神奈川県建築士会 教育講習委員会 活動報告(実績)

教育講習委員会の活動報告などを掲載します。

神奈川県知事指定「建築士法第22条の4に基づく すべての建築士のための総合研修」

2011-05-30 | Weblog

主催 : ㈳神奈川県建築士会 教育講習委員会

 本講習は、「建築士法第22条の4の5(建築士会 及び 建築士会連合会は、建築士に対し、その業務に必要な知識 及び 技能の向上を図る為の建築技術に関する研修を実施しなければならない)」に基づき、すべての建築士を対象に開催する総合研修です。

 今回は、(法制度コ-ス)(戸建住宅コ-ス)(木造2階建住宅の構造計算コ-ス)により開催いたしました。

 司会 : 教育講習委員会 有泉ひとみ委員

【日 時・プログラム】 平成23年3月24日(木) 9:40~17:00

       9:40~  9:50 開会挨拶: ㈳神奈川県建築士会会長 藤田 武

       9:50~10:50 法 規  : 神奈川県県土整備局建築安全課 担当職員

      10:50~11:00 休 憩

      11:00~13:00 戸建住宅: ㈱米澤設計 代表取締役 米澤榮三

      13:00~14:00 昼食休憩

      14:00~17:00 構造の専門技術者でない建築士のための木造2階建住宅の構造計算

                  ㈳日本建築士会連合会.契約約款等特別委員会委員長 里川長生

【会  場】  かながわ労働プラザ(Lプラザ).3階多目的ホ-ル

【参加者】  218名(会員184名+会員外26名+東日本大震災による特別キャンセル8名)

【テキスト】 ①「すべての建築士のための総合研修テキスト」(法制度コ-ス)

         ②「すべての建築士のための総合研修テキスト」(戸建住宅コ-ス)付録CD付

        ③「すべての建築士のための総合研修テキスト」(木造2階建住宅の構造計算コ-ス)

【CPD】  6単位

 

           活気にあふれる総合研修会場風景(戸建住宅コ-ス)

 

【 参 加 者 の 感 想 】

 324日、石川町で「建築士のための総合研修」が開催された。司会の案内により会長の挨拶、つづいて大震災にて亡くなられた方々へ黙祷をささげ、ご冥福を祈った。

研修は3教科で法制度、戸建住宅、構造計算で欲張りすぎたボリュームでしたが、先生方は要点をうまく説明してくださり、かゆい所に手の届く研修会でした。

 

(相模原支部:神村康二)

 

 

 神奈川県建築士会会長藤田氏の、今回の東北関東大震災における被害にあわれた方々へのお見舞いの言葉と、こういった時だからこそ皆が集まり講習会を開催する事が良いだろう、といったご挨拶により、おそよ200名が参加した研修会が始まった。

 内容は、・法制度について、・戸建て住宅について、・木造2階建ての構造計算について、の3部構成で、住宅に係る建築士が携わる全般であった。

 節電の為の空調温度制限の中、長丁場であったが、我々建築士が「すべきこと」を再認識するいい機会になったのではないだろうか。

 今一度、人々の幸せのため、我々は何ができるのか、私は何ができるのか、を考えたいと思う・・

(記:吉原直美)

 


ワンコインセミナ-「地盤・土質についての基礎知識」

2011-05-30 | Weblog

設計者として知っていきたい地盤の基礎知識。

少人数で、1年を通して継続的にじっくりと学ぶ企画を開催しました。

【日時・テ-マ】 

    第 1回 ・平成22年 1月15日(金)16:00~18:00 「基礎・地盤力学」

    第 2回 ・平成22年 2月12日(金)16:00~18:00 「土と建設業の関わり」

                                  「土・地盤の基礎知識」

    第 3回 ・平成22年 3月12日(金)16:00~18:00 「全応力と有効応力」

                                  「土のせん断強さ・粘性土の圧密」

    第 4回 ・平成22年 4月16日(金)16:00~18:00 「砂地盤の液状化」

    第 5回 ・平成22年 5月21日(金)16:00~18:00 「基礎・地盤力学」

    第 6回 ・平成22年 6月11日(金)16:00~18:00 「地中応力・土圧」

    第 7回 ・平成22年 7月16日(金)16:00~18:00 「基礎の計画・設計」

                                  「直接基礎の支持力」

    第 8回 ・平成22年 8月20日(金)16:00~18:00 「施工重機の安定性」

                                  「擁壁の安定性」

    第 9回 ・平成22年 9月16日(木)16:00~18:00 「直接基礎の沈下量計算」

    第10回 ・平成22年10月15日(金)16:00~18:00 「杭基礎・杭の分類と施工法」

    第11回 ・平成22年11月19日(金)16:00~18:00 「杭基礎の鉛直支持力」

    第12回 ・平成22年12月17日(金)16:00~18:00 「杭基礎の耐震設計」

 

