ホーム最終戦、“鬼門”浦和のジンクス破れずも、最終戦の直接対決に一縷の望み。
リーグ優勝を叶えるためには是が非でも勝利して最終節の横浜F・マリノスとの直接対決に持ち込みたかったFC東京。ACLは準優勝と好成績を挙げたものの今季リーグ戦は13位で残留を確定させていない浦和。それぞれの目標を達成するために共に落とせない一戦は、FC東京が“2004年9月以降ホームの味スタで浦和に未勝利”というジンクスをまたしても打ち破れず。横浜FMが川崎に4-1で勝利したゆえ、FC東京が優勝するためには、横浜FMとの直接対決で4-0以上の勝利が必要という厳しい状況に追い込まれた。
序盤はFC東京が浦和陣内を攻め立てる。5分のディエゴ・オリヴェイラ、6分のディエゴ・オリヴェイラのシュートは浦和GK・西川の好セーヴで阻まれ、8分にも自陣からのカウンターから永井へスルーパスが渡るもシュートへ繋げず。10分には右CKからニアで永井がそらしたボールを高萩がヘディングするも枠左、16分には永井が速攻で得点機を作るもシュートは上手くヒットせず。攻撃を畳み掛けるもゴールに届かない。結果的には、この多くの先制機を活かせなかったことが、試合を苦しくしてしまうことになる。
ディエゴ・オリヴェイラが山中との接触で負傷したのが悪い予兆だったのか、FC東京は39分、自陣でのセーフティなクリアを怠ったのを機に浦和にボールを奪われ、CKを与えると、その流れから山中が中央からブレ球ミドル。何とかGK・林が弾いたものの、目の前にこぼれたボールをマルティノスが叩きつけるようなシュートをゴールに蹴り込んで、浦和が先制。それまでまともなシュートがなく、興梠も中盤へ降りる場面が多く、前線でそれほど目立つことがないなど、攻撃としては脅威を与えられなかった浦和だったが、好機を一発で決めてみせた。
さらに、厳しい状況がFC東京にのしかかる。42分、山中との交錯で負傷しながらもピッチに戻ったディエゴ・オリヴェイラだったが、プレイ続行不能で、前半から田川に交代を余儀なくされる。すると、浦和はようやくマルティノス、エヴェルトン、柏木らの連動が生まれ、興梠も中盤で落とした後に前線のスペースへ上がって“タメ”を作るなど“らしさ”を出し始める。前半はFC東京はシュート10(枠内8)、浦和はシュート3(枠内3)と数字上はFC東京が攻勢を強めたが、そこで決め切れなかったことが試合を非常に苦しくしてしまった。
これが相性の悪さなのか、ジンクスなのか。後半の序盤、小川の浮き球に反応した永井がペナルティエリアへ侵入する際、浦和の鈴木との競り合いで倒された時に右肩を痛めて、57分にナ・サンホと交代。ディエゴ・オリヴェイラ、永井と前線2枚を負傷交代で失うという苦境に立たされてしまう。
それでも、69分、三田の左CKの流れから、森重のフリック気味の浮き球をナ・サンホがシュート、GK・西川が弾いたところを田川がハーフボレーを叩き込み、FC東京が同点に追いついた。
優勝に向けて、残留確定に向けて、それぞれが是が非でも勝ち点3を奪いたいなかで、浦和は橋岡、関根、長澤、FC東京はユ・インスをピッチに投入。興梠はマルティノスとの連係で好機を生み出そうとするも、マルティノスも疲労が見えて精度を欠く場面が露見。FC東京もサイドからペナルティエリアへ進出を図り、ゴールへ迫るも、前半からのスタートダッシュで決められなかった肉体的、精神的疲労も見え、浦和のブロックを打ち破れず。FC東京は優勝には大きなハンディを背負い、浦和も今節で残留を決められないまま、タイムアップを迎えた。
FC東京はアウェイ8連戦から帰還してのホーム2戦で未勝利、勝ち点2しか積み上げられなかったことが、優勝争いで有利なポジションを得られないことに繋がってしまった。最終節の直接対決でも4-0以上の勝利とかなり厳しい条件となったが、3位の鹿島が敗れて勝ち点60に留まったため、この試合でリーグ2位、ACL出場を確定。ポジティヴに言えば、何点獲られても順位が下がることがなく、失うものがない状況で横浜FMとの直接対決に挑むことが出来る。横浜FMは無理に攻める必要はないが、従来掲げてきた攻撃サッカーを選択せず、守りへ重心を寄せると、チームバランスを崩す可能性もないとはいえない。ちなみに、昨年のリーグ戦では5-2と1-0、今季リーグ戦では4-2とFC東京が横浜FMに勝利している。FC東京は3試合のうち2試合で4得点以上を挙げているデータもあり、横浜FMの有利は変わらないが、FC東京の大逆転優勝の可能性も夢物語ではない。
とはいえ、前線のディエゴ・オリヴェイラ、永井の負傷の回復具合や、室屋が累積警告で出場停止と厳しい状況もある。田川が今季J1リーグ初ゴールを決めたが、チームの底上げを促すラッキーボーイの登場は不可欠。田川、ナ・サンホ、ユ・インス、ジャエル、アルトゥール・シルバ……。ディエゴ・オリヴェイラ、永井に代わるヒーローの誕生が、FC東京のリーグ初制覇への道を近づけるための必須条件だ。
