Quelque chose?

医療と向き合いながら、毎日少しずつ何かを。

"今後の人生の基本方針"

2019-04-03 | 日記
「プレジデント」という雑誌をパラパラと見ていたら、「新刊書評」として、東京工芸大学教授の大島武先生(1963年生まれ)という方が、布施克彦著「65歳からでは遅すぎる!!」(海竜社)の紹介をなさっていた。
大島先生は私とほぼ同年代であるわけだが、書評の冒頭にご自分のことについて
「生物として下り坂の自分を感じる」
と述べられている。
まあそうですよねえ。不肖私なども、昨年腰椎を傷めた時には下り坂を転げ落ちた感じでしたし、以後もまたいつ落ちるかと崖っぷちを歩いている気分になるのが、昭和半ば生まれあたりの年代かと思う。
紹介されているこの本を私は読んでいないけれども、著者の布施さんという方は元三菱商事勤務とのことなので、ビジネス視点からの中高年の生き方指南であろうか。
「仮に70歳まで働ける幸運に恵まれたとしても、その後15年の悠々自適生活は長すぎると著者は説く」
で、
「50代半ばでは今後の人生の基本方針を決める」
のだそうだ。
基本方針。…どうしよう。
不惑をとうに過ぎても、迷いに迷っている自分。やってみたいことがいろいろあって、基本方針が定まっていない。そろそろ、まずは君が落ち着け、と言われるのか。いやそれどこかで聞いたセリフだし。
 
その他、書籍の内容には、夫婦関係の再構築(男性も家事をすることとか⁈)、信仰心について、などが書かれているらしい。書評に「40歳以上の企業勤めの人には、ぜひ読んでもらいたい一冊だ」とあり、プレジデントの読者層からして、企業勤めの、しかも男性向けの内容なのであろうかと思える。違ったらすみません。
折しも春。
多くの人は、社会的または精神的に新たなスタートラインに立ち、これからの人生を始める季節だ。
私だって、今朝電車の中で「大人の習い事 ランキング」とか「カルチャーセンター 東京」とかをググるくらいにはヤル気になっている。って何をするのか>自分
しかしふと思うに、
「悠々自適生活」を考えるためには、70代になった時に、自分が思うように動けるだけの心身の健康状態が保たれていることが、まず前提となる。
老後も働くとか、夫婦関係の再構築とか、趣味で蕎麦打ちとかなんでもいいのだけれど、そういう生活を思い描くためには、
男性女性それ以外…にかかわらず、今日から食事、運動、睡眠、それに人付き合いを大切にし、できる範囲でアタマと身体を動かし、定期的に健診を受けて、健診に引っかかったら対応する、まずはそこからだ。タバコはやめるべし。
そういう観点から、「65歳からでは遅すぎる(場合もある)」と私も思う。
人間、いつだって今日から始められる。そして人生、坂を下っても花は咲くのだ。

時代の晦日

2019-04-02 | 日記

昨日、新元号が発表された。

「令和」

Rが使われたのは意外だったけれど、概ね日本国内、皆がこの新元号を受け入れて、何か少しわくわくした気分のように見える。

来月一日は改元、すなわち新時代の始まりということになる。

桜咲く中で告げられた、新しい時間の始まり。東京にいれば来年のオリンピックに向けて、街も刻々と変化しているのを体感する。一人一人の中で「次に向かっていく」気分が醸成されているように思える。

「次」とはどんなものか、何を「次」にすべきか、模糊とした晴れ間の中にいながら。

 

赤坂見附に立ち寄ったら、ビックカメラ店頭に、こんな看板が出されていた。

「令和おめでとう

平成ありがとう」

天皇崩御によって改元がなされた平成のときにはなかった、お祝い気分。

次の時代、令和が、良い時代となりますように。

ともかくも、時代の晦日に向かう日々である。

【動物実験】エクオールは関節炎を抑制する

2019-04-01 | 医学・医療・健康
たまたま見つけた論文。
Lin IC et al
Equol suppresses inflammatory response and bone erosion due to rheumatoid arthritis in mice.
J Nutr Biochem. 2016 Jun;32:101-6. doi: 10.1016/j.jnutbio.2016.02.012. Epub 2016 Mar 21.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27142742
イソフラボンの一種、ダイゼインが腸内細菌で代謝されることによってできる「エクオール」は、これまでに骨粗鬆症の予防や抗酸化作用などを示すことが報告されており、細胞実験のレベルでは炎症により生ずるTNFを低下させるという報告もありますが、関節リウマチへの効果は不明です。
今回、九州大学のグループから、コラーゲン関節炎モデルマウスを用いて、エクオールの関節炎に対する効果をみたという論文があったので見てみました。
コラーゲン投与による関節炎マウス(ヒトの関節リウマチのモデルマウス)と、対照群のマウスを用いて、それぞれにエクオール溶液または対照(溶媒のみ;DMSO)を1日1回投与(day 26-60)、関節炎スコアと骨密度を測定し、炎症性サイトカインや骨代謝に関わる遺伝子の発現をPCR法によって解析したというものです。
その結果、
エクオール投与マウスでは、対照マウスと比べて、コラーゲン投与によって起こる関節炎の発症が遅く(関節炎症状発症まで、対照マウスでは37.2日、エクオール投与マウスでは46.5日)、また関節炎の重症度(関節炎スコア)も軽度でした。
骨密度について:対照マウスは関節炎を起こしていないマウスと比べて骨密度が低下していたのに対し、エクオールを投与したマウスでは関節炎のないマウスと同程度以上の骨密度が保たれていたということです。
また、今回の関節炎モデルでは、血清中の炎症性サイトカインは検出されなかったとのことですが、病変部でのIL-6の発現はエクオール投与マウスでやや低下していました。そのほか、炎症や骨・軟骨破壊に関わる遺伝子についても解析されていました。
あくまでも今回は特殊なモデルを用いた動物実験であり、使用されている「エクオール」はヒトに対して販売されているものとは違う試薬ですので、これをもって「エクオールを飲むとリウマチに効く!」というものではありません。ですが、イソフラボンによる骨代謝調節と、リウマチ病態への関与の可能性については、今後も興味を持って見ていきたいと思います。