東京医大被害者遺族ネット

東京医科大学病院で医療被害を受けた患者・遺族の情報交換と相互理解を目的とする任意団体です

緊急シンポジウム案内

2011-07-30 12:17:05 | 関連機関動向
放送倫理・番組向上機構(BPO)と医療報道のあり方に関するシンポジウムです。多くの報道関係者が来場されると思われますので、休憩時間や懇親会などの場を意見交換や情報交換の場としてご活用ください。

BPOは誰の人権を守るのか ~医療報道の委縮の危険性を問う~

【主催】  医療の良心を守る市民の会 (参加費無料、定員100名)
【日時】  平成23年7月31日(日) 14:00~16:45
【場所】  (財)全水道会館 中会議室(5階)
       東京都文京区本郷一丁目四番一号
      JR水道橋駅 東口(お茶の水寄り) 徒歩2分
      都営地下鉄三田線水道橋駅 A1出口 徒歩1分

開催趣旨
放送倫理・番組向上機構(BPO)の潜在的な問題点を指摘し、私たちが今回問題視するBPO決定とそれを解決するために提出した要望を来場者に説明し、理解を求め、来場者も加えて、さらなる討議を深めて、一般市民の人権の確保と医療報道の委縮の危険性を少なくするため。
BPO決定の問題点と要望の骨子
放送倫理・番組向上機構(BPO)の「放送と人権等権利に関する委員会」は、金沢大学附属病院の医師である打出喜義氏の活動を取り上げた「密着5年 隠蔽体質を変える~大学病院医師の孤独な闘い~」(平成22年2月28日、報道番組「サンデープロジェクト」で放映)に対し金沢大学医学部教授井上正樹氏が申し立てた「権利侵害申立て」につき、平成23年2月8日、放送倫理上の問題及び表現上の問題があると判断されました。
しかし、BPOは高裁判決を誤読し、まさに重箱の隅をつつくような指摘で当該報道を放送倫理違反としたのは、事実誤認や論理矛盾などによるものであり、全く納得できるものではなく、看過できません。BPOが当該裁判判決を誤読し、放送倫理違反を指摘するようであれば、メデイア・ジャーナリストは、怖くて医療裁判の報道はできなくなります。
 そして、本件決定文においてBPOが犯したもう一つの誤りは、説明義務違反は医療過誤とは違うという、医事法界の通説と異なる見解をBPOが出したところにあります。こんな初歩的誤りを犯す当該委員が、独自の判断で専門家の意見も聞かずに決定文を公表する体制は改めるべきです。
5項目の要望をBPOに提出(7月22日付)し、特に次の2点は再発防止策として早急にシステム改善されるよう要望しました。
?関係人(放送に登場する主な関係者)への事情聴取の義務化
?当事者からの不服申し立て、再審議のしくみの創設
連絡先>  医療の良心を守る市民の会   代表 永井 裕之 
住所:〒279‐0012 浦安市入船3-59-101    
FAX :047-380-9806 
e-mail;liaison_office@yahoogroups.jp   
http://ryousin.web.fc2.com/



「改ざんカルテを盾に事実を隠す医師たち」 (シリーズ・9)

2011-07-23 12:43:16 | 寄稿
当サイトに寄稿して頂いている「もとくんのお父さん」の「シリーズ・9」です。
(毎週一回・合計30回連載予定です。)
これは東京医大で起きた事件ではありませんが、カルテ改竄は多くの裁判で取り沙汰される医療機関共通の問題です。
事件が発覚しそうになって慌てて書類を改竄し、法廷でうろたえる姿を何度か傍聴してきました。最近は電子カルテが普及し、電子署名とタイムスタンプでいつ誰が書き換えたか記録が残る事も知らずに未だに改竄に走る医師もいるようですが、もはやそのような姑息な手段は通じません。
[emoji:e-19]「もとくんのお父さん」はホームページ(下記URLをクリック)を立ち上げておられます。是非そちらもご覧ください。

