久留米市 いむた小児科 あいあい通信

福岡県久留米市の地域小児科医療のあいあい通信

しっかり受けよう、こどもの健診

2010-04-01 | 日記
 
 乳幼児健診は成長期にあるこどもの病気や障害を早期に発見し、治療や適切な指導を行うことを目的としています。こどもの乳幼児期の成長は目覚ましく、大人になるための心身の大事な基礎をつくります。そのため、この時期に成長に支障をきたす先天性の疾患やその他の病気があると、成長が止まったり障害が残ったりするのです。乳幼児健診では身体の測定や診察を通して、年齢に応じた成長の度合いを診たり病気がないかを判断します。最近は核家族化や母子家庭の増加で、育児不安が増加していると言われます。健診は育児相談可能な保健師さん等のいる小児科で受けましよう。
 具体的には四か月健診、十か月健診、一歳六カ月健診、三歳児健診があります。こどもの健康具合や育児の不安点などをメモして、しっかり受けてください。

 
こどもの成長期には健診と予防接種が大切
 健診はただ受ければ良いというわけでありません。成長期におけるこどもの発達具合や病気は、専門医でないと的確な診断が難しい場合もあるようです。できれば、信頼のおける小児専門のかかりつけ医を持ち、乳幼児健診や予防接種・育児相談も含めた健康管理型の受診が望まれます。生後三カ月頃から始まる予防接種は、こどもを重大な感染症から守るための大切な仕組みです。公費で受けられる接種は漏れずに受けましょう。ま、ワクチン後進国と言われる日本ですが、定期接種以外にも小児用肺炎球菌ワクチン、ヒブワクチン、子宮頚がんワクチなど新たに認可されたワクチン類もあります。接種費用は自費で高価ですがお誕生祝いにワクチン接種もいいと思いますよ。これらのワクチンの詳細を知りたい方は当院のホームページやケータイサイトでもお知らせしています。
 
※子育て情報誌『あいあい通信』は待合室でお渡ししています
(久留米市/いむた小児科)
   




子宮頸がんワクチン

2010-03-01 | 日記
 最近、若い女性の間で急増している子宮頚がん。年間に3500人以上の人がこの病気で亡くなり、子宮摘出などに至ったケースも少なくありません。一般に「がん」と聞くと中高い年の病気と思う人が多いようですが、子宮頸がんは一般のがんとは少し異なり、ヒトパピローマ(人乳頭腫)ウイルスが原因してがんを引き起こします。このウイルスは男性が保有していて、性行為を通じて女性に感染。大半の人は発病しませんが、一部の人は長い潜伏期間の後に発病することに。20~30代の女性にこの病気が多い訳はここにあります。
 発生原因がウイルスであることが分かり、近年予防ワクチンが開発されました。若いうちにワクチン接種で免疫をつけることで、70%以上の子宮頚がんが予防できるとされています。始まって間もないワクチンですが、すでに100か国以上の国で実施中で、日本では2009年末から受けられるようになりました。でも、こんな病気があることさえ知らない人が多いのが現状です。成人になったら子宮頚がん検診を受けましよう。


小児科や産婦人科で対応
 大人になった頃に遭遇する可能性があるこの病気に対しては、こどもの頃のワクチン接種が有効です。接種は10歳を過ぎた頃の女子、及びワクチン接種で備えたいという成人女性が対象です。そのため、主に小児科や産婦人科で対応しています。接種は合計3回で、初回、1か月後、初回から6か月後に接種します。費用は一回おおよそ16000円程度です。先進国では公費負担があったり、学校で受けるところもありますが、日本では自費による任意接種になっています。このワクチンについての詳細を知りたい方は下記の子宮頚がんサイト(allwomen.jp)をご覧ください。

 
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あなたが主役、AED

2010-01-30 | 日記
運転中や転落時、水におぼれたときなど、いろいろな原因で起こる心臓停止。急いで救急車を呼ぶことになりますが、心停止の場合は救命処置が一分遅れると10%ずつ生存率が低下すると言われます。そこで登場したのが自動体外除細動器(AED)。名前は聞いたという人も多いのではないでしようか。この装置は突然心停止した人に電気ショックを与えて蘇生します。AEDをすぐに使用した場合の患者の生存率は、使わなかった場合と比較して約5~6倍。5年ほど前から医療機関や公共施設、駅や商業施設などで普及が進んでいます。でも、平成20年に一般市民の前で発生した心停止は約二万七千件。その内AEDが使われたのは四百二十九件の約2%に過ぎません。

