過去の今日の出来事etSETOraですヨ(=^◇^=)

2024(令和六)年拾月七日(月)曜日の初記事ですヨ(=^◇^=)

 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
 ┃  松田聖子の声が出ない…苦難の名曲  ┃
 ┃♪風立ちぬ♪に彩りを添えた松本隆の作詞術┃
 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
‡1981(昭和56)年10月07日(水) ♪風立ちぬ♪発売
 2021(令和三)年07月22日(木) 記事配信 
 Q:この日何の日? この時あなたは11歳
 A:松田聖子のシングル「風立ちぬ」がリリースされた日
■壁にぶち当たったトップスター松田聖子■俺たちの根尾昂が苦しんでいる。振っても振ってもバットは空を切るばかり。打率は1割台と低迷し、はっきり言って一軍にいるのが不思議な成績である。一方で他球団では同期の若手達が次々に頭角を表しており、かつての高校野球のスーパースターはトップ集団から大きく離されてしまったと言わざるを得ない。日本中を熱狂させた全国制覇も今は昔。もう3年前の夏に見せてくれたえげつないほどの輝きは、戻ってこないのだろうか? と、深刻なスランプに苦しむ根尾を案じるあまり、この掲載がRe:minderであることを危うく忘れるところだった。気を取り直して音楽の話をしよう。スランプといえばちょうど40年前。同じように壁にぶち当たった一人の女性がいた。時のトップスターだったその人の名は、松田聖子という。
■類稀なる歌唱力、超一流のアイドルであり超一流の歌手■1980年にデビューするなり瞬く間にアイドルシーンを駆け上がった聖子はどうしても「ぶりっこ」とか「聖子ちゃんカット」というキャラ本位のイメージで語られがちだが、念のため確認しておくと松田聖子は超一流のアイドルであると同時に、超一流の歌手でもある。それはデビュー当初から一貫しており、とりわけ♪青い珊瑚礁♪チェリーブラッサム♪といった声量を要する楽曲で際立つ、伸びのあるハイトーンボイスにかけては抜きん出た魅力を持っていた。群雄割拠のアイドル界においてたちまちスターダムに駆け上がったのも、間違いなくこの類稀なる歌唱力あってこそだろう。3枚目のシングル「風は秋色 / Eighteen」から通算8年、24曲連続でオリコン週間1位を獲得するなど80年代のミューズと呼ぶに相応しい大活躍をみせた聖子だが、歌手として最大の危機を迎えたのはデビュー2年目の秋、7枚目のシングル「風立ちぬ」をリリースした頃のことだった。
■歌手の生命線“喉”を壊した松田聖子、歌唱力を要した♪風立ちぬ♪■投手にとって肘がそうであるように、歌手の生命線はなんといっても “喉” だ。声が出なくなってしまったら元も子もない。その大事な商売道具を、聖子は壊してしまった。よりによって大瀧詠一が作曲した新曲「風立ちぬ」は、収録前に聖子が「歌えるかしら」と心配していたほど難解で、歌唱力を要する曲だった。音楽番組で披露しても、高音域は苦しく、かすれてしまう。『夜のヒットスタジオ』出演時には井上順と芳村真理の名コンビが「過労で疲れ切っちゃってる感じね、もう忙しくて」「ご両親のそばにいられない事で余計イライラしてらっしゃると思う」と珍しく茶化すことなく本気で体調を気遣っているあたり、表で見ている以上に裏では相当にグロッキー状態だったのだろう。それでも当時のアイドルに “休養” の2文字はない。賞レース華やかなりし時代、年末に向けて多忙はさらに極まり、テレビで歌う聖子は声だけではなく表情にまで疲労が滲み出るようになっていた。
 1981(昭和56)年12月31日(木) 大晦日のレコ大ではこの年から新設された「ゴールデン・アイドル賞」を受賞。
 1982(昭和57)年01月01日(金) その翌朝、つまり元日の朝にはレコ大の受賞者が集って“寿”のセットの下で受賞曲を披露するという、正月らしいおめでたい生番組で「風立ちぬ」を歌った際に、涙ぐんで歌えなくなるハプニングも起きた。前夜のレコ大本番では笑顔を振りまいており、感極まるような場面でもない。思うように声が出ない悔しさなのか、ツラかった年末のことを思い出したのか。真相は分からないままだが、聖子にとって「風立ちぬ」が長いキャリアの中でも最もしんどかった時期の一曲であることは間違いないだろう。