http://www.geocities.jp/mhr3129/

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「改ざんカルテを盾に事実を隠す医師たち」
裁判が始まってからずっと、被告(院長)側は「医者は忙しいから・・・」と言い訳を続け、まともな反論をしてこなかった。そして、公判開始から10ヶ月経った第7回目の審議の時、ようやく被告側からまともな?反論書が出て来たが、その内容を見て私は唖然とした。事故当時、妻は帝王切開手術後からずっと意識不明の状態であり、私が心配して「ずっと意識がないけど大丈夫なんですか?」と何度も聞いたが、医師や看護婦たちは、妻の様子をちらっと見ては「まだ麻酔が切れていないだけですよ、大丈夫です、心配いりませんよ」とニヤニヤ笑うだけで適切な処置をしなかった。その間、私はずっと妻の傍に座り「大丈夫か?」と何度も声をかけていたが、妻の意識はずっと戻らなかった。手術から4時間後、ようやく院長が診察に来た。院長は妻の異常な状況を見て、少し動揺した様子で「処置をするので外で待っていてください」と言われ、私は病室の外に出された。それから1時間以上経って、私は待合室から廊下に呼び出された。院長は「奥さんは脳の様子がおかしい。麻酔はもう切れているはずだが意識が回復しないので、脳に問題があると思われる。だから、脳を調べるCT機器等がある大学病院に搬送の手続きをしているから、救急車が来るまで待っていて欲しい」と私に繰り返し説明した。その時の様子は今でも良く覚えている。

しかし、審議7回目にしてようやく出て来た反論書には、事故当時、私に繰り返し説明した「麻酔の残留」や「脳の異常による意識障害」という言葉は一切記載されてなく、その代わり、搬送先の九州大学病院で発覚した多量出血やDIC(播種性血管内凝固)という言葉にすり替わっていた。またその反論書には「当初からDICを疑って適切な処置をしていたが、患者の容体が急激に悪化したため緊急搬送となった。不幸にして救命できなかった事例である」との見解も示されていた。
私はこのデタラメな反論書を見て、「これは院長の誤診による医療ミス以外の何者でもない」と確信した。事実、妻はDIC検査もされておらず、また輸血等の処置も全く行われていなかったからである。後日知ったことだが、常位胎盤早期剥離で緊急帝王切開手術をした場合、医師は真っ先にDIC等の合併症を疑い、患者を注意深く観察しておくのが医者の常識だそうである。しかし、この病院の院長以下、医師や看護婦は皆、私が意識不明の妻を心配し、何度も「大丈夫ですか?」と聞いていたにもかかわらず、適切な検査や処置をせず、妻を6時間も放置して症状を重篤化させ、その結果、死に至らしめたのだ。

また、この反論書でさらに驚いたことは、病院側が提出してきた資料のカルテである。このカルテによると、手術後から院長が診察するまでの約4時間の間、妻はずっと正常に意識があり、その間は医師や看護婦と会話していたかのような状況が追記されていた。また、事故当時には記載されていなかった検査や投薬の名前が追記されていたのである。私は目を疑った。もし、妻に意識があったのなら、ずっと傍にいた私は妻といろいろな話ができていたはずであり、また看護記録にも、その具体的な内容や会話が記載されているはずである。しかし、追記された部分は「医師の問いかけに頷いた」、「返事されようとする」等、さも意識があったかのような思わせぶりな言葉が並んでいた。また、追記された検査や投薬が本当に行われたかどうかは分からないが、問題は、当時記載されていなかった事が後になって追記されていることである。しかも裁判に有利な内容で・・・。私はこの卑劣なカルテ改ざんに激怒した。
このカルテの追記・修正に関する追及は審議の中で行ったが、被告(院長)側の弁護士は、私が事故当日のカルテを搬送先の九州大学病院から入手しているとは知らなかったらしく、カルテ改ざんの事実を突きつけると、意表を突かれて焦ったのか「記載を忘れていたので追記したのだろう」と、また投げやりな反論をしてきた。もし、私がカルテの原本を持っていなかったならば、偽装カルテに記載された嘘の妻の容体や検査、投薬が「事実」と見なされ、判決が変わっていたかもしれない。そう考えると、この嘘吐きで卑劣な院長や病院を絶対に許せないと思った。

医療過誤裁判における唯一の証拠は、病院側が記載したカルテである。しかし、そのカルテが病院側に有利になるよう改ざんされていた場合、原告(患者側)としては成す術もない。ましてや私の妻の事故のように、意識不明になった時刻と搬送されるまでの時間によって「救命できた事例」なのか「不幸にも救命できなかった事例」なのかが大きく分かれるような裁判において、カルテの改ざんが発覚していなければ、私は敗訴していたに違いない。それほどまでに「カルテ」の証拠性は大きいのである。
もとくんの父(非会員)

http://www.geocities.jp/mhr3129/


医療過誤捜査官の病院再就職に思う

2011-07-22 08:38:15 | 寄稿
品川美容整形外科の医師が逮捕、起訴された事件の背後に警視庁医療過誤捜査部門の現役警部と同病院に転職した元警部が関与(情報漏洩)した疑いがあると報じられた。

