「口に出せない本音」

誰しもある、人には言えない自分だけの思いや本音につき、45歳の弁護士M・Nが告白・独白する、毎週掲載予定の連載エッセイ。

「ダウンシフト」

2016-01-19 08:37:20 | 第15話
若い頃から好奇心旺盛で、多くを思いつき多くをやろうとしてきた私。
最難関と言われる試験を志し、短気で負けず嫌いの私は1年でも早く受かりたいと思った。
最短距離を突っ走れという講師の言葉にも触発され、嫌な勉強期間を少しでも短くと人一倍急いで勉強しまくった。
トイレや電車の中でも過去問を解き続け、3年の苦労で試験に受かった後も、何事も多くを急いでやるのが私の基本姿勢になった。

人が立ち並ぶエスカレーターも身を細めて歩き、青信号の点滅を見れば決まってダッシュする。
ホームのチャイムと共に階段を駆け上がり、ドアが閉まりかけた電車に飛び乗る。
ハンドルを握れば、1台でも早く進もうと右へ左へせわしなく車線変更を繰り返す。
でもふと立ち止まって考えれば、私が1分1秒を争う意味はどこにある。
待ち合わせでもないし緊張、息切れ、動悸までして、数分早く着く意味なんかほんとにあるのか?

私は仕事でも、時間内になるべく多くを急いでが自然。
客も同僚もみんな急いでるし、不要不急の仕事でもなぜか急かされてるよう。
忙しい時期は仕方ないにしても余裕ある時まで、私がたくさんの仕事を急いでやろうとするのはなぜ?
若い内は苦労や努力も必要だし、それで良かったのかもしれない。
ただこの年では集中も長続きせず、日々肩こりや心労に悩まされてる。
なのに私はなぜ自分にムリを強い、ストレスをしょい込んで急いでいるのだろう?

せわしない世の中だが、実は私自身が急ぐ意味はもうどこにもない。
このまま急ぎ続けてはきっと心も体も壊れてしまう。
これからの私は、1日に1つも急ぐのはやめよう。
思いついたことをムリして全部でなく、今日はその半分をムリせずやれれば十分。
それならストレスを感じずにすむし、それが丁度いい生きるスピード。
後はふんぎって全て明日に回そう。
常に多くを急いでの自分をなだめ、生きるスピードを自分自身でコントロールしよう。

同じ仕事でも追われてやれば苦痛だが、進んでやれば喜びになる
何事も急いで慌ててより、じっくりゆっくりの方が楽しめる。
これまでの私は飛ばし過ぎだったから、もう生き急ぐのはやめよう。
「メニーファストライフ」とはさよなら。
この年では目的地も少しでいい。
この数十年の緊張のトップギアを、今私はシフトダウン!
残りの人生は気楽なセカンド程度のギアに入れ、「スローリトルライフ」を丁度いいスピードで進んで行こう。


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