■すみれ・ひまわり・フリージア… 彩り不足を解決した松本隆の作詞術■堀辰雄の同名小説を題材に書かれた本曲は、名プロデューサー若松宗雄曰く「本当はもっとさりげない曲が希望だったからねぇ。でも大滝さん、言うこと聞かないから(笑)」と意図した出来とは少し違っていたようだが、同時に若松は「アイドルとしての聖子の娯楽性に、松本さんの文学的な才能と大滝さんの音楽性が加わったら最強でしたから」と後のインタビューで語っている。つい大滝のナイアガラサウンドに目が、いや耳が行きがちだが、ここで注目したいのは松本隆の “文学的な才能” 、すなわち作詞術の見事さだ。詞の中にも登場するように、本曲の舞台は「高原」である。それまで聖子ソングの定番だった “海” “渚” だと、20歳を目前にした半分大人の心情を表すにはいささか陽気すぎる。この歌の主人公は、別れた恋人に涙ぐみながら手紙をしたためているのだ。ちょうど同じ時期にヒットした漫画『めぞん一刻』の五代くんもそうしたように、若者の逃避行には高原がよく似合う。一方で若者向けの流行ソングとしては、“風” “草原” といったフレーズはやや質素に感じるのも確かだ。松山千春ならいざ知らず、アイドルの歌としては明らかに彩りが足りていない。ところが松本氏は、この “彩り不足” をたった3ワードで解決してみせた。“すみれ” “ひまわり” “フリージア” である。淡白な高原の風景が、花を添えるだけでパッと彩り豊かになった。それだけではない。花の名を添えるだけで涙まじりの別れ歌は悲壮感から解放され、大瀧詠一のソロワークとも違う、紛うことなきアイドルソングへと変貌させたのだ。
■歌詞の風景に応じて適した配色を選べる作詞家、松本隆■松本氏は作詞を通して絵を描く才能に長けている。頭の中に色とりどりの絵の具があって、歌詞の風景に応じて適した配色を選ぶことができる作詞家だ。代表作である「ルビーの指環」(寺尾聰)はラストで登場する「ベージュのコート」がいい味を出しているし、特に聖子には「白いパラソル」「ピンクのモーツァルト」など、色に関連した曲をたくさん提供している。極め付きは「硝子のプリズム」の「赤・橙・黄・緑・青・藍・紫」だろうか。♪風立ちぬ♪中盤に出てくる「赤いバンダナ」も、大草原の中でやけに印象に残る色彩だ。苦しみと共に1982年を迎えた聖子は、次作♪赤いスイートピー♪でトレードマークの聖子ちゃんカットをばっさり切って耳が見えるショートヘアに変身。そして二度と元には戻らなかった伸びのあるハイトーンボイスにもさよならを告げ、かすれ声にやや甘さの混ざった「キャンディボイス」を引っ提げて新しいフェーズへと突入した。まるで「風立ちぬ」の主人公が「さよなら、さよなら、さよなら」と恋人に別れの手紙をしたためたように、聖子はこの曲をもって過去と決別。その後の活躍は言うまでもない。
 参考資料・引用:大滝詠一の80年代伝説<前編> 唯一無二のナイアガラ・サウンドで革命をもたらした 『A LONG VACATION』と松田聖子の『風立ちぬ』
 https://reminder.top/525771256/
 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
 ┃   一蘭はマズイとか言ってる人は信用するな   ┃
 ┃その理由とは。筆者オススメの福岡ラーメン屋もご紹介┃
 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
‡2019(令和元)年10月07日(月)
 http://mah0rama.livedoor.blog/archives/20245154.html
 ┏━━━━━━━━━━━━┓
 ┃SONY WI-1000XBM┃
 ┗━━━━━━━━━━━━┛
 Bluetooth ハイレゾ対応 ノイズキャンセリング対応
 bluetooth イヤホン カナル型 ブラック リモコン・マイク対応 ワイヤレス(ネックバンド) 
