崖っぷちバトルその２。
前節、大宮に敗れ、降格圏争いチームとの三連戦の初戦を落としたFC東京。本当に負けられない戦いが続く。第25節は聖地・国立での18位湘南戦。勝ち点3を奪わなければいけない相手だ。
好材料としては、怪我から復帰した羽生がベンチ入りしたこと。それでも、駒が足りているとは到底言えず、苦心のスタメンに変わりはない。
ボール支配は東京が上回る。チャンスメイクはするが、最後まで崩しきれず、逆にカウンターを仕掛けられる。この試合のターニングポイントは30分過ぎ。リカルジーニョのクロスを大黒が落として平山へ。だが、フェイントを掛けたところでシュート・タイミングを逃し、一気にカウンターを食らう。右からの寺川のループ・シュートが僅かにクロスバー、跳ね返りをエメルソンがシュートを打つも、キムヨングンが必死のブロック。その直後、エメルソンから坂本へパスが通りシュート……も、権田の好セーヴで助けられた。
東京はこの後、CKを今野がヘディングで落とし、そこを大黒が咄嗟の反応。泥臭いゴールを生み先制。さらに、リカルジーニョから平山へ渡ったパスを、平山が中央へ走りこんで来た石川の前へ流し、石川が鮮やかなゴール。追加点を生んだ。
だが、寺川や坂本のシュートが入って先制されていたら、スコアほど差が開いた試合ではなかった。特に、後半の10分過ぎ以降は、ほとんど湘南の時間帯となってしまい、2点をリードしているチームと思えない状況だった。言い方は悪いが、相手が最下位の湘南だったからのスコアであり、相手が中上位のチームであれば、苦しい展開になっていたに違いない。湘南・反町監督が試合後「いつ先制できてもおかしくない状況だったが、狙い通りの攻撃だったか？ それとも予想以上の出来だったのか？」の質問に対して、「予想以上はちょっと失礼ですかね（苦笑）。東京がなんでこの位置にいて苦しんでいるのかがわかる部分だと思うんですよね。縦のボールを入れたときに最終ラインと勝負ができると踏んでいたので。ある意味、予想通りだと思っています。試合終了後に多くの監督が言う言葉ですが、あれが入っていればという試合でしたね。全体的には悪くはなかったと思います。ザッケローニ日本代表監督が権田を選んだことによって、権田が自信を持ちいいプレーをしたのかもしれません」と答えていることに集約されていると思う。3-0で勝利したチームのヒーローインタヴューがGKの権田っていうのも（初代表選出があったとはいえ）その表われだ。
サイドチェンジが少ない、攻撃が一辺倒、リカルジーニョにケチをつけるつもりはないが、相手エリアへ進出すると必ず内へ切り込むというワンパターンな攻撃（これが違うチームなら読まれていると思う）、マークにつくでもなく（つききれず）、すばやくプレッシャーをかけるでもなく、あっさりと相手にかわされる徳永、スペースを空けてしまって裏を狙われる北斗……問題は山積だ。勝利はしたが、笑顔にはまだ到底及ばないところにいる。次の仙台戦。アウェイの仙台はかなり手強く、移籍した赤嶺も待ち構える。この関門を乗り越えてこそ、残留の文字が見えてくる端緒となる。死に物狂いで勝ち点3を奪ってきて欲しい。
◇◇◇
Jリーグディビジョン1 第25節
2010/10/03 国立競技場
FC東京 3（2-0、1-0）0 湘南
【得点】
（東）：大黒（38分）、石川（39分）、リカルジーニョ（84分）
観衆：20,508人
天気：晴のち曇
＜メンバー＞
20 GK 権田修一
33 DF 椋原健太
06 DF 今野泰幸
17 DF キムヨングン
14 DF 中村北斗
18 MF 石川直宏 → 24 FW 重松健太郎（77分）
03 MF 森重真人 → 08 MF 松下年宏（72分）
02 MF 徳永悠平
16 MF リカルジーニョ
13 FW 平山相太
39 FW 大黒将志 → 32 FW 前田俊介（88分）
01 GK 塩田仁史
19 MF 大竹洋平
22 MF 羽生直剛
27 MF 田邉草民
◇◇◇
聖地・国立。
降格圏にいるチーム同士の対戦で2万超えは多いのか少ないのか。
湘南ゴール裏。
ベルマーレクイーンは来ているのかな。
東京側。
湘南の献身的な応援が続く。
ドロンパとヤクルトスワローズのマスコットたち。
後半開始。
試合終了直前。
自陣で倒されたヨングンが一旦ピッチ外へ。
3-0になってもチームを信じて応援をやめない湘南は素晴らしい。
久しぶりの勝利（と2得点以上のスコア）。
