生野 宏宜の石彫

彫刻家 生野 宏宜 の宇宙
高知県の清流仁淀川の川原石に彫刻をすることで何かを社会に発信したいと考えています。

今度の日曜日

2005年11月29日 23時13分39秒 | Weblog
        「エスキース」 h-15cm 2004制作

12月4日日曜日に作品展示をします。
このブログに載せた作品のうち20点を並べます。
入場無料です。
仁淀川お宝地図も持参します。
是非お出かけ下さい。
会場でお待ちしています。

場所は高知市中央公園内、新京橋プラザ寄りの噴水近くの池の周りです。
人権週間のイベント「じんけんフェスタこうち2005」の会場内です。
午前10時から午後3時40分まで。

人権についてちょっとだけ考えてみませんか?
自分に許されていることは何と何で、許されていないことは何と何なのか。

小さな砂岩に試しに彫ったものですが、ヒビが出てきてくずれやすいものです。
川原で焚き火をすると、石が焼けて脆くなったりヒビが入ったりしてとても困ります。

紙の使用を減らす

2005年11月28日 23時27分48秒 | Weblog
       「巣立ち」 h-12cm 2001制作

まずは昨日のわくわく探検隊の実施について、事前の告知が不十分であったことをお詫びします。
始めは所用で参加できないと言うことで失礼するつもりでしたので、お任せしていたのです。

写真の一部をアップロードしましたのでご覧下さい。


二酸化炭素削減に心掛けていることに 紙の使用に気を付けています。

なるべく再生紙か パルプ以外の原料の紙を使うようにしています。

とくにティッシュペーパーはほとんど使いません。
鼻をかむのもハンカチを使い、各自自分で洗うようにしています。

日本人のティッシュを始めとする紙の使用量は大変なもので、世界中の熱帯雨林を紙にして捨てているのです。

熱帯雨林を伐採しなければ吸収したであろう二酸化炭素の量は地球の環境に影響を及ぼす位です。

緑のジャングルと、そこで暮らす人や生き物たちのためにも、日本人は今の1割でもティッシュの使用量を減らすべきでしょう。

ティッシュの替わりに土佐和紙を使ってはどうでしょう。
和紙のハンカチです。
1回で使い捨てするのでなく、何度も使える強さと柔軟性を持っています。

全く日本人と来たら、切らなきゃならない自分とこの木は伐りもせずに、伐ってはならない他所の国の木をむちゃくちゃ伐って捨ててしまう困った国民です。
我々一人ひとりが慎まなければならないことだと思います。


紙漉き体験、今回は3人の児童が体験できました。


中島の水制郡の見学の後、仁淀川次郎兵衛の石碑の前で、次郎兵衛の昔話の紙芝居をやりました。
みんな熱心に見ていました。
尾崎君なかなかうまかったよ。
この石碑の石はやっぱり仁淀川の川原石みたいでした。

今日の作品の石と同じと思われます。

仁淀川のツアー

2005年11月27日 21時47分31秒 | Weblog
       「翼のある猫」 h-10cm 2003制作

親子で仁淀川を探検しようと言うツアーが 仁淀川わくわく会議の主催で実施されました。

今日は下流域の土佐市を中心にまわりました。

わくわく会議とは、国土交通省と県、市町村、高知市水道局、商工会、漁協、四国電力、ロータリークラブで構成された流域活性化を目的とした会です。
主に下流域を活動範囲にしています。

スタッフの中には、我が仁淀川お宝探偵団のメンバーも何人か含まれていて、情報提供も彼らが担当してくれました。

仁淀川流域文化遺産をバスで訪ね歩くツアーで、
川の水制や堰を見学したり、
伝説の相撲取り、仁淀川次郎兵衛の石碑や、出来物腫れ物にご利益があるという「お弥勒様」を訪ねたり、
土佐市高岡の古い町並みや、日曜市を歩いてみたり、
手すき和紙の工房を訪ねて体験させてもらったり、
最近発見された天崎の鍾乳洞を特別に見せてもらったりと、
実に盛りだくさんの探検ツアーでした。

