いろいろな税に関する話題

いろいろな税金のお話を書こうと思います。

在宅勤務手当の非課税額

2021-02-07 10:19:06 | 源泉所得税
今朝の新聞に、パナソニックが令和3年度から在宅勤務を支援する制度を始め、対象の従業員には1人月3,000円の「リモートワーク手当」を支給するという記事がありました。

この「リモートワーク手当」の課税の取り扱いはどうなるのでしょうか。

パナソニックのこの手当の個別の取り扱いは分かりませんが、先月1月の末に、在宅勤務手当の課税の取り扱いの基準が国税庁より発表されています。

一般的な基準はこうです。

在宅勤務に通常必要な費用について、その費用の実費相当額を精算する方法により、企業が従業員に対して支給する一定の金銭については、従業員に対する給与として課税する必要はありません。

例えば、自宅の電話料金を会社が負担する場合の取り扱いは次のとおりです。

通話料(基本使用料を除きます。)については、通話明細書等により業務のための通話に係る料金が確認できますので、その金額を企業が従業員に支給する場合には、従業員に対する給与として課税する必要はありません。
基本使用料、インターネット接続に係る通信料などについては、業務のために使用した部分を合理的に計算する必要があります。

通話明細がない場合もありますし、合理的に計算すると言ってもなかなか難しいので、次の【算式】により算出したものを、業務のための通話に係る料金として差し支えないこととされています。

【算式】
業務のために     従業員が負担した     その従業員の1か月の在宅勤務日数    1
使用した基本使  =  1か月の基本使用   × ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー × ―
用料や通信料等    料や通信料等          該当月の日数           2

(注) 上記算式の「1/2」については、1日の内、睡眠時間を除いた時間の全てにおいて均等に基本使用料や通信料が生じていると仮定し、次のとおり算出しているようです。
① 1日:24 時間
② 平均睡眠時間:8時間(「平成 28 年社会生活基本調査」(総務省統計局)で示されている7時間 40 分を切上げ)
③ 法定労働時間:8時間
④ 1日の内、睡眠時間を除いた時間に占める労働時間の割合
:③÷(①-②)= 8時間/(24 時間-8時間)= 1/2

【例】
従業員が9月に在宅勤務を 20 日間行い、1か月に基本使用料や通信料1万円を負担した場合の業務のために使用した部分の計算方法。
        20 日(在宅勤務日数)    1
10,000 円  × ーーーーーーーーーーーー ×  ーー  =  3,334 円(1円未満切上げ)
        30 日(9月の日数)     2
という計算になり、支給した1万円のうち3,334円が非課税になり、残りの6,666円は給与として課税されます。
この例で3,334円だけ支給するのであれば、全額非課税ということになります。

(注)上記の算式によらずに、より精緻な方法で業務のために使用した基本使用料や通信料の金額を算出し、その金額を企業が従業員に支給している場合についても、従業員に対する給与として課税しなくて差し支えありません。

これは、通信費の例です。
国税庁ホームページのFAQには電気料金などの例も掲載されていますので、ご覧ください。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0020012-080.pdf

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