2009年4月からスタートしたAIのライヴ・ツアー“VIVA A.I. JAPAN TOUR”の最終日となる、JCB HALL公演を観賞してきた。 JCBホール入り口付近では、AIのライヴには必ず観賞しに来るAIママと写真撮影する人たちも。
座席は第1バルコニーの前列で、ステージに対してほぼ真横から観る位置だがかなり近い。正面からだと開演前は赤い幕がステージを覆っていたのだが、この位置だと幕の内側がまる解かり。(笑) 暗転してスタンバイするAIの姿も覗き見出来た。ラッキー。
セットはステージ手前に大きなハートの上半分をかたどった電飾の枠組み、ステージ中央奥には、“A”の字をかたどった高台ステージが。そこにパーカッション、ホーン・セクション、ドラムが陣取る。それよりやや前の階段部左にはギターとコーラス隊、右側階段部にはキーボード(バンド・マスターのケイリブ・ジェイムス)、キーボード、ベース。右奥高台にはDJ Hirakatsuが配された。
今回はダンサーなしのステージだが、CDなしのフル生バンド・セット。新作『VIVA A.I.』の楽曲を中心に、懐かしい曲も少々織り交ぜながらのものとなった。セット・リストを見てもらえば解かるが、楽曲数が非常に多い。とはいえ、フル・コーラスで聴かせた楽曲は多くなく、間延びしないようにコンパクトな構成を心がけたようだ(その際のアレンジは、バンド・マスターであるケイリブ・ジェイムスが担当したとのこと)。
意外な選曲だったのが、中盤での「やさしく歌って」。自分たちにとってはロバータ・フラック(ネスカフェでのCMで有名に)、20代~30歳あたりではローリン・ヒルのカヴァーで知られる曲だ。この手のセレクトなどを見せられると、やっぱりAIはソウル・シンガーなんだなぁと思ってしまう。今作『VIVA A.I.』でも、「Nobody Like You」や「people in the World」などソウルフルな楽曲を聴くにつれ、ジーンとくるバラードもいいけど、やはりパワフルなソウルが彼女の真骨頂だと思えてならない。
最初のゲストはコーンヘッド。レゲエ畑の人は盛り上げ方を知っているので、中盤も中だるみすることなくヴォルテージが上がる。「Like a bird」でのタオルのぶん回しの光景は、何かイナゴの大群がやって来たかのような感じ。(笑) 熱気をブンブンステージへ投げ返すような勢いだった。
ゲスト2人目はアンコール明けでのRISEのJESSE。一度本編で「SCREAM」を演奏しているのでもうやらないかと思いきや、である(この方式は以前ZEEBRA&SPHERE of INFLUENCE兄弟での「Get Up -REMIX-」でもあった)。ステージ左右の端に設置されたスピーカの上に乗ってギターをかき鳴らしたかと思えば、スタンドマイクをなぎ倒し、最後は仰向けになって観客の中へ倒れ込む。「オレがRISEのジェシーってもんです、よろしくぅ~!!」と叫びながら、ギターを引きずったまま退場……とヤンチャモード全開のパフォーマンスだった。
3人目はEXILEのATSUSHI? ではなく、なんと、本当のサプライズで、木梨憲武が矢島美容室のマーガレットとなって登場。これには会場大興奮であった。
通常よりやや回数が少なかった(?)MC。中盤でAIがマイケル・ジャクソンの話を持ち出すと、早速客席から「ムーンウォークやって!!」との声が掛かる。高いピンヒールを見せながら「これじゃムーンウォーク出来ないでしょ」とAI。だが、バック・バンドが「ビリー・ジーン」のフレーズを演奏し、コーラス隊が加わると、もうやらざるを得ない雰囲気に。アッ、ダッとか言いながら華麗なダンスと足を引きずった見事なムーンウォークを披露した。(笑) さらに、客席から「スリラー!!」と声が掛かると、ケイリブたちバンド・メンバーは一瞬途惑いながらも、演奏をスタート。低いベースにドラムが加わり、AIがガオーッという感じのスリラー・ダンスを見せながらヴァースからサビ・フレーズを歌うと、そこにバック・コーラスがかぶさって即興「スリラー」セッションに。「マイケルは私のアイドルだけど、歌詞も知らないし、スリラーなんて歌ったことないけど……」というように本当の即興だったが、それでもこれほどのことをやってしまうバンド・メンバーの力量は凄い。詞などは適当だったが、「出来ればマイケルとコラボしたかった……けど、さっきアタシに降りてきたからね」というように、AIは意外と満足げだったのかもしれない。
アンコール後のMCでは、「バク転してー」との客席からの声。それに呼応するように“バク転コール”が起こるも、「後でやるから!」と一旦曲へ(一旦曲へって本筋が間違ってないか…苦笑)。「Life」が終わると「やるなら今か!」ということでバク転を披露。ただ、「最終日ということで、せっかくだからスタッフのみなさんも出てきてください」と言って、“スタッフ!スタッフ!”コールを会場に促す。すると、ステージに舞台監督、照明などのスタッフがゾロゾロと登場。「自分の身体は自分で守ってくださいねー」とアキレス腱などを伸ばしたり準備運動をして、ドラムロールが鳴り終ったと同時にみんな一斉に“AI式バック転”(あくまでも“AI式”)を成功させ、喝采を受けた。