そもそも医療過誤捜査を担当した警部を病院が雇うことに世間が疑念を持たない筈がない。病院は警備員として警察OBを雇ったと言うかもしれないが、警備は警備保障会社へ委託すれば済む話であり、警察OBを職員として雇う必然性が何処にあるのかいささか疑わしい。報道によれば医療ミスのクレーム処理に当たらせていたようだが、時には院内の内部組織まで深く関わるなど、病院が用心棒に雇ったはずの飼い犬に手を噛まれるようなところもあり「両刃の刃」の存在だったようだ。

或る被害者遺族が死因に疑問を抱いて大学病院に真相究明を求めて交渉していたら、自宅周辺や外出先をつけ狙われたと言う話を聞いたことがある。又、他の私立大学病院の被害者遺族から、裁判係争中に暴力団の影がちらつき恐怖を感じた、という話も聞いた。
こんな話が出るようでは、病院と被害者の間の溝はなかなか埋まりそうにない。
男性会員



参議院議員会館・院内集会の案内

2011-07-20 08:52:43 | 関連機関動向
「患者の視点で医療安全を考える連絡協議会」主催「医療版事故調推進フォーラム」共催の緊急院内集会が衆参厚生労働委員(国会議員)出席の下で開催されます。
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『医療事故の第三者調査制度の構築と院内事故調査制度の法制化を求める院内集会』

【日時】  平成23年7月26日(火) 12:30~13:30
【場所】   参議院議員会館101会議室 
      東京都 千代田区永田町2-1-1
      東京メトロ永田町駅より徒歩1分
【参加】  事前手続き不要、参議院議員会館1階 集会関係者が入館証を渡します。

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[emoji:e-20]当会員も出席します。皆さんの院内集会ご参加と医療事故調査制度の確立に向けご支援・ご協力を宜しくお願いします。
参加者の事前登録は不要ですが、事前に当会のメールアドレスへお知らせ頂ければロビーでお待ち致します。



「ようやく裁判が始まった」 (シリーズ・8)

2011-07-15 17:27:46 | 寄稿
当サイトに寄稿して頂いている「もとくんのお父さん」の「シリーズ・8」です。
(毎週一回・合計30回連載予定です。)
これは東京医大で起きた事件ではありませんが、医療過誤訴訟を抱える東京医大など多くの医療機関共通の問題です。
病院は裁判を代理人(弁護士)に丸投げして事件から逃れようとする。しかも代理人は損害保険会社の雇われ弁護士である場合が多い。一方の被害者は、裁判が進めば進むほど下記(投稿文)のような病院や代理人の姿勢に苛立ち、更に恨みを募らせる。
こうした図式はお互い不幸な結果をもたらすだけです。代理人の姿勢は病院の不評を誘発し、裁判の傍聴に来た人は巨大掲示板などに書きたてる。次第に世間の知るところとなり来院者も減り、信頼も失う。これは病院にとって決して得策ではありません。N大練馬光が丘病院閉鎖問題なども無縁ではない筈です。
病院が事故と正面から向き合って真摯に被害者側に説明すれば大半は裁判などせずに済むところを「裁判でもなんでもやったら!」と被害者を突き離し、裁判へ駆り立てるべきではありません。