中でも水制や堰の説明に感動した子供が多かったようです。
他にも手すき和紙の体験とか鍾乳洞探検に興奮していました。

参加したたくさんの子供たちにとって今日は素晴らしい一日だったに違いありません。
今日のイベントは大成功でした。
皆さんご苦労様でした。

これを手始めに流域全体にツアーを広げるといいなあと思いました。


ル=グウィンの「空飛び猫」を読んだあとに彫った作品です。

ヨモギの効能

2005年11月26日 22時28分11秒 | Weblog
        「安心」 h-8cm 2001制作

池川のおばちゃんにいいことを教わりました。

しば餅に使うヨモギの料理法ですが、摘んできたヨモギを重曹を入れて湯がき、ミキサーにかけて冷凍した物を一年中使っているのだそうです。

重曹を使うのは緑色の発色をよくするためです。

ヨモギはうちでも万能薬で、ミネラルやカルシウムが豊富で 胃腸によく、虫下しにもなりますし、切り傷、擦り傷、虫刺され、火傷にも揉んでつけます。
他にも、水中眼鏡の曇り止めにも効果があるので、あるとき土砂降りで自動車のフロントガラスが曇った時にも付けてみたら助かったそうです。

虫刺されと言えば、ムカデに刺されたときは、お茶の葉っぱを摘んできて、口の中でよく噛んで、つけると痛みが引くそうです。

それでムカデ除けのまじないに「お茶」の字をさかさまにして貼っているのかな。
ムカデのときはお茶の葉っぱですよと思い出すために。


フクロウは安心するとこんな姿で寝るそうです。

木どり家

2005年11月26日 00時45分09秒 | Weblog
       「初めてのおつかい」 h-15cm 2001制作

仁淀川町池川に木工工房「木どり家」があります。
池川は、林業の町で 今でも製材所が何軒かあります。
間伐材のハザイや切り倒した木の処理等で破格の安さで材料が手に入り、木工機械は無料で使えます。

材料費だけ払うと、テーブルや椅子スノコなど何でも手作りできます。
手間賃を払えば作ってもくれますが、ここでの原則は自分で手作りです。

今日も木どり家でテーブルとカウンター板を作ってきました。
師匠たちの適切なアドバイスのおかげで着々と出来上がっています。

木どり家の運営は、遊遊会という地元の元気なおばちゃん達が行っています。
遊遊会は他にも、山菜採りや茶摘、芋ほり、お月見会などのイベントも行っています。

因みにテーブルは、2,000円から8,000円位でかなりいい物ができます。

金・土・日の営業です。
仁淀川での木工体験などはいかがでしょうか。

連絡先は、0889-34-3655木どり家(金・土・日) 090-1004-9501三浦(月・火・水・木)です。

手段は目的を喰う

2005年11月24日 20時17分26秒 | Weblog
        「スタイリッシュな石」 h-15cm 2005制作

知謀があって、行動力のある人にありがちな間違いに、「目的のためには手段を選ばない」落とし穴に落ちることがあります。

恥も外聞もなく 情け容赦もなく 知恵もない、非常に傍迷惑な行いです。

どんなに高貴な目的であれ、手段で低次元を選べば全てが低次元になり台無しということになります。

逆に、目標が俗っぽいものであっても、手段がしっかりしていれば、だんだん次元の高い事業になるものです。

世界平和をうたって戦争を起こすより、うまいビール飲たさにゴミ拾いをしたり棚田を手入れしたりする方が、いい結果を残せるのです。

面白いことに、坂本龍馬は、北辰一刀流の免許皆伝の腕を持ちながら、一人の人間も殺したことがないんだそうです。

雲に隠れた頂上を目指すより、草花や小鳥の声や景色を楽しみながら、ぼちぼち歩いて行きましょう。
コンパスは頭の中ではなく、言葉もない心の中にあります。

スローガンを掲げて自分にノルマを課して、自己満足と無力感の間を行き来する生き方もありますが、たまにはこの言葉を噛みしめてみませんか。

「手段は目的を喰う。」

秋祭り

2005年11月23日 22時26分22秒 | Weblog
        「沈黙」 h-12cm 2002制作

11月23日は勤労感謝の日で休日ですが、秋祭りの日でもあります。

いのの大国さまの秋の大祭の日であり、池川神社の大祭の日でもあります。

池川では神楽の奉納があり、これはお薦めです。

椙本神社は いのの大国さまと呼ばれて親しまれていますが、春秋2回の大祭があります。
とくに秋の大祭は、「おなばれ」と呼ばれる行列をなして、仁淀川の川原まで神様が出かけられる行事を行います。

