろう。スズキの場合、創業者以後、2代目から4代目まで全員が娘婿である。
また娘婿ではないけど、鹿島建設もお婿さんをうまく活用している企業の代表格であると言える。上記で挙げた2社以外でも、娘婿を活用している企業は意外に多い。」
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