271 名前:ひよこ名無しさん[] 投稿日:2006/03/15(水) 23:40:42 0
「若いもん、何をワァワァ言ぅてんのじゃ?」
「あぁ親っさん、まぁまぁこっち上がっとくなはれ。いやいや今なぁ、恐いもんの尋ずね合いからなこんなことなったんやけど、この人が
狐に騙された話をして皆で大笑いしてるてなこったんねやが……。せや、恐いもんちゅうたら親っさん、あんたは強いお人やそぉだんなぁ
『恐いと思たことなんかいっぺんもない』て、常々言ぅてなはる。」
「当たり前じゃい、人間がお前、狐や狸を恐がるちゅな、そもそも間違ごぉたぁるわい。万物の霊長ちゅうぐらいなもんやぞ。あれが恐いの
これが恐いの……」
「せやけど親っさん、いっぺんぐらい恐いと思たことはおましたやろ?」
「えぇ、ん~ん、あらもぉ五年前の夏か……」
「何かおましたかい?」
「死んだ婆がまだ元気のよかった時分じゃ、洗濯をするっちゅうてなぁ、鍋にいっぱい煮いた糊をみんな使こてわしの浴衣洗いよった……。
あの浴衣着た時はこわかった」
「なぶんなはんな……、こわさが違うがな。あんた、そんだけ長生きしてるのにいっぺんも恐いと思たことホンマにおまへんのかい?」
「んッ、いや実はなぁ、そぉ言われてみると心(しん)から底から冷や汗流して『あぁ恐い』と思たことが、いっぺんだけあったなぁ」
「へぇ、親っさんが恐いと思うんやったら、よっぽど恐い話やで。そいつ聞かしてもらえまへんかい?」
「若いもん、何をワァワァ言ぅてんのじゃ?」
「あぁ親っさん、まぁまぁこっち上がっとくなはれ。いやいや今なぁ、恐いもんの尋ずね合いからなこんなことなったんやけど、この人が
狐に騙された話をして皆で大笑いしてるてなこったんねやが……。せや、恐いもんちゅうたら親っさん、あんたは強いお人やそぉだんなぁ
『恐いと思たことなんかいっぺんもない』て、常々言ぅてなはる。」
「当たり前じゃい、人間がお前、狐や狸を恐がるちゅな、そもそも間違ごぉたぁるわい。万物の霊長ちゅうぐらいなもんやぞ。あれが恐いの
これが恐いの……」
「せやけど親っさん、いっぺんぐらい恐いと思たことはおましたやろ?」
「えぇ、ん~ん、あらもぉ五年前の夏か……」
「何かおましたかい?」
「死んだ婆がまだ元気のよかった時分じゃ、洗濯をするっちゅうてなぁ、鍋にいっぱい煮いた糊をみんな使こてわしの浴衣洗いよった……。
あの浴衣着た時はこわかった」
「なぶんなはんな……、こわさが違うがな。あんた、そんだけ長生きしてるのにいっぺんも恐いと思たことホンマにおまへんのかい?」
「んッ、いや実はなぁ、そぉ言われてみると心(しん)から底から冷や汗流して『あぁ恐い』と思たことが、いっぺんだけあったなぁ」
「へぇ、親っさんが恐いと思うんやったら、よっぽど恐い話やで。そいつ聞かしてもらえまへんかい?」