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《上海雜興》

上海に長々と滞在しています。中国のことをいろいろ記したいと思います。

地溝油

2016年06月01日 16時52分46秒 | 日記
 中華料理はとにかく油をよく使う。油っ気のない料理を探すのは難しいほど、油たっぷりである。目玉焼きですら油で揚げるようにして作るのだ。

 私は脂っこいたべものがもともと好きだが、それでも油が多すぎるといつも感じる。料理を平らげた後の皿を見ると、油がべっとりと堆積しているのは普通のことで、油の摂取が少ない日本人の体には合わないだろうと思う。日本の中華料理は脂が少ない。だから、中国に来た日本人観光客が、油でぎとぎとの本場の中華料理をたべたあと、日本の中華料理のほうがおいしいなと言うわけだ。ただし、ツアー旅行ではまずい店に連れてゆかれるのが定番である。それは、地元旅行業者がまずい店からマージンをとっているからであり、またそういう店は空いていて大人数の客に対応しやすいからだ。

 油ぎとぎとの料理が好きな中国人だが、中国でも大都会では健康志向がひろがりつつあり、ダイエットする人も増えているので、油まみれの料理を敬遠する若者も増えてきた。店構えが汚い料理店の料理ほど、油を多く使う傾向が強いので、そういった店を避ける若者が結構いる。彼らは少々こぎれいなチェーン店を選ぶのである。こういった店は若干値段は高いが、都会に憧れる若者を惹きつけるのであろう。そして、油はやや少なめである。

 中国では「地溝油」と言われる下水油の問題がある。下水(当然、台所排水だけでなく、便所の水も流れる)には油を分離させる場所があるが、そこにたまった油を集めて、精製して臭いをとって、食用に回している業者がたくさんいる。発癌性の高い危険な油である。きわめて安い食用油なので、屋台や小さな料理店のほとんどは、大きな料理店でも一部は、こっそりとこの手の油を使っている。話題になって五年以上たつので、人々はもう忘れ去っている。即死するような毒でない限り、多くの人々は気にしない。人々が騒がなければ、政府も気にしないので、この問題はまったく解決していないのである。

 上海市ではこの「地溝油」を再生して、一部のバスの燃料にしているようで、エコロジーだと誇っているが、自治体がこういうものの存在を堂々と認めてよいものかと思う。「地溝油」の存在など国の恥で、すぐにでも殲滅すべきものだと思うが、国としてはその気はないようだ。業者を摘発してもどうせいたちごっこで、麻薬商人のように次から次へと新手が沸いてくるので、諦めてしまっているのだ(ネットの情報封鎖があれだけできるのだから、やればできないわけがない)。発癌性たっぷりのものを平気で売る人間性はどうかと思うが、商人とは畜生道に決まっているのが中国流である。

 自衛のためには外で食事をしないという方法をとるしかないだろう。

 私は実はあまり気にしていない。中国の商人が売るものなど、どうせそんなものだと思っている。日本の商人でも食品業界は安全なものだけを売っているとは言いかねる。食品製品の成分表示では、身体に悪い脂肪酸の表示義務が中国ではあるのに、日本ではないのである。

 


 これは新疆拌麵と言います。イスラム系の料理店にはたいていあります。脂っこいので、日本人向きではありませんが、私の好物です。イスラム教は衛生を重んじる宗教ですから、イスラム系の料理店はこころなしか、清潔に見えます。従業員のほとんどは漢族なので、よく見ると汚ない雑巾(テーブル拭きです)がぶら下がっていたり、便所が猛烈に汚なかったりしますが、気にしていたら中国では外食できません。
 

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