蚊のシーズンを迎え、日本脳炎が気になる季節となりました。日本脳炎はブタの体内で増殖したウイルスを蚊が人に運んで感染します。蚊に刺されても必ず発症するわけではありませんが、免疫をもたない乳幼児は感染リスクが高まります。日本脳炎は発症すると高熱、頭痛、嘔吐などを伴い、二~三割の人が死に至る怖い病気です。たとえ命を取り留めても重い後遺症が心配されます。
まだ、予防接種がなかった昭和二十五年頃は年間千人以上の患者が発生、その大半は十歳前後のこども達で、後遺症で身体にし支障が出た人も少なくありませんでした。今は予防接種の普及や生活環境、衛生状況の改善で患者数は激減、年間十人程度で推移しています。
蚊の多い西日本は要注意
近年の患者減少はウイルスがいなくなったからではなく、ワクチンの普及や衛生環境の改善などが主な要因です。日本は東西に長い地域のため日本脳炎の発生には地域差があり、患者はやはり暖かい西日本地区に集中しています。感染症情報センターにおけるブタの血液調査では、福岡、佐賀、長崎、熊本県のいずれもブタ80%にウイルス抗体が確認されています。免疫を持たない乳幼児は対象年齢になったら、なるべく早く日脳ワクチンを受けて備えましょう。
ワクチン接種の現状は
日本脳炎ワクチンは「一期」として、生後六カ月~七歳半未満(標準は三歳)二回、その一年後(同四歳)一回。「二期」として九歳~十三歳未満(同九歳)に一回接種が基本です。この年齢であれば定期接種として無料で接種を受けることができます。一時期、副作用の恐れで積極的接種を勧めないとの方針が出されましたが、今は新ワクチンで安全性と有効性が確認されています。
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(久留米市/いむた小児科)