‡2017(平成29)年10月07日(土) メーカー発売日
 2017(平成29)年08月31日(木)時点■業界最高クラス(*)のノイズキャンセリング性能でこだわりの高音質に浸れる 業界最高クラスのノイズキャンセリング性能を実現しているから、ノイズを気にせず、こだわりの高音質に存分に浸れます(*ネックバンド型ワイヤレスノイズキャンセリングヘッドホン市場において。2017年8月31日時点、ソニー調べ、電子情報技術産業協会(JEITA)基準に則る)
 ビック特価 21,630円(税込)
 ビックポイント 2,163ポイント(10%)
 https://www.biccamera.com/bc/item/3782558/
 ┏━━━━━━━━━━━━━━┓
 ┃1000Xシリーズ開発者インタビュー┃
 ┗━━━━━━━━━━━━━━┛取材:藤本健
 2016年秋に発売された「MDR-1000X」は高いノイズキャンセリング性能と優れた音質、デザイン性とすべての要素を妥協なく追求したワイヤレスヘッドホンとして市場で高い評価を得た。今回、ソニーは新たなるワイヤレスヘッドホンのフラッグシップとしてオーバーヘッド型の新製品「WH-1000XM2」だけでなく、ネックバンド型の「WI-1000X」と、左右独立型の「WF-1000X」の3モデルを投入。注目の1000Xシリーズについて開発者に伺った。
■01. 1000Xシリーズ コンセプト■ソニーの誇るワイヤレス&ノイズキャンセリングが3タイプで登場
――今回、1000Xシリーズとして3モデルをデビューさせるとのことですが、まずシリーズ全体のコンセプトを教えて下さい。
大庭  昨年発売したMDR-1000Xはソニーのワイヤレスヘッドホンのフラッグシップ製品であり、おかげさまで非常に好評をもってユーザーの皆さまに受け入れていただきました。MDR-1000Xの後継製品がオーバーヘッド型のWH-1000XM2になりますが、実はMDR-1000Xの開発途中から「ワイヤレスで、ノイズキャンセリング機能をもったコンパクトに持ち歩けるインイヤータイプを作りたい」という要望はあったんです。もともと、ソニーとしてはワイヤレスとノイズキャンセリングという技術に強みがありましたから、この機能と性能をオーバーヘッド型以外にも展開したい、という企画のコンセプトはずっと暖めていたんです。
そこで今回はネックバンド型でインナーイヤーの「WI-1000X」だけでなく、新しいスタイルとして注目を集めている左右独立型も市場として見据え「WF-1000X」の3タイプを用意しました。
ソニーの技術を集約してそれぞれのスタイルごとに業界最高性能のノイズキャンセリングをお客様に届けるべく、開発が始まりました。
ソニー株式会社 ブランドデザインプラットフォーム クリエイティブセンター スタジオ2 オーディオプロダクツデザインチーム1 熊野 大岳氏
――MDR-1000Xの後継として踏襲しつつ、1000Xシリーズにおけるデザインコンセプトとしてのシリーズ感はどのようなこだわりを持たせたのでしょうか?
熊野  前モデルとなるMDR-1000Xを開発していたとき、持ち物として所有感を高めるようなデザイン、たとえば旅行のときにも欠かさず持ち出す大事なアイテムというイメージを持っていました。ユーザー層としても、所有物をことさらアピールすることはないものの、モノを大事にしている人が多いようです。また、ワイヤレスヘッドホンのように先進性のあるアイテムを、これまでの所有物にすっと溶け込ませることに意識しました。今回、カラーバリエーションとしてこのトーンのシャンパンゴールドを選んだのも、それが理由のひとつですね。
今回は1000Xシリーズとして3タイプを用意していますが、MDR-1000Xで実現した高性能ノイズキャンセリング機能と先進性を、どうやってデザイン面にも取り込んでいくかをポイントとして考えました。質感や色をシリーズとして合わせつつ、1000Xシリーズの世界観の中でまとめることに苦労しました。
――新モデルとなるWH-1000XM2は、前モデルのMDR-1000Xに比べてどこが進化したのでしょうか?
