鹿賀丈史&市村正親の競演舞台「デモクラシー」。
鹿賀さんのほうはずっと以前から注目していて、
とにかく画面に収まりきらないような演技をする人だなあ、
といつも感嘆していました。
市村さんのほうは、舞台中心で活躍なさっていたせいで、
なかなか目にする機会がなく、
たぶん古畑任三郎の犯人役で初めて見たんじゃないかな。
HRにも出てましたね。
2人とも個性あふれるタイプで大好きですので、
見ないわけにはいかないでしょ?
場所はパルコ劇場。コンパクトだけど深さがあって、
見やすい舞台です。19:00開演。
作マイケルフレイン、演出ポールミラーって、
外国人のかたが演出するわけですね。
お話はドイツの政治の実録もの。
…というとカタ~い話を想像すると思いますが、実際そのとおりでした。(笑)
大学での専門がヨーロッパ現代史だった僕ですら、
誰がどうだっけ? と混乱してしまうような人間関係。
ロビーに人間関係図が張り出してあるし、
パンフには詳しく書かれているのですが、
政治の世界の表と裏が何重構造にもなって描かれているし、
ドイツ人の名前がまた、覚えられない。
なかなか入っていきにくい話でした。
出演者は男だけでまったく色気ないし。
ストーリーはかなり正確に事実に即して描かれているよう。
西ドイツのブラント首相が就任するところから、
執務室のスタッフにギュンター・ギョ―ムという
東ドイツ出身の党員が選ばれる。彼は東ドイツのスパイだった。
しかしブラントがその行動や演説で国民の心を捉え、
独自の政策を打ち出していくのをずっとそばで見ているうちに、
ギョームはだんだんとブラントと心を許しあっていく。
そしてついにギョームの正体が暴かれて、ブラントも責任を取り、
東西ドイツ統一を前にして辞職する…というもので、
流れは簡単だけど、それにからんでいろいろな立場の政治家やその関係者が、
表面的には好意的なことを言いつつ、陰ではよからぬことを企んでいたり、
ちょっとした事件が起こったとたん態度が一変したり、キャラ表現が複雑。
しかし演じる役者が皆実力のある人だったので
(近藤芳正とか温水洋一とか三浦浩一とか)、迫力ありました。
ギョーム役の市村だけがモノローグで気持ちや状況を語ることができる。
そこでの感情表現の豊かさや喋りの流暢さは凄かった。
そして鹿賀丈史のブラント役はまさにぴったり。
押し出しの強さと内面の弱さを滲み出させた演技が見事でした。
とはいえ、舞台見慣れてない人にはちょっとつらかったかな…。
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