あなたが主役、AED
 AEDの使用率が低いのは、他の人が使うだろう、トラブルに関わりたくない、使用方法がよくわからない、など遠慮深い日本人の心理としていろいろあるようです。でも、突然の心停止は何時何処で誰に起こるかわかりません。そういう場面になれば、あなたが主役の救命士です。AEDの役目を十分認識して、いざというときに慌てず対処できるように心がけましよう。

AEDが使い方を音声で知らせます
 AEDを使うのに資格は要りません。また、救命できなくても責任は問われません(法律で規定)。AEDを使う場合は電源を入れると音声で使用法が流れますので、慌てずに支持にしたがってください。

AEDの使用方法
 ①AEDを患者の側に置き電源を入れる。
 ②電極パッドを患者の胸二箇所に貼る(場所はイラストで)
 ③AEDが電気ショックが必要か診断する。
 ④必要がある場合は音声で指示があるので、ショックボタンを押す。
 
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咳の様子に注意しよう

2010-01-30 | 日記
 冬場はこども達の間で咳の出る病気が流行します。とくに小さいお子さんの場合は肺の機能や筋力もまだ未熟です。症状次第では呼吸困難に陥ることもあるので咳の様子に注意しましょう。咳が出るのは体が異変を感じて痰などを対外に出す生理作用のひとつです。咳が出たら咳止めを飲ませて一見落着とせず、何時からどのような咳が出たか、熱やその他の症状は何かなどを観察してください。冬場に最も多い咳の原因はウイルス性によるものが多く、風邪症候群、インフルエンザ、肺炎、百日咳などです。その他、咽頭炎、気管支炎、気管支異物、なども咳が伴います。また、激しい咳はなくても次のような呼吸困難の前兆の症状が出ることがあります。様子次第では急いで病院へ行きましよう。

呼吸困難が疑われる場合
☆顔色が青白く唇が紫色で苦しそう
☆呼吸が荒く方で息をしている
☆息をする度にヒューヒューゼイゼイが出てかオイルが悪い

急な激しい咳と高熱はインフルエンザの疑い
 冬場にに激しい咳と嘔吐、38℃以上の発熱の場合はインフルエンザ感染が疑われます。周りの人に感染者がいないか、また地域の流行状況などを調べてみましよう。小児が脳炎・脳症を起こしやすい年齢域は1歳~2歳頃で、発熱当日か翌日に発症することが多いようです。小さいお子さんでこのような症状が見られたら、早めの受診で対処しましよう。

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新型インフルエンザが流行

2009-10-05 | 日記
 
 世界的な流行が懸念されていた新型インフルエンザ。七月後半頃より全国的に患者数が増加しています。真夏にインフルエンザが流行するのは異例の事態で、学校が始まる九月頃から更に感染が拡大することも予想され、十分な注意が必要です。過去に流行した新型インフルエンザには、スペイン風邪、アジア風邪、香港風邪などがあり、世界中に甚大な被害をもたらしました。今回流行している新型(ブタインフル)は、今のところ弱毒性が確認されています。たとえ感染しても早期治療で大事には至らないと思いますが、抵抗力の弱い乳幼児や妊婦、高齢者は要注意です。慌てずに感染予防と早期受診で備えましよう。

 感染予防に備えよう
 新型のためワクチン供給が間に合わない可能性があります。周りで流行が見られた場合は、感染を予防するのがなにより大切です。食料品などを数週間分準備して不必要な外出は避けましょう。また、外出時はマスクの着用を徹底し、帰宅時は手洗い消毒を心がけてください。

 上手な手洗いとうがいのタイミング
 ☆仕事先や学校、買い物から帰った後
 ☆人との接触や訪問者との会話の後
 ☆鼻、口、目を触る前
 ☆咳やくしゃみをした後
 ☆食事を作る前、食べる前
 ☆トイレや汚物処理の後
 ☆喉や口に不快感を感じたとき

