
「プテラレンジャー、メイ! 愛の戦士!」
「タイガーレンジャー、ボーイ! 希望の戦士!」
「マンモスレンジャー、ゴウシ! 知恵の戦士!」
「トリケラレンジャー、ダン! 勇気の戦士!」
「ドラゴンレンジャー、ブライ! 力の戦士!」
「そして俺は、皆の力を1つにまとめる……ティラノレンジャー、ゲキ! 正義の戦士だ!」
バンダイアメリカの『パワーレンジャー』より、メガウルトラゾードです。まぁ『恐竜戦隊ジュウレンジャー』の究極大獣神と言った方が馴染み深いですね。放送当時発売されていた玩具ではなく、最近になってリリースされている、完全新規金型のレガシーシリーズです。超合金魂のような完全な大人向けアイテムではありませんが、当時品よりはプロポーションやディティールが改善され、価格もまぁそれなり。発光ギミックや電動走行ギミックこそオミットされているものの、プレ値で当時品を集めるくらいならこっちの方がいいかなぁという感じです。
究極大獣神は、ファンタジー戦隊ロボの始祖にして、一つの頂点に達した記念碑的存在であります。意志を持った神として描写されたのは前回の日記でも書きましたが、玩具としても戦隊ロボ史上初の『三つの商品を合体させて完成する全合体ロボ』でありました。大獣神、ドラゴンシーザー、キングブラキオンの三商品を合体させて完成するその雄姿は今見ても全く色褪せる事なく、人型でないがゆえに唯一無二の魅力を放っています。それまでの戦隊ロボではせいぜい二体のロボットが合体するくらいで、スーパーターボビルダーやマックスマグマは合体ではなく収納。『ジェットマン』のテトラボーイは武器ロボなのでボリューム不足……という感じでした。それらの不満を吹き飛ばす大迫力アイテムがこの究極大獣神だったわけです。次回作の『ダイレンジャー』の重甲気殿では完全に人型を離れてしまったので、これを超えるボリュームの全合体玩具は『炎神戦隊ゴーオンジャー』のエンジンオーG12、『侍戦隊シンケンジャー』のキョウリュウサムライハオーの登場まで待たなければなりませんでした(ハリケンジャーの天雷旋風神は、イルカが丸ごと余剰というのが受け入れがたいです)。つまり前回の日記で紹介した宇宙創撃王のような、SFビークルのみで構成されたロボット三体によるグレート合体は、日本のスーパー戦隊の歴史上一体も存在しないわけですよ。

割と珍しいサイドビュー。レガシーシリーズではドラゴンゾード(ドラゴンシーザー)の尻尾が非常に長く太く造形されていて、各節ごとに伸縮・可動します。その為究極大獣神モードでもバランスが取れていて好印象ですね。全身の複雑な文様は全てタンポ印刷。当時品ではシール処理だった部分も全て立体造形・塗装処理されていて、質感はバッチリです。電動走行はしませんが、タイヤの動きに合わせて両脇のテイルキャノンを上下するギミックはあります。
ちなみにこの商品の欠点として、ドラゴンシーザーやキングブラキオンの爪先にダイキャストパーツを使った結果、究極大獣神モードで大獣神が前屈みになってしまう……というものがあります。一応膝関節補強パーツなんかも付いてますが、使ったところで焼け石に水といったところ。画像ではドラゴンアントラー(剛龍神の手持ち武器)の柄のパーツを股間に宛がい、つっかえ棒としています。余剰パーツが一個減る上に、効果覿面なのでお勧めです。あとマンモスシールドも余ってしまうので、キングブラキオンの首の根元にセットしてみました。首の可動を利用して抑えてあるので、ちょっと触ったくらいではポロリしません。大きくシルエットを崩さず、かつ間延びした隙間を埋められるので、個人的には気に入ってますね。これで後は大獣神の剣と、ドラゴンシーザーの差し替え手首が余るのみ。これくらいならキングブラキオンの隙間に放り込んでおけばOKでしょう。どうせ究極大獣神は、大獣神がキングブラキオンに乗っている『だけ』なので(ジョイントなどで固定されているわけではない)、持ち上げてブンドドなどしませんからね。仮にも相手は究極の神なのですから、平面に安置して崇め奉るだけです。



