call my name

　バイトして酒を飲んでセックスして映画観てカラオケしてビリヤードして卓球してスト２してサイゼリアでオールして。。。。。

　
　
　絵に描いたような夏休みを謳歌しています。ええ。ま、絵を書いているのは精神病患者ですがね。２５歳の夏休みを一枚の絵にまとめると見るも哀れな豚細工なのだけど、何も問題点を感じてないのはきっと俺が『拝啓、ジョンレノン』を熱唱できるくらいのロマンチストだからだと思うような思わないような。


　「ごめん母さんが危篤で遅れる！」とか「ヤバイ父が痴漢で捕まった！」とか「大変だよばあちゃんが裸で上京してきた！」とか「キャバクラのビンゴ大会で荻窪サウナ『湯ーとぴあ』の一日無料チケットが当たった」とかさんざっぱら言ってきたけど、遅刻する度に顰蹙を買っていたよ。

　遅刻の言い訳は誠実なものではなくて、とりあえず笑わせたほうが勝ち。と思い込んだら負け。なぜなら、本屋の経営者が求めているのは芸人ではなくて、遅刻をしない人間だから。


　ビリヤードして本を読んで酒を飲んでセックスして喧嘩して祭り見てジャズ聴いてバイトして。。。。。




　ゲロにまみれた友担ぎ、放置したいと心で思い、自宅で吐かれ大慌て。怒る矛先ゲロ臭い。俺もほんのりゲロ臭い？周りを見れば人はなし。四面楚歌とはこのことか。傍若無人と誰か言う。ボトルに残る酒はなし。


　

　

輪舞曲

　教会から誓いのキスを彩るファンファーレが鳴っている。そこに泣く人も笑う人も祝福する人もいる。



　
　友人の結婚式に招待された。彼女は映画館でバイトしていた。よく古い洋画の話をした。共通の話題が親密な関係を見せた。週末になると僕らは手を繋いで映画館に行った。

　ジャックレモンが好きだった。『アパートの鍵貸します』が一番いいと言えば、彼女は『あなただけ今晩は』を挙げる。結局『お熱いのがお好き』で落ち着く。冗談めかして喧嘩の振りをして、映画通を気取って昔の映画の話をした。

　関心が映画から彼女に移り、彼女のことをもっと知りたいと思った。自分のことも知ってもらいたいと思った。馬鹿なことをして笑いあってそれが付き合ってることだと思ってた。楽しいことだけが恋愛だと思ってた。

　喧嘩が多くなった。屁理屈で責め立て黙り込む彼女を罵った。彼女の言葉を全て意味のない嘘だと思うようになった。彼女が浮気したということが嘘だったらよかったのに。しかし事実は嘘にならなかった。


　聞かなければよかった話を聞いた。高校の同窓会で彼女の浮気相手だった男の話だった。

　彼女はお前の誕生日プレゼントのことで俺に相談してきたから、日曜日に一緒に買い物しにいこうと誘った。でも彼女は嫌がった。俺は彼女を説得して日曜日を空けさせた。次の日、俺と彼女の『デート』が学校中に広がった。俺は何も言わなかった。ただ笑顔で頷いただけ。彼女はただ困っているだけだった。弁解も言い訳もできないでただ困惑してるだけだった。唯一の救いのお前は彼女に愛想をつかしたしな。だから俺が近づいて彼女を支えてあげたんだ。


　もう全部終わった話だった。８年前と自分は無関係だと言い聞かせた。


　それから程なくして、彼女が結婚するという話を聞いた。彼女に会おうか会わないかと真剣に考えた。自分が浮気事件の時に彼女に何をして何をしなかったのかを考えた。それでやめようという結論したところに彼女から電話が来た。もう俺が全て知っているということを同窓会の飲み会にいた友人から聞いたらしい。

　元気だったか、最近何をしているのか、どの映画が面白かったか、結婚相手のこと、俺の大学のこと、俺の彼女のこと。いろいろなことを話した。
　彼女は、どうせ僕のことだから連絡をよこさないけど、そのくせにくどくどと悩むはずだから電話してやろう、と思って電話したと言った。やっぱり敵わない。

　結婚式の招待状を送ることを俺に伝えると、じゃあもう切るねと彼女が言った。とっさのことだったから、あの時はごめんと言ってしまった。彼女は

　もう少し二人が大人だったら、きっとうまくいってたのにね。

　と笑いながら言って電話を切った。

　違う、大人になれてなかったのは俺の方だけだったよ。俺は君のことを何も知らなかったよ。　
　　


　教会から結婚式の終わりを告げる鐘の音が聞こえる。そこにいなくても泣いたり笑ったり祝福したりする人がいる。


今日の結論

１．まったくペンを握っていない生活にそろそろ危機感。

２．前回のタイトル『リライト』はasian kung-fu generationの曲。消したい過去だってもって行きたい墓場まで。
　

リライト

　友達の誕生日だということでデニーズで夕食して、新宿に移動。さてとオッパイパブだと息巻く俺とか俺とかやっぱり俺の意見を無視して二人は歌舞伎町のバッティングセンタに行くわけだけど、3対2なら俺の意見を聞いてよもう。