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ご注意ください、食中毒

2009-06-18 | 日記
 毎年、五~六月頃から増加する食中毒。患者の大半が乳幼児から中高生のこども達で、その原因のほとんどが細菌性によるものです。この時期から食中毒が増えるのは、温度や湿度が高くなって菌が繁殖しやすくなる季節的な要因があります。また、暑くなるので水分を取りすぎて、胃の抵抗力を弱め食中毒を起こしやすくしています。食生活の多様化に伴い食中毒を起こす細菌は私達の身の回りに潜んでいます。細菌性の場合は下痢を伴い、原因菌によっては腹痛、発熱、嘔吐なども加わり、油断すると重症化しかねない食中毒です。日頃から食材の管理には十分注意して、手洗いや殺菌消毒を心がけ、「菌を持ち込まない、増やさない」で食中毒予防をしましよう。

  食中毒の治療とケア
 
 細菌性の食中毒の場合は症状が重くなると、水様性の激しい下痢に血が混じることもあります。食事や水分が取れなくなると、乳幼児は脱水症状を引き起こしますので注意しましよう。脱水の場合は経口による水分補給の他に、点滴による輸液補給等が必要です。また、腸内の細菌を早期に減少させるため、適切な抗菌剤の投与も大切。食中毒が疑われるときは早めに受診しましよう。

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喘息発作を予防しよう

2009-05-03 | 日記
                                   
 近年、食生活や生活環境の変化などの要因が重なって増加の一途をたどる小児喘息。その殆どはアレルギー性のもので、大半は思春期頃になると治る病気です。でも、喘息の症状をそのままにしておくと発作症状が繰り返し、治りにくくなってしまいます。喘息の症状が出たら発作を予防して、発作の慢性化を防ぐことが最も大切です。発作を繰り返すと気道の粘膜が炎症を起して過激性が増し、少しの刺激でも発作が起こるようになってしまうからです。喘息は発作を起こしたときだけの治療(対症療法)だけでは、たびたび症状が繰り返すのを防ぐことは出来ません。そのときだけの症状抑えで終わらず、忍耐強く治療を続けましょう。

 発作時のケアと予防

喘息発作の症状はその程度によっては危険な場合もあります。こどもの発作の程度がどのくらいなのかを知って、家庭でのケアに備えることも大切です。比較的に軽い発作の場合はゼイゼイ・ヒューヒューといった喘鳴が聞こえ、呼吸が激しくなります。衣服を緩めて楽な姿勢にして、水を飲ませると痰が出し易くなります。締め切った部屋であれば、窓を開けてゆっくり深呼吸させるとよいでしょう。症状が重く酸素不足や呼吸困難の場合は、チァノーゼ(酸素不足により唇や爪の色が悪い)・意識喪失やケンレン(酸素不足と二酸化炭素の蓄積)・おしっこやうんちをもらす(呼吸困難の程度がひどい)・ゼイゼイヒューヒューが急に止まる(気管の詰まり)などが発生します。このような症状のときは命に危険が及ぶことがありますので、急いで救急車を呼んでください。
喘息予防は生活環境の改善と治療の継続が大切です。ダニ・カビ・タバコ・ペットの毛・石油ストーブなど、室内のアレルゲンを除きましょう。また、症状が出たら気管支拡張剤の吸入や抗アレルギー剤の服用で発作を抑えたり予防することが重要になります。お子さんの症状に合わせた予防と治療が必要になりますので、かかりつけの小児科で相談しましょう。
        
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こどもの脱水に注意

2009-05-03 | 日記
                                   
 小さいこどもの病気には、高熱や嘔吐、激しい下痢などの症状が多く見られます。冬場ではロタやアデノウイルスが原因とする乳幼児嘔吐下痢症。夏場はいわゆる夏カゼの代表、手足口病、プール熱・ヘルパンギーナ。その他、感染性胃腸炎や溶連菌感染症なども同じような症状があります。これらの病気に共通して注意が必要なのは脱水。喉が痛くて食事や水分が十分取れなかったり、嘔吐・下痢が続くと小さいこどもは直ぐに脱水症状を起こしてしまいます。脱水症は重症になると命に関わる怖い疾患。とくに小さいこどもの場合は体力に余力がないので早めの治療が大切です。今は脱水症に有効な経口保水液や病者用食品がありますので、状況に応じて対応しましょう。
 脱水の治療は、経口補水と点滴
激しい嘔吐や下痢がある場合は、病気の治療と合わせて脱水の予防は重要です。脱水の程度により軽度~中度は経口補水、中等~重度は点滴となりますが、程度の判断が難しい場合があります。中度以上はまず診断を受けることから始めましょう。

