韓流じゃないんだけどね、
でも常々韓流ドラマは日本の昔のドラマを見ているよう、特に赤いシリーズに代表される大映ドラマみたいだと思っていた。
実際「秋の童話」を見たとき設定とかストーリーが赤いシリーズに似ていて、懐かしいと思っていたら今年に入ってシリーズがCSで再放送されていた。
赤い激流は子供の頃唯一リアルタイムでみた赤いシリーズである。
その後何十年も再放送されなかったので(あっても私が見逃したか)、今回の再放送は結構楽しみにしていた。
子供心に劇中で流れる3曲のクラシック、不気味な緒方拳(死んだあとね)は今も強烈に記憶に残っていたんだけど、犯人だけはきれいさっぱり忘れてたし、そのおかげで最後までハラハラしながら見ることができた。
なんといっても大沢先生演じる宇津井健さんのキャラがアツイ。松岡修造も尻尾巻いて逃げ出すぐらい熱すぎる。
水谷豊演じる敏夫を一流のピアニストにするためにあらゆる困難が立ちはだかろうとそれに向かっていく姿勢は素晴らしいんだけど、あまりに暴走しすぎじゃないか?
それに、人が良すぎるのが災いして、現実的な判断や行動ができない。
弓子が逮捕されたときも警察に「100の証拠があっても弓子がやっていないといってる以上犯人じゃないんです」とか、「敏夫君を信じているから。彼は父親を殺すような人間じゃないんです」とか、情に訴えるばっかりで何一つ物事が前進しないんだよね。だもんで、息子の信一に「お父さんの正しいと思っていることと、世間の法律はちがうんだよ!」と息子にまで言われる始末。
ま、これにたいしても「法律がなんだ!正しいことは正しい」と息子の職業を否定するようなことまで言っちゃうんだけどさ。
ま、大沢先生の窮地は弟の石立鉄男演じる実が実にうまく処理したり、解決してくれるんだけどね。
敏夫の入学、コンクール失格取り消し、兄のクビ回避......
兄を何度も救うこの弟も兄同様情に訴えるやり方なんだけど、兄と違うのは実に口がうまくて、時に一流指揮者としての立場を利用した半ば強迫みたいな手法も使う。でも兄にイライラさせられてるこっちとしては胸がすっとしたなぁ。
「人がいいのもほどがある」ってたぶん実だけじゃなく、信一、敏夫、宮島家の大人たち全員に言われていたであろう大沢先生を要所要所で助けた影のヒーローですな。
大沢先生の息子の信一
昔見たときはひたすら真面目で、お堅いイヤ~な検事だと思ってたけど、今見るとこのドラマの中で唯一まともなキャラじゃないか。 言ってることすべて正しいぞ(ちょっとトゲがあるけど)なのに、敏夫に入れ込みすぎた父のせいで、嘘の供述をさせられたり、殺人犯をかくまう羽目になったり、検事としてのプライドはズタズタ、愛する女性華江も婚約してるのに敏夫に夢中と見てて気の毒だった。
でも、敏夫を信じてからは(父親に半ば脅迫めいた言い方されて仕方なくって感じだったけど) 敏夫にとって強力な味方になったし、Rの女の件で心から敏夫に謝罪してからはひとつになった大沢一家が見られてすごく良かったと思う。
最後は華江ともうまく行きそうな感じだったしね。
主人公の敏夫
天才肌のピアニストだからか、育ちのせいなのか、やることなすこと破天荒すぎる。
無実の罪を着せられて絶望からやけになってるのかもしれないけど、ホントに殺人犯すんじゃないだろーか?とちょっと心配になったくらい。
鉄砲玉みたいな行動にはヒヤヒヤさせられたし、2次予選の直前、絶望して指痛めたり、脱走するとき医者の頭を思いっきり打ち付けたり(やりすぎ~って突っ込みいれた)
いや、まったく大沢先生が体張ってとめてくれなかったらどうなっていたことか.....
宮島一家の人々
前田吟さんの悪役ぶりがなつかしい、赤いシリーズでみたドラマでは悪役しか演じてないんじゃないかな?