【会 場】   神奈川県建築士会・会議室

【参加者】   各回、10人程度

【講 師】   株式会社 設計室ソイル 会長 若命善雄氏

【資 料】   随時資料による

【CPD単位】  各セミナ-に対し、各2単位(自動)

 

【 参 加 者 の 感 想 】

ワンコインセミナー「地盤・土質についての基礎知識」を受講して

 

 講師 若命善雄氏

 

 2010年1月より12回1年間の長期に渡る講習でした。

 地盤、土質については、意匠設計が中心な仕事のため構造設計事務所、地質調査会社に丸投げの状態で、             特に注意することなく仕事を進めていました。

 確認申請が通れば良いのではと云う安易な考えが有ったように思います。

 もう一歩進んだ考え、地盤改良の下の地盤に問題は無いのか?

 この講座では、専門知識を養うに足る内容で有った。

 1.土の知識

   土の強度、圧密、地中応力、土圧透水性、液状化

 2.地盤調査とその目的

  サウンディング、標準貫入試験、土質柱状図、N値についての考え方

  砂質土と粘性土での違い

  載荷試験、スウェーデンサウンデイング試験、コン貫入試験、電気式静解コン貫入試験、各種類ごとの  目的と問題点。この講座では特に載荷試験の有効性についての疑問、深い部分の土質(標準貫入試験等)との併用の必要性を感じた。

 3.基礎の設計

   地盤の支持力、沈下量計算、杭の支持力

   この講座では沈下が一般的に有る現象で有り、不同沈下が問題になる。

   沈下量の計算も土質により調査可能なことも知ることが出来ました。

 

  この様な講座で土質の区分、土質により適切な調査方法の選定、補強方法、単に地盤改良

  にとどまらず、土質に合った補強方法、鋼管杭、単管を利用したレスピー工法、杭状地盤

  補強工法、シグマ・アイ等新しい工法の説明も興味深いもので有りました。

  又、その地域の地盤の状況、液状化、地すべり、地域に問題がある場合も有り、広く調査

 (行政のデータ等の活用)も充分に実施する必要性を感じた。

 

 講座の中で実例に依る講義も数多く有った。今後の設計の参考になる講義でした。

 講義の内容を2例紹介します。

 

 1.軟弱土盤の地域で大型車の通る道路から、かなり離れた建物でも道路の振動に波長が合う構造の建築 物では、周囲の建物が揺れなくてもその建物だけ揺れる場合が有る。

 

 実例では軽量鉄骨造で剛性が低く、柔らかな構造の建物を参考に説明を受けた。

  道路の振動(大型車)に建物が共鳴して、建物が揺れる現象で有った。

 近隣の建物は木造の建物で有るが、被害が無く、その建物だけの現象で有る。

 解決策としては、剛性を高めることや波長が合わない様に重量物を建物内に置く等の方法で解決すること  が出来た様です。

 微妙な波長で共鳴した例として説明を受けました、建物の構造の経済性を追求するあまり

 建築物としての利用を犠牲にした例でした。

 設計者に携わる者として充分に注意しなければと痛感した次第です。

 

 2.軟弱土盤による不同沈下した建物の修復工事

 私の知識では建物をジャッキアップして基礎を修復する方法しか思い浮かばない。

 この方法では再度沈下する危険性等が有り完全なものにはなり得ないが、講義の中で紹介された実例、ア イリフト工法は現在の建物をそのままにして硬化剤を支持地盤から上部へ地盤改良して行き、支持地盤を作 りながら地表面近くまで施工する。最後にリフトアップする液剤珪酸ソーダーを注文して、建物を持ち上げ 水平にする。

 

 さまざまな新しい工法が有りとても参考となりました。

 

 この様な専門知識を深める講座は、設計にたずさわる沢山の会員の役に立つ事と思う。

 建築設計も専門分野に分かれ、総合的な勉強の機会が少なくなって来ました。

 建築士会のこの様な講座は、会員の皆様にとって意義深いものとなるでしょう。

 この講座を企画いただいた教育講習委員会の皆様に感謝いたします。

  

                         横浜支部  佐藤 務