こんな場合は早めの受診が大切です
◆ 6ヶ月未満、または8キロ未満の乳児。
◆ 慢性病や基礎疾患のある場合。
◆ 38~39度以上の発熱。
◆ 一日6回以上の下痢や嘔吐、血便がある。
◆ 唇の乾燥、尿が少ない、目の落ち込みなどがある。
◆ 経口保水液が十分飲ませられない等。

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日本脳炎を警戒

2009-05-02 | 日記
                                   
 平成17年5月の厚労省通達(日脳ワクチン接種の積極的な推奨差し控え)で接種率が低下する中、幼児の日脳患者発生が懸念されています。昨年9月に熊本県でワクチン未接種の3歳男児が頭痛や発熱で開業医を受診し、その後に全身性のけいれんにより総合病院に搬送。強い意識障害、瞳孔の左右差、項部硬直、ケルニッヒ微候などが見られ、抗体検査で日本脳炎と診断であることが判明。幸い、脳低温療法などの処置が早かったことで、一命を取り止め退院に至りましたが、若干のマヒが残りリハビリを余儀なくされました。  
 今、日本の予防接種は国の副作用責任回避や医療費予算の削減などで大幅に後退しています。こどもを重大な感染症から守るために保護者の予防接種に対する前向きな理解が必要です。

予防接種のリスクと日脳感染の怖さ
 厚労省が推奨中止の勧告を出したのは、女子中学生が日脳ワクチン接種後にADEM(急性散在性脳髄膜炎)になったのがきっかけでした。ADEMはウイルスの感染後や各種ワクチン接種後に起こるとされ、脳や脊髄が冒されてけいれんや運動マヒなどが起こります。発生率は百万回~二百万回に一回程度とされ、運動マヒなどの後遺症が残ることがあります。
 自然界ではブタの体内で増殖したウイルスを蚊が人に運んで感染します。毎年行われるブタの抗体検査では、日本脳炎ウイルスの陽性率が80%以上になる県が多数あり、常に感染の危険性は存在しています。まだ、予防接種がなかった昭和25年頃、年間千人以上発生した患者の大半は10歳前後でした。今は目立った発生は見られませんが、こども達が日脳ワクチン未接種のまま大きくなるのは心配です。日本脳炎の怖さをしっかり認識して、ワクチン接種で予防することが望まれます。小学校入学前までには済ませたいですね。

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忘れていませんか、小児の結核

2009-05-02 | 日記
                                          
 結核は生活水準の向上や予防接種(BCG)の普及で、最近はほとんど目立たない病気になっています。しかし、毎年4万人以上の発病者があり、3千人以上の人が亡くなっている油断できない怖い感染症です。感染者の大半は60歳以上の高齢者で、体の抵抗力が落ちて発病しやすくなるのが主な要因。高齢者の増加で減り続けてきた患者が増加傾向にあり、排菌者増による感染が心配されています。
乳幼児は発見の遅れが致命傷
 排菌者が増えることで最も注意したいのが乳幼児の結核感染です。お母さんから抗体を貰わないので、生まれたばかりの赤ちゃんは結核菌に対して無防備状態。そのため乳幼児が感染すると病気の進行が早く、結核性髄膜炎や肺全体に結核菌が散布される栗粒結核など、重症化しやすいのです。小児結核の大半は家庭内感染で、家族の結核に対する認識の甘さも一因だと言われます。家庭の定期的な健康診断を心がけ、様子がおかしかったら必ず受診して検査を受けてください。
 また、結核に罹った小児の9割以上がBCG未接種者とのデーターもあり、予防対策にBCGは欠かせません。定期接種での対象年齢は集団生活(保育園等)に入る前までに済ませるという観点から、平成16年度から6ヶ月未満が対象になりました。接種方法もかかりつけ医で受けれますので、他の接種間隔も考慮して出来るだけ早い時期に受けましょう。
以前にも増して自己予防が大切
結核患者の減少とツ半検査による結核患者の発見率低下で、平成15年度から学校でのBCG接種が廃止されています。かわりに保護者への問診票で検査が必要と認められた場合のみ、精密検査を実施することになりました。以前にもまして自己予防が大切になっています。

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