大庭  もちろん細かい部分でいろいろとブラッシュアップされているのですが、わかりやすい大きな違いとしては、気圧変化に対してノイズキャンセリング性能を最適化できるようになったことと 、スマートフォンアプリに対応した点です。
まず、気圧変化に対するノイズキャンセリングの最適化についてですが、この商品はビジネスマンをメインのターゲットユーザーとしていることから、出張時の飛行機内でも少しでも理想的な状態に近いノイズキャンセリング性能を提供したいという背景で搭載された機能です。
飛行機内で生じる気圧の変化、すなわち空気の密度の変化によって、ドライバーユニットから鼓膜までの音の伝わり方が変化します。
この音の伝わり方の変化により、理想的なノイズキャンセリング性能が得られなくなってしまいます。
 写真◆気圧センサーの搭載によって、ノイズキャンセリング精度の向上を実現
本モデルでは、内蔵の気圧センサーによって周囲の気圧を認識し、ノイズキャンセリング処理を周囲の気圧に対して最適な処理に調整することで、気圧が変化した環境でも理想的なノイズキャンセリング性能を発揮することが可能となっています。
次にアプリケーションへの対応についてですが、まず大きな進化ポイントは、「外音コントロール」機能により、アンビエントサウンド(外音取り込み)モード設定時の、外音の取り込みレベルを調整できるようになった点です。どういう時に便利かというと、たとえばクラシック音楽のように静かな曲調ですと、外音を多めに取り込むと聴こえすぎて音楽の邪魔になってしまいますが、調整できれば環境や好みに合わせられます。このように、聴いている音楽や環境に合わせて自在に外音の取り込み方のコントロールができるようになりました。更にアダプティブサウンドコントロールにより、止まっている時、歩いている時、走っている時、電車などの乗り物に乗っている時という、4つの行動パターンに対して外音コントロールの設定をユーザーの行動に応じて自動で最適なモードに切り替えることが可能になりました。自分でいちいち操作をする手間からも解放されて、快適に音楽を楽しんで頂けます。さらにアプリ上ではサラウンドエフェクト機能やイコライザー機能により、好みの音質や音場で音楽を楽しんでいただくこともできるようになりました。なお、対応の機能に差分はありますが、今回の1000Xシリーズは3モデルともこのアプリケーションに対応しているので、1000Xシリーズの共通の特徴でもあります。
またWH-1000XM2は先代のMDR-1000Xから内部処理もさらに最適化が行われていて、実はバッテリー駆動時間が前モデルと比較して4時間ほど伸びています。
さらに高音質化機能のDSEE HXはMDR-1000Xでは常時オンでしたが、WH-1000XM2ではアプリからオフにも設定できるため、トータルでノイズキャンセリングONの状態で最大約10時間ほど駆動時間が延長でき、最大約30時間の連続音楽再生時間を実現できました。
MDR-1000Xでは最大約20時間でしたので、機能を増やしつつ、バッテリーがかなり保つようになっているんです。
  ⇒ 次のページ:オーバーヘッド型同等のノイズキャンセリング性能をコンパクトに実現した
 https://www.sony.jp/headphone/special/park/products_m1000/tech3.html
■02. WI-1000X■オーバーヘッド型同等のノイズキャンセリング性能をコンパクトに実現したネックバンドタイプのWI-1000X
 写真◆「業界最高水準のノイズキャンセリング機能を、より持ち運びやすい形にしたかった」と大庭氏
――ネックバンド型のWI-1000Xについて、まず基本的なコンセプトから教えて下さい。
大庭  出発点としては、MDR-1000Xで実現した業界最高水準のノイズキャンセリング機能を、より小型で持ち運びにも最適な形にしたかった、ということです。
地域や国によって人気が高い装着スタイルは変わるのですが、日本国内だと通勤中に音楽を聴く方が多く、イヤホン型が好まれる傾向が比較的高いです。そこでユーザー層としては30代前後のビジネスマンを想定し、デイリーユースしていただきたいなと。スーツにオーバーヘッド型は少し抵抗があるという意見もありましたので、インナーイヤータイプなら気軽に使っていただけるのではないかと考えました。
インナーイヤータイプでもWI-1000Xはネックバンド型です。形状としては2016年3月に発売したh.ear in Wireless(MDR-EX750BT) と似ています。この製品は、音楽を聴いていないときにも首にかけていられるという利便性が好評でしたので、WI-1000Xでも踏襲しました。
 写真◆左側がフィードバックマイク、右側がフィードフォワードマイク
 写真◆ソニービデオ&サウンドプロダクツ株式会社 V&S商品設計部門 機構設計部 機構設計4課 飛世速光氏
――WI-1000Xはインナーイヤータイプにもかかわらず業界最高クラスのノイズキャンセリング性能を実現したと聞いています。その秘訣はどこにあるのでしょうか?