分離状態の五大ダイノゾード(守護獣)。合体する事で、記念すべきパワーレンジャー第一号ロボット・メガゾード(大獣神)となります。レガシーシリーズでは最初にリリースされただけあって玩具の出来が悪く、他の二体と比べると見劣りする個所が多々あります。特にシールを多用しているのが見た目を非常に損ねていますね。ディティール・ギミックなども当時品と大差ありません。サーベルタイガーの脚はほとんど可動部がないですし、トリケラトプスの尻尾に至っては当時品よりディティールが劣ります(本来は先端がH型のトリケラカノンになっているはず)。写真では隠れていますけど、ジュウマンモスのビーム砲をプテラノドンの脚に代用できるギミックは健在です。
ダイノタンカー形態は、一部俺変形しています。戦隊ロボの第二形態というこのギミックは、古くは『科学戦隊ダイナマン』のダイナロボ(ダイナギャリ―に他の二体を積載できる)が挙げられますが、始祖と言えるのは『地球戦隊ファイブマン』のファイブトレーラーでしょう。好評だったのか、次作『鳥人戦隊ジェットマン』のイカロスハーケン、そしてこのダイノタンカーと引き継がれ、『五星戦隊ダイレンジャー』では龍星王が単体でロボに変形、他の四体が天空気殿に合体してコンビネーションできるというプレイバリューにまで昇華されました。



悪の戦士にして後に六人目の戦士となり、最終的にはパワーレンジャーのリーダーとなるグリーンレンジャーの愛機ドラゴンゾード。三体のダイノゾードと合体してメガドラゴンゾード(剛龍神)になります。当時品と違ってドラゴンアントラーのドリル部分が長く、より自然に手首にセット可能。膝のアーマー(ドラゴンシーザーの爪先)がダイキャストなのでバランスがやや悪く、つっかえ棒としても有効です。いい加減、合体ロボに合金パーツなんて百害あって一利なしと理解してもらいたいですね。やたらとダイキャストパーツを使いたがるメーカーが多いですが、使うからには自重のバランスや関節の保持力をしっかりと計算して頂かないと。トランスフォーマーや勇者ロボ世代としては、オールプラスチックでいいからギミックや余剰パーツの処理をしっかりしてもらいたいなぁと思う今日この頃です。
なお、当時品では可能だったウルトラゾード(獣帝大獣神)のフル装備(ドラゴンアントラーを分割して左右の肩アーマーに懸架する)は不可能となっております。ドリルが長すぎるしジョイントも合わないんですよね。まぁそんなカッコいい形態でもないので構わないでしょう。むしろこんだけデカいと、ドラゴンアントラーは獣帝大獣神用の武器にした方が似合っている気がします。当時は「上半身にパーツが集中してバランス悪いなぁ」と思っていましたが、宇宙創撃王を見た後だとコレでもスマートに纏まっている気がしてくるから怖いものです。あくまで獣帝大獣神は、究極大獣神の中間ユニットですからね。

最後にして最大のダイノゾード・タイタヌス(キングブラキオン)。大獣神の剣以外の余剰パーツは、こいつの体内に放り込んでおける便利な守護獣です。当時品と違ってテイルキャノンの肉抜きが目立たず、首も関節一つ一つがボールジョイントになっています。パワーレンジャーではニンジャメガファルコンゾード(スーパー隠大将軍)、ショーグンメガファルコンゾード(スーパー無敵将軍)とも合体……というか乗せるだけですが、しておりました。当時品の玩具では再現可能。このレガシーシリーズでも多分再現できるんじゃないでしょうか。私も日本版の当時品を所持してるので、やろうと思えば試せるのですが……思い入れが無いので試してません。
そんなわけでレガシー・メガウルトラゾードでした。今頃になって新規玩具がバンバン発売されるとは、アメリカにおける初代パワーレンジャー人気の凄まじさが窺えますね。既にホワイトタイガーゾード(ウォンタイガー)も発売、メガサンダーゾード(大連王)の試作品も公開と、破竹の勢いです。日本でもウェブ限定でいいから発売してもらいたいところ。特に大獣神はシールを塗装に変更して出し直してもらいたいです。ドラゴンダガー(獣奏剣)もOPメロディを収録したためか音声が当時品より一個減ってたし(ドラゴンシーザーを宥めるメロディがオミット)、パワーモーファー(ダイノバックラー)は一部ディティールが異なるので、これもきちんとしたジュウレンジャー版の発売が待たれるところです。狭い日本市場でそんなの発売して、果たして採算が取れるのかは怪しいところですが……。