「男はつらいよ」シリーズを見始めたのは大人になったからなので、私のイメージはずっと悪い人だった。
この人演じた正彦こそが諸悪の根源で、この人が裏口入学斡旋などしなければ学長があんなことしないですんだのにね。
最後まで敏夫を苦しめていたけど、ラストで大沢先生に思い切り殴られていたので(しかも何発も)許してあげよう、まともな人間になるって改心したようだし。
それよりも明彦のキャラが良かったな。
敏夫に影響されてマザコンから脱しようとしたところ。 最初はぎこちなく「バッバー」っていってけど、それが「ババー」と進化し、最後は「クソババァ」ってなんのためらいもなく言ってて笑った。
家に忍び込む敏夫にはしごを差し出したり、気が弱くて間抜けなんだけど、一生懸命なところが面白かった。
華江
典型的なお嬢様。 今まで自分の周りにはいない、自由奔放な野生的、ピアノも天才的な敏夫に惚れるのはお約束。
脱走犯の敏夫と逃避行したあたりがピークかな
でも敏夫は賢明だったね。自分じゃ幸せにできないことをわかってたもんね。 「オレはピアノと結婚しちまったから」の台詞良かったなぁ。 仲直りした信一に託すって展開も納得。
最後に田代清司の緒方拳さん
私の大好きな俳優さんなんだけど、憎たらしいくらいの悪役ぶり、あの高笑いは耳についてはなれないよ。
拳さんはこの頃のギラギラしたときの映画や、ドラマが一番好きです。
大沢一家を順繰りに逮捕していく刑事のなかで、加藤武さんを見つけたときは「等々力警部がいた!」って喜んじゃったよ。
しかも公園での現場検証で何気なく「よし、わかった!」って言ってるし~
突っ込みどころはありすぎて.....
1.田代清司が殺されたときあの短い時間に3人もの人間が現場に出入りしてたこと、大沢先生の供述だと30秒くらいって言ってなかった? この短い時間に犯人8箇所めった刺し→逃亡→Rの女登場ボーゼン→西条登場、女とすれ違う→灯油かけ放火、逃亡。
30秒で可能な出来事だろうか???
2.敏夫が死刑になった後なんで控訴しなかった?(弁護士はするって言ってた)
3.で、再逮捕されてから死刑までの期間も短すぎる(東北刑務所移送)
4.大沢先生の精密再検査のスピードが速すぎる(しかも結果がでるのも)
で、その再検査で西条医師の医療ミスがわかったんだけど「インターンでもしない初歩的ミス」って........大学病院の教授なのに、ありえなくない?
5.敏夫親子の血液型、RHヌルって、2000万人に一人って.....笑うしかなかった。
6.西条医師はRの女をなぜ知ってたのか、真犯人をなぜ知ってたのか? 学長がこっそり入院中に話したとしても、学長はなぜ、西条が現場にいて灯油掛けたのを知ってたのか?
7.内藤武敏さん、ナレーションであおりまくり
「恐ろしい事件がおこる」だの「清司が死体となって...」とか予告でネタバレしてた。
8.殺人事件が起きた12話のタイトル「今日は夫が殺される日」ってなんかほのぼのしすぎのイメージじゃない?
9.散々「証拠なんて....」って言ってた大沢先生が西条が怪しいとわかったときはやる敏夫に「証拠を見つけなければ」と諭してなだめていたところ、あ、まともなこと言ってるってちょっとホっとした。 当たり前なんだけどさぁ。
何だかんだ書いたけど、面白かったのは事実です。 演じてる役者さんが宇津井さんばかりじゃなくみんなアツイ演技で、しかもうまいからなんか引き込まれちゃうんだよね。
多少強引でもありえない展開でも役者の器量で納得させてしまうというか.....
散々大沢先生のことをけなしてしまったけど、彼の熱い思いや信念が実や、信一などのいわゆる「事態を打開してくれそう人たち」を動かした原因なんだろうし。
特に激流は春に見た「疑惑」より、数段おもしろく、ミステリーの要素も満載で赤いシリーズ最高の視聴率だったのもうなずける。
流れるクラシックも選曲がいいのか見事にドラマを盛り上げていたしね。
来週からは「赤い絆」かぁ。
百恵ちゃん戻ってくるけどどうしようかな?