歯科医物語

まじめな歯科医の話
(今まで、他のブログに書いてきたことを、まとめました。)

アゴの下のアザ

2011-08-18 17:24:48 | 歯科医師として思うこと
その患者は、綺麗な女性であった。

右下の顎の下のあざ(痣)を、取ってほしいとのことであった。
あざは2cmほどの薄赤色の楕円形であった。

そのあざは、正式に言うと血管腫(ポートワインッ血管腫)である。

わたしは、きれいな顔に、メスをいれるのにやはり躊躇した。

しかし、患者は、強い希望であった。
どうして、そんなにとりたいか不思議であったが、
よくきくと、「キスマーク」に間違えられるとのことであった。
傷跡がのこってもよいから、取りたいとのことであった。

わたしは、まだ、そのころは、卒業2年目ぐらいの新米で、
取るのに、不安があった。

従業員も、取るのには反対した。

しかし、わたしは、どうにかしてあげたかった。

専門書を漁った。形成外科の本など
たくさんよんだ。

そして、決心した。

オペのときは、手が震えるほど緊張した。

どうにかとれたのだが、
患者は、いわゆる、ケロイド体質であった。

傷跡が、けっこう大きく残ってしまった。

しかし、患者は満足してくれた。
それだけが、救いであった。


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