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身体の景色 (karada no keshiki)

終戦記念日 2013.8.15 ミリャン国際演劇祭を終えて

過去の演出ノート、論考等、随時こちらのブログにアップしてゆきます。
以下はミリャン国際演劇祭を終え書いた文章です



散歩

古びた石が気になり足を止める
それは天保に作られた石碑
下の方には天保時代を生きた人々の名前らしきものが刻まれている
すり減っていて読めない
名前の一つ一つを指で触っていたら 石碑の向こう側に鳥居が見えた
この辺りに鳥居があった記憶がない
僕は何気なく鳥居に向かう
鳥居をくぐり抜け境内へ
誰もいない

終戦記念日
昼に黙祷を捧げたが改めて祖父母達に手を合わせる


ふと ミリャンの景色が蘇る

例えば
こんなことがあった

終演後 広場で観客も含め皆で飲んでいた時のこと
興が乗った韓国の舞踊家(人間国宝の方!)が突如踊り始めた
そこに中国の舞踊家が楽し気に加わりゆき
そしてのちコノミさんが導かれる様に加わっていった
日中韓の即興セッションの始まりである
それはごく自然に生じた

人々がどんどん集まり輪になってゆく
舞踊家たちのイメージが飛翔してゆく
時空が歪んでゆく

あの美しさを あのかけがえのなさを どう表現したらいいだろう
折りしも政治的摩擦が激しさを増してゆくこの中で

例えば
こんなことがあった

WS2日目
コリペ演出部の粋な計らいでメニューになかったのだが急遽コリペの看板俳優スンホンさんと僕とでセッションを行なった
二つの身体が優しく溶け合う豊かな空間が立ち上がる
僕の身体に鳥肌が駆け抜ける
これは特別な瞬間だ 演じながらそう思った
初対面の二人が演劇を通し信頼と尊敬 敬意と好意を交換しながらゆっくりと空間と化してゆく過程

作り手の意思だけではどうにも到達できない地点
場の力 集まる人々の力 時の力…

本番
カーテンコールで起きた拍手 歓声 熱気 興奮
これらは大切な宝である


ミリャンで起きたこと
いくつかの ささやかだけれど とても大切なこと
書かなければもしかしたら僕は忘れてしまうかも知れない
忘れてはいけない
忘れてはいけないことは けして忘れてはいけない


身体の景色が 孫たちへ残すに足る何かを掴み取れますように

二礼 二拍手 一礼


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言葉の景色

短編小説を使ったささやかな語りの世界を 継続的に発表してゆきます 速度と軽快さに満ち溢れたこの膨大な情報世界に 静寂と余白の向こうを見詰める...

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