神様(大国主命)は漆塗りの六角形の神輿に乗っています。

今年は川原まで降りずに、土手の上から仁淀川を見下ろしておられました。

巫女さん稚児さん子供神輿にお囃子と、子供たちの参加が目に付きました。

とてもいい事だと思いました。

いのでも池川でも よく名前は知りませんが、天狗のような面(サルタヒコ?)や鬼のような面(スサノウ?)をつけて、あるいは獅子舞で小さな子供たちを恐がらせています。

晴れ渡った秋空の下で、子供たちの泣き声や笑い声が笛や太鼓の音の間から聞こえてきました。

子供にとってトラウマになりそうなこの伝統は、想像力の発育には一役買っているのかもしれません。

クッキーおばさん

2005年11月22日 23時55分11秒 | Weblog
        「クッキー奥さん」 h-23cm 1998制作

オーブンを使った料理もいいものです。

ケーキやパイ、クッキーなどのお菓子とか、パン類、ピザやドリア、グラタン等等。

因みにうちの奥さんの自慢は、アップルパイとその生地で作ったクラッカー風のクッキーです。
機会を設けて是非味わって下さい。

と言ってもこの作品の奥さんは、あまり似ていません。

越知町の川原で拾った面白い石で彫りました。

個人的に大好きな作品です。
優しくてふくよかな小母さんの顔です。
彼女もきっとおいしいクッキーやケーキを焼いてくれるに違いありません。

願いはかなう

2005年11月21日 22時08分44秒 | Weblog
        「じゃれる」 h-10cm 2003制作

ひょっとしたら、今の現実は自分がかつて願ったことがかなった結果じゃないかと思うことがあります。

子供たちにしても、こんな風に育って欲しいと願った結果、今のようになったのでしょう。

グリムの童話に、神様に親切にしてあげたら、お礼に3つ願いをかなえてくれるというのがありましたよね。
けちな人が無理やり親切を押し付けて3つの願いを頂くのだけど、発想がけちなものだからろくな願いが出来なくてそれが全部かなってしまうのです。

あれと同じことをやってしまっているのです。

今の社会、今の自然環境、この世界も、望んで かなえられた世界なのかもしれません。

そうであるならば、まずこの世界を受け入れることから始めなければならないでしょう。

その上で新たな望みを抱くのが手順でしょう。

勿論それも賢い望みでなくてはなりません。

自分や子供たちの未来を奪ってしまうような望みは賢いとは言えないでしょう。

現実をキチンと受け入れて、賢い望みを持って日々を暮らすことが、明るい未来を実現すると信じています。

無邪気に遊んでいる子猫を見ていると、こんな生き物を作ってくれた神様に感謝してしまいます。


川談義

2005年11月20日 20時19分58秒 | Weblog
        「風神」 h-15cm 2002制作

休校中の小学校と言うものはなぜか胸の詰まるものがあります。

仁淀川流域だけでも子供のいなくなった学校は随分あります。

今日は片岡小学校を訪れてきました。

仁淀川流域の関係者と物部川流域の関係者が集まり、川談義をしたのです。

越知町の片岡と言うところは、中流域に当たり、最も仁淀川らしさの残る地区です。
片岡と言えば沈下橋がありますが、子供たちがこの学校に通うために、母親を始めとするたくさんの人の努力で出来た伝説の橋なのです。
沈下橋がかかるまでは渡し舟が唯一の交通手段でした。
昭和40年代の話です。
時は流れ、片岡小学校からは子供の声は消え、教具たちだけがひっそりと子供たちの戻ってくるのを待ち続けているのです。

今日の川談義でも少子高齢化のことは大きなテーマになりました。

子供を川に取り戻すには、責任を追及する現在の社会通念から変えなくてはなりません。

あってはならない事故の責任を恐れて、子供の周りの大人たちは 自然を遠ざけてしまっているのです。
自然を離れて環境教育も命の大切さもないと思います。

責任の追及で亡くなった命が返るものでもありません。
危険を直視し、危険を回避する方法を与えることの方が大人の義務ではないでしょうか。

救急救命のテクニックと最低限のサバイバルテクニックは義務教育すべきことだと思うのですが。

わが子を失くす悲しみは想像を絶するものがあるとは思いますが、そのやり切れなさを 過ちを犯したものを苦しめることで購うのは、苦しみをこの世に増やすだけのように思うのですがいかがでしょうか。
何をするにも弁護士と相談して決める世の中にしてはいけないと思います。

この作品につけた最初のタイトルは「不如帰(ホトトギス)」でした。
口から血を吐くまで鳴き続けるといわれる鳥ですが、この付近でも夏の間しきりと鳴いていました。
血を吐きながら鳴くのならきっとこんな形相をしているのではないかと想像したのです。
それではあまりにも凄すぎるかなと思い直して「風神」にしました。

足るを知る

2005年11月19日 22時09分37秒 | Weblog
         「満足」 h-14cm 2001制作

地上に生を受けて生きている限り、満足と不足の繰り返しは続きます。

それを「苦」と見るか、素敵なことと見るかは、人それぞれの生まれてきた目的によって違ってきます。

お釈迦様は「苦」と見てそれを消滅させるために燃えるような情熱を傾けました。

かれは足るを知る人ではなく、究極の欲望である彼岸への到達を渇望し、達成する役割を果たした人でした。

ゴータマ王子が、
「お腹がすくからご飯がおいしく食べられるんだよね。生きるって素敵なことだ。」
なんてこと思ってたら、あの深遠な東洋哲学は生まれなかったでしょう。

