油彩Ｆ１００「悪女裁判」

20歳

彼女の存在は猛毒だったと思う

彼女の言葉は劇薬だったと思う

彼女の願望がみんなを狂わせた



やがて誰もがそのことに気付き
物陰から侮蔑の唾を吐きかけていた

俺もそんな中の１人だったのかも知れない



彼女は裁判にかけられた

罪状は「姦淫」

審議は熾烈を極めた



そんな中

ただひとり彼女を弁護した男がいた



唯一彼女の色香に酔わなかった男


彼の弁護は闇に葬られ
彼自身も闇に葬られた




俺は脇役でよかった

彼女の為に・・
いらぬ疑いをかけられずに済んだのだから

今もこうして自分の足だけで立っていられる





しかしあえて今だから言おう

誰１人として彼女を責める事は出来なかったはずだ

彼女は・・・たぶん無罪だ