飛世  いくつもあるのですが、まずはデュアルノイズセンサーテクノロジーを採用している点です。
ノイズキャンセリング用に騒音を集音するマイクを2基搭載しています。フィードバック(FB)マイクはドライバーと鼓膜の間の騒音を、フィードフォワード(FF)マイクはヘッドホンの外側の騒音をそれぞれ集音し、デジタルノイズキャンセリングICにより騒音を打ち消す信号を高精度に生成してノイズを低減しています。
FBマイクで外耳道の内の騒音を集音して低減させるFB方式と、FFマイクで外側の騒音を集音して低減させるFF方式の二つの方式を組み合わせることで、広帯域での高いノイズキャンセリング性能を実現しています。本モデルは業界最高峰のノイズキャンセリング性能を目指すモデルですので、デュアルノイズセンサーテクノロジーの採用は必須でした。
スペースが少ないインナーイヤータイプヘッドホンの小さい筐体内にマイクを2基配置するために大変苦労しましたが、機構設計担当 とも協力して何種類もの筐体の試作・評価を繰り返し、筐体構造を小型かつ最大限のノイズキャンセリング性能が得られる構造に最適化しています。
また、業界最高峰のノイズキャンセリング性能の実現の為には、ヘッドホン部の機構の最適化だけでなく、電気回路を含めたシステム全体の設計が非常に重要で、開発チーム全体で話し合いをしながら進めていく必要がありました。
 写真◆ソニービデオ&サウンドプロダクツ株式会社 V&S商品設計部門 モバイル商品設計部 商品設計2課 篠原哲也氏
篠原  電気的な部分の話ですが、強いエネルギーを持った低域のノイズを打ち消すには大きな出力段を持ったアンプや、低遅延で処理できるプロセッサなどが必要です。そのためMDR-1000Xと全く同じフルデジタルアンプS-Master HXアンプとバランス出力、デジタルノイズキャンセリングICのシステムが必須でした。S-Master HXによるSN改善、バランス出力によるクロストークとノイズ改善、デジタルノイズキャンセリングICの超低遅延での信号処理により、業界最高クラスのノイズキャンセリング性能を実現できました。
ただし、MDR-1000Xで開発したシステムをこのサイズに収めるのは大変でした。
基板レイアウトやパターン設計を完璧に仕上げないとS-Master HXの性能を最大限に引き出すことが出来ません。その為、最初のデザインを提示されてからは、MDR-1000X開発メンバーやデザイナー、機構設計担当と基板のレイアウト検討に多くの時間をかけました。
また、音質とノイズキャンセリング性能を再優先にしつつ、Bluetoothのアンテナ性能も担保しなくてはいけません。コンセプトとしてはMDR-1000Xを踏襲していますが、実際に出来上がった基板パターンはまったく別のもので、試行錯誤の末にノイズキャンセリング性能、アンテナ性能を維持しつつ、この形状に収めました。
 写真◆左:ダイナミックドライバー 右:バランスドアーマチュアユニット
――WI-1000XはXBA-N1同様のHDハイブリッドドライバーシステムを採用しています。イヤホンそのものとしても高性能だと思いますが、詳しく教えて下さい。
飛世 WI-1000Xは、XBA-N1やXBA-N3と同様に、9mmダイナミックドライバーとバランスド・アーマチュア・ドライバーを組み合わせた、HDハイブリッドドライバーシステムを採用しています。バランスド・アーマチュア・ドライバーはXBA-N3やXBA-N1と同じものですが、ダイナミックドライバーは、サイズは同じ9mmであるものの、異なるユニットを採用しています。バスの走行音や飛行機のエンジン音などの騒音は、低音域のエネルギーが非常に大きく、それらの騒音を打ち消すためには低音域の感度が高いドライバーユニットが必要になります。
