2013年の夏、初めて東京での個展を終えて少し脱力していたころに繁華街の猫達に出会いました。
繁華街の真ん中の小さな神社で猫の写真を撮っていたときに居合わせたロシア人に話しかけられ、猫の居場所をあちこち案内してもらったのが切っ掛けでした。
彼女の名前はアンナ、でも勤めているお店ではディアナという名で、震災の後に関東から大阪に越してきて、ブルーグレーの猫を飼っていてもう一匹同じ毛色の子を飼いたくて、大阪なら放射能は大丈夫かなとそんな話をしながら、繁華街の隙間や裏通りを巡りました。
教えてもらった場所以外にも少しづつ猫の痕跡を辿り、人気の消えた街のあちこちで猫を見つける度に嬉しくなり、100回どころではなく同じ街へ繰り返し撮りに行きましたが、いまだ彼女とは再会できていません。
彼女が教えてくれた駐車場はコンビニに変わり、いつもの場所に軒を借りていたホームレスのおじさんは飼っていた猫たちとともに姿を消しました。古い建物はビルに建て替わり、街に響く声は北京語が随分と増えました。ビルとビルの間の隙間には板塀が打ち付けられ10cmほどの隙間さえも塞ぎ、猫が通ることも出来なくなっています。
人も街も猫も移り変わりが激しいこの場所で、もうしばらくは彼らの姿を追いたいと思っています。
皆様、ご都合付きましたら新宿まで是非お越しください。コニカミノルタプラザ ギャラリーAでお待ちしております。
河井蓬写真展「Downtown Cats」 2016.09.27 - 10.07
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