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【明治安田生命J1リーグ 第33節】
2019年11月30日(土)14:04試合開始 味の素スタジアム
入場者数 40,202人
天候 晴 / 気温 12.6℃ / 湿度 31%
主審 家本政明 / 副審 岡野宇広、森川浩次 / 4審 相樂亨
FC東京 1(0-1 / 1-0)1 浦 和
≪得点≫
(東): 田川亨介(69分)
(浦): マルティノス(39分)
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【FC東京】
≪スターティングメンバー≫
GK 33 林 彰洋
DF 02 室屋 成
DF 32 渡辺 剛
DF 03 森重真人
DF 25 小川諒也
MF 07 三田啓貴 → ユ・インス(77分)
MF 08 高萩洋次郎
MF 18 橋本拳人
MF 10 東 慶悟
FW 09 ディエゴ・オリヴェイラ → 田川亨介(42分)
FW 11 永井謙佑 → ナ・サンホ(57分)
≪サブスティテューション≫
GK 01 児玉 剛
DF 29 岡崎 慎
MF 21 ユ・インス
MF 39 大森晃太郎
MF 45 アルトゥール・シルバ
FW 17 ナ・サンホ
FW 27 田川亨介
≪監督≫
長谷川健太
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【明治安田生命J1リーグ FC東京 日程・結果】
第01節 02月23日(土)14:00 △FC東京 0-0 川 崎(A・等々力)
第02節 03月02日(土)16:00 〇FC東京 3-2 湘 南(A・BMWス)
第03節 03月10日(日)14:00 〇FC東京 2-0 鳥 栖(H・味スタ)
第04節 03月17日(日)13:30 〇FC東京 1-0 名古屋(H・味スタ)
第05節 03月30日(土)14:00 △FC東京 1-1 浦 和(A・埼 玉)
第06節 04月06日(土)14:00 〇FC東京 2-1 清 水(H・味スタ)
第07節 04月14日(日)14:00 〇FC東京 3-1 鹿 島(H・味スタ)
第08節 04月19日(金)19:00 〇FC東京 1-0 広 島(A・Eスタ)
第09節 04月28日(日)14:00 〇FC東京 2-0 松 本(H・味スタ)
第10節 05月04日(土)16:00 △FC東京 0-0 G大阪(A・パナスタ)
第11節 05月12日(日)14:00 〇FC東京 1-0 磐 田(H・味スタ)
第12節 05月18日(土)14:00 〇FC東京 2-0 札 幌(H・味スタ)
第13節 05月25日(土)15:00 ✕FC東京 0-1 C大阪(A・ヤンマー)
第14節 06月01日(土)14:00 〇FC東京 3-1 大 分(H・味スタ)
第15節 06月15日(土)19:00 ✕FC東京 0-1 神 戸(H・味スタ)
第16節 06月23日(日)19:00 ✕FC東京 0-2 仙 台(A・ユアスタ)
第17節 06月29日(土)19:00 〇FC東京 4-2 横浜FM(H・味スタ)
第18節 07月07日(日)19:00 〇FC東京 3-1 G大阪(H・味スタ)
第19節 07月14日(日)19:00 ✕FC東京 0-3 川 崎(H・味スタ)
第20節 07月20日(土)19:00 〇FC東京 2-0 清 水(A・アイスタ)
第21節 08月03日(土)19:00 〇FC東京 3-0 C大阪(H・味スタ)
第22節 08月10日(土)19:00 〇FC東京 1-0 仙 台(H・味スタ)
第23節 08月17日(土)19:00 ✕FC東京 0-1 広 島(H・味スタ)
第24節 08月24日(土)13:00 △FC東京 1-1 札 幌(A・札幌ド)
第25節 08月30日(金)19:30 〇FC東京 2-1 名古屋(A・パロ瑞穂)
第26節 09月14日(土)19:00 ✕FC東京 0-2 鹿 島(A・カシマ)
第27節 09月29日(日)14:00 △FC東京 0-0 松 本(A・サンアル)
第28節 10月05日(土)14:00 ✕FC東京 1-2 鳥 栖(A・駅スタ)
第29節 10月19日(土)13:00 〇FC東京 3-1 神 戸(A・ノエスタ)
第30節 11月02日(土)15:05 〇FC東京 2-0 大 分(A・大銀ド)
第31節 11月09日(土)14:00 〇FC東京 1-0 磐 田(A・ヤマハ)
第32節 11月23日(土)14:00 △FC東京 1-1 湘 南(H・味スタ)
第33節 11月30日(土)14:00 △FC東京 1-1 浦 和(H・味スタ)
第34節 12月07日(土)14:00 FC東京 vs 横浜FM(A・日産ス)
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