そこでh.ear in NC(MDR-EX750NA) で採用している低音域の感度が高いタイプの9mmダイナミックドライバーユニットを組み合わせています。ノイズキャンセリングに最適なダイナミックドライバーユニットに加え、音質向上のためにバランスド・アーマチュア・ドライバーも加えた贅沢な構成です。このHDハイブリッドドライバーシステムによって、高音質と高いノイズキャンセリング性能を両立させることができました。
――WI-1000XはWH-1000XM2と同様には高音質なLDACコーデックにも対応し、DSEE HXも搭載して、ワイヤレスリスニングでもハイレゾ相当の高音質を楽しめるそうですね。
大庭 今後、Android OではOSレベルでLDACコーデックに対応するため、他社製品を含めて対応製品は増えていくと予想しています。また今回はaptX HDコーデックにも対応しています。
昨今、Bluetooth対応ヘッドホンが増えてきている中で、ユーザーが使っている端末に対して、もっとも良い音質のコーデックで繋がるのは大事なポイントになると思っています。
篠原 高音質に関しては、先にも述べましたが、WI-1000XはS-Master HXとバランス出力を採用したのがポイントです。
LDACなどの高音質コーデックの出力を、繊細な解像感、空気感、クリアな音場で再生できるのがS-Master HXの魅力です。また、バランス出力によって、チャンネル間のクロストークは無く、ノイズ影響も少なくなり、高音質化に寄与しています。開発途上ではネックバンド部のデザイン性の事を考えて、アンバランス出力にして基板を小さくしてはどうかという意見もありましたが、この商品は音質は譲れないということで、デザイナーとも議論の末、S-Master HXとバランス出力の両方を採用しました。
 写真◆幅の細さにこだわったネックバンドの首かけ部分
――WI-1000Xのデザイン面や装着性でのこだわりポイントを教えて下さい。
熊野  首にかける、という形状なので、ネックバンド部分はやはり細くしたかったんです。しかし先ほどの話にも出ましたが、 音質も妥協できないモデルなので、スリムさだけを追求するのではなく、音質と使い勝手を両立させることを目指し、皆で話し合ってこのサイズにまとめました。
苦労したのはこのステンレス素材を採用した部分ですね、横から見ると三次曲面になっていて、最初は難易度が高く実現は難しいと言われていました。しかし、機構設計担当に、ステンレスの加工を様々トライして頂き実現できたんです。
 写真◆ソニービデオ&サウンドプロダクツ株式会社 V&S商品設計部門 機構設計部 機構設計2課 山本秀人氏
山本  デザインは、ステンレスを全体に回す事をイメージしていると思いますが、それではアンテナ周辺がシールドされて感度が落ちてしまいます。そのため、アンテナ周りは感度が落ちない樹脂を使用し、二次加工にも気を使いました。
また、ネックバンドタイプで筐体も小さいのですが、音響重視なのでMDR-1000X相当の電気部品を入れなくてはいけません。そのため、従来モデルから基板レイアウトや形状を見直し、出来るだけサイズを小さくするのが大変でした。
 写真◆ソニーロゴやボタン部など、細部までこだわりが詰まっている
熊野  イヤホン部分にはダイナミックドライバーとバランスドアーマチュア、そして2基のマイクがあるという複雑な構成なので、シンプルで質感の高いデザインとしてまとめるには苦労しました。
ネックバンドのハウジング部分はソフトな材質を採用しています。理由は柔らかい触り心地とボタンとボディが一体となったシームレスなデザインを実現するためです。
また、ハウジング周囲のスリットに沿ってケーブルが収納できるようになってます。
この位置からケーブルを出すと耳からの距離を短くできる上、収納時にはケーブルが絡まるのを軽減でき、使い勝手に優れた形状になったと思います。
これはデザインから提案させて頂いたアイデアです。
