iPS細胞、作製効率百倍…京大・山中教授ら

2009-08-18 17:19:57 | 日記
がんの発生を抑える遺伝子の働きを調節し、iPS細胞(新型万能細胞)の作製効率を大幅に高めることに、京都大学の山中伸弥教授のチームが成功した。

 京大のほか、米欧の3チームもほぼ同様の成果をあげ、英科学誌ネイチャー電子版に10日、同時発表した。

 p53という遺伝子は、発がん物質などによって細胞のDNAが損傷を受けると、修復したり、細胞を「自殺」させたりしてがんの発生を抑える。

 山中教授らは細胞に四つの遺伝子を入れてiPSを作る際、p53の働きが活発になることから、p53がじゃましていると考えた。p53を欠損させたマウスや、その働きを弱めた人の細胞で試すと、iPS細胞の作製効率が10~100倍高まった。

 また、米ソーク研究所のチームは、p53の働きを弱めたマウスの細胞から、二つの遺伝子だけでiPS細胞を作ることに成功した。

 山中教授によると、p53の働きを弱めたままではがんになってしまうが、iPS細胞を作った後で元に戻すことは可能という。
このページのURL: http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20090810-OYT1T00024.htm

新型インフル、持病ある人は重症化の危険性

2009-08-18 17:15:50 | 日記
 新型インフルエンザによる国内初の死亡例は、慢性腎不全で人工透析を受けていた男性だった。

 新型インフルエンザは感染しても、ほとんどの人が軽症のまま治癒するが、今回のように持病のある人は重症化しやすい。秋冬の本格的な流行シーズンを前に、改めて注意が必要だ。

 国内初の死亡例は、まさに新型インフルエンザで犠牲者が出ることが懸念されていた典型的なケースだった。

 亡くなった男性のように腎不全で人工透析を受けていると、免疫機能が低下し、感染症にかかって、肺炎なども併発しやすいからだ。世界保健機関(WHO)や厚生労働省は、人工透析患者のほか、糖尿病やぜんそくなどの持病のある人、妊婦、乳幼児は、感染すると重症化する危険性が高いと、繰り返し注意喚起していた。

 国立感染症研究所の田代真人・インフルエンザウイルス研究センター長は「感染者が増え、死者はいつ出てもおかしくなかった。ウイルスの病原性が強まったり、感染力が上がったりしたわけではない。いたずらにパニックになる必要はない」と平静を呼びかける。

 新型インフルエンザに感染してもほとんどの人は、軽症で治癒している。WHOによると、重症者の半数以上は、妊婦や、糖尿病、心臓疾患、ぜんそくなどの持病を抱えた人だった。米ニューヨーク市では、入院患者の8割が、妊婦と2歳未満の乳幼児、持病のある患者だった。

 持病があると、重症化しやすいのは、病気を防ぐ免疫力が落ちるからだ。

 例えば、今回のように腎機能が悪くなり、人工透析を受けると、透析によって毒素と一緒にアミノ酸など体の維持に必要な成分も排出してしまい、免疫力が落ちてしまう。

 糖尿病の場合も、血糖値が高くなると免疫機能をつかさどる白血球の働きが悪くなる。季節性インフルエンザでも、健康な人に比べて死に至る危険性が1・5倍高いという研究もある。

 病気ではないが、妊婦も胎児を異物と認識しないよう免疫力を抑制しており、新型インフルエンザに注意が必要だ。日本産婦人科医会は今年5月、妊婦が新型インフルエンザに感染した場合、抗ウイルス薬で積極的に治療するよう勧めた。

 新型インフルエンザの犠牲者を減らすためには、抗ウイルス薬による早期治療に加え、こうしたリスクの高い人たちへの感染を防ぐことが大切だ。厚生労働省は秋冬の大流行に備え、5300万人分のワクチンを準備する方針だが、国内生産量は年内で1400万~1700万人分しかなく、緊急輸入も検討している。浦島充佳・東京慈恵医大准教授(公衆衛生学)は「希望者全員に接種するのは間に合わない。優先順位をどうするのか、早急な議論が必要」と話している。(科学部 本間雅江、高田真之、米山粛彦)
このページのURL: http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20090816-OYT1T00065.htm