ラスト曲「people in the World」のコール&レスポンスも良く……と思った矢先、AIが「もっと(耳が)キーンとなるくらい声出せるはずなのよ。ということで、“people in the World”の声出しの先生を呼びます。なんと海外からのスペシャルゲストです。はるばるこのためにネバダから来ましたー」と言って呼び込んだのが、矢島美容室のマーガレットこと木梨憲武。格好はもちろん矢島美容室のマーガレットだ。間近で見ると、デカい。(笑)
木梨いわく、「40分前から一人でメイクしてましたー」「ワタシとAIの出会いは、LAの焼肉屋で、いきなりAIに『あ、この人見たことある!』と指差された時でした。その時、AIはなんとLAから鹿児島のお母さんに電話してまして、それでお母さんとお話したんですけどね」(会場にいたAIママはステージの木梨に手を振る)「それで、カラオケで演歌ばかりを歌わせましたが(上手くて)『この娘は売れる』と確信しました。それが11年前」「その時、日本のなんとか大賞とかはいらないから、グラミーを獲ると言っていたんですけど、LAから帰ったら、もう売れてました」などなど。木梨はさすがに話で盛り上げるのが巧い。
で、早速曲へと戻り“people in the World”のコール&レスポンスを盛り上げる。“ひとりじゃ~ないからぁ~”などアドリブも加えながら、「people in the World」が大盛況のうちに終わるやいなや、木梨が「またまた、しゃしゃり出てゴメンナサイ」と話し始める。
「AI、あんた、美空ひばりさんみたいだったわよ」「中盤のバラード、3曲あったでしょ。あれ(聴いて)もう、垂れ流しちゃったわよ」と木梨流の褒め言葉を送ったあと、「AI、お願いがあるんだけど。ピアノとAIのヴォーカルだけで(残りのメンバーはみんな周りに座って)『Story』歌って頂戴よ」と催促。AIも「じゃぁ、みんなのために歌いますよ」と承諾して、ケイリブのキーボード演奏でのアコースティック・ヴァージョン「Story」を。「みんな、沁みるのよ~ッ」と木梨。途中で感極まるAIに観客が後押し。客席にいたAIのお母さんも涙を拭っていた。
AIがジェシーやコーンヘッドを含むメンバーをひとりずつ紹介して大団円となる時に、コーラス隊のYURIとロビーが“NO.1じゃなくても、人一倍がんばってきた……”とAIに向けて「YOU ARE MY STAR」をア・カペラで歌い始めると、そのサプライズに感極まってAIは帽子を目深にかぶって涙を見せないように後ろ向きになってしまった。長いツアーの最終日という達成感と、ここまでこのステージを共に作り上げてきた人たちへの感謝が込み上げたのだろう。きっと幸せを感じたに違いない。「またライヴやるからねー」「またねー」「またねー!」と繰り返し叫んでステージ・アウトしたAI。自身の進んできた道が“マチガイナイ”こと、そしてみなに支えられていることを再確認した、充足感あふれる最終日だったのではないだろうか。
◇◇◇
<SET LIST>
01 FIRE!
02 YOU ARE MY STAR
03 feel for you
04 Thank U
05 Paradise
06 I Wanna Know
07 my angel
08 Rose
09 Day Vacation
10 My Friend
11 So Special~Version AI~
12 Sunshine
13 Killing Me Softly With His Song (Original by Lori Lieberman/Roberta Flack's masterpiece)
≪MC≫
Billie Jean (Original by Michael Jackson)
Thriller (Original by Michael Jackson)
14 Nobody Like You
15 Sha La La
16 Like a bird feat. CORN HEAD
17 MOUNTAIN (CORN HEAD only)
18 エンジェル with CORN HEAD
19 君といた場所
20 おくりびと
21 Believe
22 Story
23 SCREAM
24 E.O.
25 Touch The Sky
≪ENCORE≫
26 SCREAM feat. JESSE
27 LIFE
28 MUSIC
29 people in the World (Special Guest Marguerite Camellia Yajima From Yajima Biyoushitsu)
30 Story (Acoustic Version)
<MEMBER>
AI (Vo)
Kaleb James (Key)
Penny K (Key)
Masa Kohama (G)
Jeffery Connor (B)
Armin Linzbichler (Ds)
Christopher Hardy (Perc)
Futoshi Kobayashi (Tp)
Fred Simmons (Tb)
Pierre Andre (Sax)
DJ Hirakatsu (Turn Table)
YURI (Back Vo)
Robbie Danzie (Back Vo)
Tyron Davis (Back Vo)
Anthony Bailey (Back Vo)
CORN HEAD (Vo)
JESSE (Vo/G)
Marguerite Camellia Yajima a.k.a. Noritake Kinashi
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