山本  ハウジング部分にふたつのドライバーユニットを収めたという点ではXBA-N1やXBA-N3も同じですが、WI-1000Xはさらに2基のマイクを搭載しています。しかし、マイクが追加されたからといって装着性を犠牲にすることは許されません。安定した快適な装着感を実現できるように努めました。
  ⇒ 前のページ:ソニーの誇るワイヤレス&ノイズキャンセリングが3タイプで登場 
  ⇒ 次のページ:さまざまなストレスから開放されつつ、
 https://www.sony.jp/headphone/special/park/products_m1000/tech4.html
■03. WF-1000X■さまざまなストレスから開放されつつ、業界最高水準のノイズキャンセリング性能を実現した左右独立型ワイヤレス、WF-1000X
――左右独立型のワイヤレスヘッドホンでノイズキャンセリング機能を搭載した製品は珍しいと思いますが、WF-1000Xで両立できた秘訣はなんですか?
大庭  ワイヤレスヘッドホンといえども左右のイヤホンをつなぐケーブルが存在する製品が多く、ソニーとしても「完全にケーブルを排した、完全ケーブルレスは実現できないのだろうか?」という意見は社内で多くありました。他社製品も含めワイヤレス時代に突入し、左右独立型のワイヤレスヘッドホンを開発するにあたり、当初はノイズキャンセリング機能を搭載するか、通常のワイヤレスヘッドホンを作るかということも含めて議論がありましたが、MDR-1000Xのノイズキャンセリング機能が非常に好評だったので、この機能をぜひ入れ込みたいという強い思いがあったんです。
WF-1000Xの開発で大切にしたのは、他2製品とは少し異なり、ワイヤーが存在しない左右独立型ならではのストレスフリーな体験です。
もちろん音質は妥協せず、ノイズもワイヤーも気にならず、アダプティブサウンドコントロールによりノイズキャンセリングのコントロールからも開放されます。つまり3つのストレスから開放される、ということ。1000Xシリーズの中でも要素を削ぎ落とした製品ですので、最初の企画段階からどこまで削るかがポイントとなりました。
 写真◆ソニービデオ&サウンドプロダクツ株式会社 V&S商品設計部門 モバイル商品設計部 商品設計1課 佐々木啓太
 写真◆WF-1000Xのパーツ。小型化されたさまざまなパーツによって、業界最高クラスのノイズキャンセリングを実現している
佐々木  左右を独立させるには、大事なのは無線性能でアンテナの特性をいかに向上させるかがポイントです。最初は耳かけタイプにしたり、耳の裏側にを配置するようなデザインにしたりと、さまざまなコンセプトがありましたが、個人個人で形が異なる耳の形状の影響をあまり受けずに済む位置にアンテナを配置するためにこの形状になりました。
もっとも、この筐体にすべての機構を収めることは、当初はまず無理だろうと感じていました。左右独立型なので、左右それぞれにBluetoothモジュールが組み込まれています。過去の製品とは違い、いかにデバイスを少なく製品を成立させるか、という検討が必要になりました。とはいえ音質を妥協することはできません。採用部品の多くが、最先端のコンパクトなパーツを選んでいます。搭載しているドライバーユニットも新規開発です。
――ドライバーユニットは新規開発とのことですが、他にもこの小さな筐体で高音質化を図るための苦労があれば教えて下さい。
 写真◆新開発の6mmのダイナミックドライバーユニット
飛世  WF-1000Xには新開発の6mmダイナミックドライバーユニットを採用しています。小さい筐体サイズで高いノイズキャンセリング性能を実現するために、小型かつ低音域の感度が高いドライバーユニットが必要不可欠でした。独自のシミュレーション技術による振動板形状の最適化と、高い駆動力をもつ外磁型磁気回路の採用によって、6mmと小型ながらも高い低音域感度をもつドライバーユニットが完成しました。