　汗だくの男三人がバッティングセンタから出てくると客引きが方々からにじり寄ってきて『よ、にいちゃん！いい娘がいるよ』やら『飲み放題抜き放題５０００円ぽっきり』だの『マンキ！マンキ！８０００円』だのと若人から金と夢と様々な体液を搾取しようとする。ち、これが資本主義か。そして高度資本主義社会が俺の生まれ故郷なのだ！と考えると急にテンションが上がり、よっしゃおっパブじゃい！と息巻く俺と俺とやっぱり俺なんだけど、友人二人はスルー。ねえ、民主主義は多数決の原則で動くんでしょ？3対2だってばもう。

　コマ劇場前の広場の一角に位置する遊び倒れビルに入る。一階から８階まで全部プレイスポット。ゲーセン、ビリヤード、カラオケ、ボーリング、ダーツ、卓球など。で、とりあえず全部やってみると時間はとっくに終電オーバ。フィーフィーもびっくりするくらいのオーバ振り、この時点でオール決定。

　キャバクラのよさを語る場所が必要なのでとりあえずサイゼリアに行く。ドリンクバーは終電難民に優しく、井戸端会議の場を探す奥さんにも優しく、金のない学生にも優しい。俺もそんな人になりたい。誰をも受け入れる度量の広さを持ってる人。実際のところ両方でイケるからかなりの博愛主義だったりするんだけど、それを言うと人が離れていくパラドックス。追うより追われる恋がすきなんだね皆さんは。あと、浮気の心配が二倍だね。男も女も両方イケるんだったらさ。めんどいな実際。

　「で、実際お前あの子が好きなの？」から始まる男子高校生顔負けの歪な恋愛トークにかまけて２９時。えっと、俺４時間後にバイトっす。やり直せないこの状況に腹をくくったりくくらなかったり。いっそ遅刻でクビか。ノーマネーでフィニッシュです。ま、フィニッシュしてるのは吉田栄作の方ではあるが。

　恋にかまけてお留守になるのもKO的にはオールオッケー！と足出しへそ出しルックで踊り狂う勇気もないので何とかバイトをやり過ごしたよ。大好きなあの人からモーニングコールももらったし。明日から休暇を戴きまして、とりあえず北海道、に行ったつもり貯金を始めようかなと思ってます。来世で。

今日の結論
１．休みになると過激に働き始める反抗期の俺だよ。

２．前回のタイトル『あなたが人を裏切るなら僕は誰かを殺してしまったさ』はサンボマスターの曲。裏切られたら、俺は一体誰を殺してしまうのだろうか。

あなたが人を裏切るなら僕は誰かを殺してしまったさ

　み　　　なよ、周りでは「人間不信さん」が増加中。

　な　　　のに夏の気温は最高気温記録更新中。

　は　　　やくも夏に飽きて気分は喪中。　　

　人　　　間は現在、人間不信で腹を探り合い中。

　間　　　で子供はそれを観察中。

　不　　　可能なことを妄想中。

　信　　　じて怪我するならいっそヤク中。

　

　こんなにダラダラと伸び切ったゴムも敵わないような遅刻日和の朝にバイトを入れていなかったことを後悔してやる。

　あと一回、遅刻したらクビがちょんぱでさようならなのが緊張感だ。


　バイト先の人間が同時多発的に『人間不信』になって、鬱病のような顔をして、『紅の豚』のマルコが人間だった頃の写真を眺める時のような、苦々しく、でも、捨てきれない何かを愛おしむような顔をしている。末期。

　でも、『人間不信』って一度人間を『信用』して裏切られてあっという間に人間は信用できないって路線変更したその先にあるんだとしたら、バイト先の人間を愛さずにはいられない。

　一度は深く人間を『信用』したからこそ裏切られてまっさかさまに落下して地面にべちゃりとくっついてばらばらに砕けたその結果の『人間不信』なのだから。


　沈みかかるドロ舟から降りるタイミングを見失っているのはもう『人間不信』になってしまった仲間がいるからだと思う。


　さて、「時代と歴史」を山ほど積み込んだ我等が愛すべきタイタニック号はいつまで航海を続けるのかを気にしながら、そんなことはおくびにも出さない顔して来月のシフト希望表を取りに行こう。



今日の結論

１．夏が浮かんで消える前に茅ヶ崎辺りのモーテル。

２．別に俺は『人間不信』ではないです。ちなみに。

３．前回のタイトル『a hard day's night』はビートルズ。説明不要の曲ですな。