ああ~、なんか最後も儚げに終わってしまったよ・・・。
「蟲師」
漆原友紀
講談社
なんだかどんどん哀しくなっていったなあ。。。
人って切ないよね。
ヒトは自然の摂理からは、かけ離れてしまったような
ちょっと偉いような、そんな気持ちになってたと思うけど、
ほんとはちゃんと自然の一部なんだ、
ヒトだけはずれてる、なんてことはありえない、という話を
最終話でギンコが語るのだよー。
光脈筋の近くに住む人々の中から、
新しいヌシが、しかもヒトが選ばれたというのは、
少しうれしかった、と言うギンコ。
ヒトははずれてしまったのかと思っていたけど、
ちゃんと組み込まれていたんだよね。
それでもヒトが心を持って、ヒトとして生きようとするのは
当然の心理で、ほんのちょっとでも一緒に暮らした
親や兄弟を恋しく想う気持ちも当然。
それを咎められることはない、根無し草のおれが行こう
と決意するギンコは、なんだかせつなくて、
ほんとはいやだけど、怖いけど、でもヒトだってちゃんと輪に入ってるんだって、
共生できるはずだって、そういう願いが込められてる気がしたよ。
「香る闇」の話も、すごくすごく奇妙な話ではあるけれど、
とってもとっても気持ちはわかる話。
ずっと同じ人生を繰り返し生きていることに気付かず、
何度も何度も繰り返す。
最後は気付いて、繰り返さない新しい人生を歩むのだけど、
妻が死にかける事故に遭う。
そこで、もう一度だけ、と廻廊に入る・・・。
ヒトって愚かだよね。
だけど、自分だったらどうする?
絶対同じことをしたと思う。
ヒトは愚かだけど、相手を慈しんだり、
愛しく想ったり、絶望しても立ち直ったり
そういうチカラを持っている。
それが蟲との違いなのだよ。
まったく違う生き物だけれど、
共生していこう、歩み寄ろう。
共に生きなければ、未来はないのだから。
儚くて、温かい、せつなくて、哀しい、
でも愛おしい。
懐かしい気持ちにもなる。
日本は、世界は美しいねって、
そう素直に思えるお話でした。
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