佐々木  電気的な話ですけど、どうしても回路の中でのってしまうノイズがあるので、それをなるべく減らすことがポイントとなります。たとえば電源周りのノイズはそのひとつですが、筐体が大きな製品であればコンデンサを追加して改善できるノイズでも、今回のようにサイズ優先の製品では簡単にはいきません。回路パターンやレイアウトなどの設計を工夫することでノイズを極力小さくしていきます。実際に音を聞かないとわからないので、試作を繰り返して実験しました。
 写真◆専用のクレードルに収納することで充電が可能なので、充電切れの心配もない
また左右独立でそれぞれにバッテリーを搭載するため、充電に必要なクレードル側の工夫も必要でした。充電で回路に電流を流すと熱を保ちますので、この小さな筐体でうまく放熱させるため、機構設計のメンバーとバッテリーやNFCアンテナのレイアウトを工夫することで最適化を進めました。
――デザイン面や装着性を向上させるため、こだわったポイントを教えて下さい。
 写真◆装着性向上のために繰り返しつくられた試作の数々
熊野  装着性はもちろん重要です。この製品は実装するデバイスも多いので、装着性を考えながらのレイアウトはとても苦労しました。
装着を安定させるサポーターもクレードルに入れて充電するにはなるべく小さくまとめたいところ。今回は、耳へ挿し込み、ちょっと下向きに傾けるように回すと、内側に引っかかって固定される仕組みになっています。これに関してはひたすら試作を繰り返して決めました。
1000Xシリーズ全体としての統一性に加え、質感を高く、アクセサリー的な感覚で魅せる一面もありつつ、左右独立型という先進感とのバランスを取ることを心がけました。筐体の凸凹が目立たない形状にしましたが、わたしたちはシングルシェイプと呼んでいます。
やはり大事なことは、この小さな筐体にすべての機能を搭載しつつ、当たり前ですが耳の中にも入らなくてはダメということ。そのために内部のレイアウトについては電気設計チームと打ち合わせを繰り返しました。
 写真◆デザインに組み込まれる形で前面にでているアンテナ
デザインで苦労したところですが、この透明樹脂の中に見えるループ状のパーツ、実はアンテナなんです。
全体的に一体感のあるデザインの中で、アンテナ位置を前方へ出すことで感度を高めつつ、デザイン要素に取り込んでいます。
また透明部分はLEDインジケーターのレンズとしても活きます。
これまでもアンテナについてはデザインの最終段階で悩まされていたんですが、今回の製品では安定してつながらないと意味がないので設計の初期段階からずっと気にしていて、最終的にデザインとしても取り込めたのは良かったですね。
このように、ワイヤレスノイズキャンセリングヘッドホンのフラッグシップ的存在として非常に好評だったMDR-1000Xの性能や機能をベースとしつつ、強力に進化し、またユーザーの好みや使用スタイルに合わせて3タイプが選べる1000Xシリーズ。多くのヘッドホンユーザーにとって気になる製品となることは間違いなさそうだ。
  ⇒ 前のページ: オーバーヘッド型同等のノイズキャンセリング性能をコンパクトに実現した
 写真◆ネックバンドタイプのWI-1000X
 写真◆業界最高水準のノイズキャンセリング性能を実現した左右独立型、WF-1000X
●商品情報●ワイヤレスノイズキャンセリングステレオヘッドセット
 WH-1000XM2 ノイズからもケーブルからも解き放たれ、こだわりの高音質に浸る。ハイレゾ級ノイキャンワイヤレス
 WI-1000X  ノイズからもケーブルからも解き放たれ、こだわりの高音質に浸る。ハイレゾ級ノイキャンワイヤレス
 WF-1000X  ノイズからもケーブルからも解き放たれ、こだわりの高音質に浸る。スマートノイキャンワイヤレス
 https://www.sony.jp/headphone/special/park/products_m1000/tech5.html

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「日記」カテゴリーもっと見る