[emoji:e-36]「もとくんのお父さん」はホームページ(下記URLをクリック)を立ち上げておられます。是非そちらもご覧ください。

http://www.geocities.jp/mhr3129/

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「ようやく裁判が始まった」

2003年6月、私は九州・山口医療問題研究会所属の弁護士たちに医療ミス調査を依頼し、2005年の6月、ようやく第1回目の公判期日に訴状が読み上げられた。「公判期日」とは、公判の手続きを行う期日のことである。具体的に言うと、裁判官3人と被告の弁護士と原告の弁護士が、中央に円卓のある20畳程の部屋で審議を行うものである。ただ、審議といっても、提出された陳述書や答弁書を流し読みし、2,3質問するだけの簡単なやりとりで終わることもあり、短いときは10分程、長くても1時間にはならなかった。審議は判決が出る2008年3月までの約3年間に合計23回開かれ、私はその全てに出席したが、被告の院長は1度も姿を見せることはなかった。
また、院長側には弁護士が4人も付いていたが、最初に「原告の主張に反論する」とだけ記載された答弁書を提出してきただけで、その後の数回は、立て続けに「医者は忙しいから」と言って、答弁書や反論資料等の提出期限を守らなかった。そして、ようやく提出されてきた答弁書には、本件とは関係のない質問が記載されている等、明らかに時間稼ぎをしているとしか思えない対応が続いた。

また、院長側の弁護士らの態度にも腹が立った。院長側弁護士のリーダーであろう年長の弁護士は、何を言うにもムニャムニャ、ムニャムニャ、とにかく語尾がはっきりしない。それも一番肝心な言葉、例えば、答弁書の提出が遅れた理由や、次回提出できるかどうかの返答のところである。裁判官が聞き返しても、また小さな声でムニャムニャ・・・。おそらく確信犯なのだろう。また、一番若い弁護士は、つまらなさそうにボーと窓を眺めている。あと残りの二人は、最初から最後まで黙ってただ座っているだけ。つまり、院長側の弁護士らに全くやる気が見えないのである。この状況は判決が出るまで続いた。さらに、毎回要求していた質問事項に対しても、「いゃ~、その件ですが~、それは~、あの~、つまりこう言うことですかね~、えーっと・・・」と、院長と全く相談していないことがバレバレな返答を飄々と返してくる。しかし、裁判官も私の弁護士も「仕方がないなぁ~」という態度で聞いている。私は公判期日に出席する度にストレスが溜まっていき、何度も「何でもっと強い態度で追求してくれないのか?」と弁護士らに言ったが、「まぁまぁ、落ち着いて。次回を待ちましょう」と諭されるだけだった。

ところで、テレビドラマに出てくる弁護士の姿には魅せられてしまう。彼らの殆どは正義感溢れる熱血弁護士であって、誰も気づかなかった証拠や現場における物証等を探し出し、的確な推理や誘導尋問で被告側を法廷で追い詰めていく。そこには弁護士同士や裁判所との馴れ合いは一切なく、強い信念を持って、物証と推理で真実を解き明かしていく。だが、私が実際に経験した裁判はドラマの裁判とは異なっていた。唯一物証となるカルテも、また搬送先の病院の医師の病状証明書も、事故当時の詳細な時系列的状況説明書も、すべて私が回収し作成した。カルテの偽装も私が調査した。大雑把な言い方をすれば、弁護士がやってくれたのは、その物証や証言等をまとめ、同じような文献を探してきて法廷で弁論してくれただけだった。「弁護士は探偵のようなことは一切しない」そうである。そう言われれてしまえば仕方がないが、少なくとも私が考えていた法曹界のイメージは根底から崩れた。しかし、それでも私は弁護士に頼るしか方法はなかった。

地方の裁判において、しかも特殊なケースであろう医療過誤訴訟においては、担当する弁護士も裁判官も必然的に「顔なじみ」になるのであろう。もちろん、それは仕方がないことだ。だが、「顔なじみ」=「馴れ合い」になってはいけない。陳述書や答弁書が約束した提出期限までに提出されなかった場合は厳しく追求すべきであり、何の反省もなくそのようなことが続く場合は、然るべきペナルティーを科するべきであると思うのは私だけであろうか? 院長側の弁護士の弁明には、必ず「医者は忙しいんだから・・・」と言う言葉が入っていた。申し訳ないが、私も朝から晩まで忙しく働いている。しかも片親家庭だから、帰宅後は家事もやらなければいけない。私は、院長側の弁護士がこの言い訳をする度に「医者なら何をしても許されるのか? 俺は遊んでいるとでも言いたいのか? サラリーマンを馬鹿にするな!」と叫びたくなる衝動に駆られた。お金が有り余って遊んでいる人間以外は、みんな忙しく働いているのである。そんなことも分からないで弁護士バッジを付けているのか? 「蕎麦屋の出前」みたいな下手な演技で私が騙されるとでも思っているのか? 私は終始彼らを軽蔑し続けた。
もとくんの父(非会員)

http://www.geocities.jp/mhr3129/