何かを達成しようとする情熱は、満足に安住することを拒み続けるものです。   

しかし、常に不足の中に身を置くと、自分の実像を見失う可能性があります。

無いものねだりをしていると、自己否定してしまうのです。

時には不足の中に満足の一瞬も入れることにより健全な成長もあるのではないでしょうか。

山寺の和尚さんみたいなこのお地蔵さんは言っています。
「どんな時でも満足できるからこそ、不足も楽しめるのじゃ。」
と。

携帯してるモアイ?

2005年11月18日 23時23分52秒 | Weblog
        「携帯電話」 h-22cm 1998制作
 
携帯電話の普及率は凄い物で、持ってない人の方が少ないと言うか、社会の迷惑とさえ思われてる節があるほどです。

仕事をしたりグループで行動するときなど、ひとりでも携帯持ってない人がいると足手まといになりかねないのです。

かく言う私も持ってないひとりです。
       
いろんな方々に迷惑をおかけしていることと思います。

さりとていまさら持とうとも思いません。

電話でさえもなければいいのにと思うくらいです。

かかったときも緊張するけど、かけるときの緊張は大変なもので、とてもしんどいです。

まだパソコンのメールの方がいくらかましです。

猫も杓子も暇さえあれば携帯をにらんでる姿は異様に見えるのは私だけでしょうか。

猫も杓子も携帯しているのなら、モアイも携帯します。
イースター島の沈黙はこうして破られたのでした。
モシモシモシ・・・・ハイ・・・ハイ・・・・・


新作発表

2005年11月17日 22時54分35秒 | Weblog
        「同じ空の下」 h-25cm 2005制作

出来たばかりの作品です。

身近な水環境の全国一斉調査を 年に一度 実施していることは前にも書きました。

そのシンボルに制作してみたのがこれです。

手が4つありますが、上の 試薬の入ったチューブに水を吸い上げている手は、作品の正面にいる子供を暗示しています。

同じ日同じ時刻に日本中の川や湖などで水質調査をしているのです。

ふと別の川でもこんなことしてるんだろうなと思ったりするのです。

この人がもっている小さな四角いものは、パックンといって、試水を計量する道具です。
左手にはタイマーを持っています。

この調査に参加することで、身近な水環境に興味を持つようになるでしょう。

年々続けることによって価値あるものになるでしょう。

来年の6月4日も是非参加下さい。

楽しくなくては

2005年11月16日 19時57分42秒 | Weblog
        「白兵衛」 h-19cm 2002制作

いのちの輝きを追及する仕事ではありますが、もっと大事なことがあります。

楽しくなくては彫刻ではないということです。

わくわくしながら石を彫っていると、一日はあっという間に過ぎ、満ち足りた気分に浸ることが出来ます。

作るとき楽しかった仕事は、見る人に楽しさが伝わるのではないでしょうか。

三角の平たい石を逆さに立てて、鳥の翼のような眉毛と頭のような口ばしで、遊んでみました。

勇気

2005年11月15日 22時29分06秒 | Weblog
        「別の頬を差し出す勇気」 h-19cm 2002制作

「もし片方の頬を打たれたら、別の頬を差し出しなさい。」と言ったのは、キリストだったでしょうか。

それを実際にやってジャーナリズムを味方に付けて世論を動かしたのは、ガンジーです。

確かにこれは相当に勇気が要ります。

若い頃は、命知らずの根性を勇気と勘違いしていましたが、こっちの方は蛮勇と言うそうです。

彼らが軽蔑する意気地なしには意気地なしの勇気が有ったりするのです。

思うに、恐怖から自由になったときの心の動きを、勇気が湧いたと言うのでしょう。

自分を素直さから遠ざけていた恐怖心に向き合って、その正体を知る知恵のことではないでしょうか。

平穏な暮らしが変化するのを恐れる気持ち、人が自分に抱いているイメージが壊れるのを恐れる気持ち、物や権利を失う恐怖、そういったものが生み出すものが、プライド・世間体・地位・名誉・軽蔑・執着・羨望・嫉妬・金銭物欲・その他諸々の煩悩なのです。

経験と知識を重ねてさらに恐怖心から自由でいられる人は素晴らしいと思います。


9.11同時多発テロで 恐怖にしがみついている合衆国に、戒めのつもりで彫った作品です。