真衣歌の心~蛸壺の中で

生きているとあれやこれやあるわねえ

ある日の出来事

2020-01-07 11:33:40 | 

見渡す限り広い野原

一面のたんぽぽの花

花が綿帽子を飛ばし始めた頃

この野原に来た

雪解けの後のやわらかい地面

靴が地面にめりこんでゆく

どんどんめり込んでゆき

首まで埋まってしまった


目の前でまだ綿帽子にならないたんぽぽの花が

私に囁いてきた

「お願いだからその暗い目を私に向けないで」

そうだね

こんな首なんかいらない

私は首を外して

代わりに電球を差し込んだ

あたりが明るくなって

たんぽぽは最後の綿帽子になって飛んで行った


外した首も転がって何処かへ行ってしまったが

やがて風に吹かれて帰ってきた

何処へ行っても同じだから

元のところに帰ってきたそうだ

首よ

私の首よ

2度と私の首にはならないんだ

だから持ち主を探しにお行き


あれから何年たったのか

落雷があって

電球は吹っ飛んで

私は地の中で暗闇を生きている

代わりの電球をあげようと言う人もいるけど

私には暗闇がお似合いだ

明るいからって幸せでもないよ

そうだよ

代わりの電球なんかいらないよ


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