当日まで横浜の布陣がどうなるのか分からなかったが、その一部が見えたような印象を受けた。
横浜のスターティングメンバーを見ていくと、GK南、SBの中島、市村は以前と変わらず。CBは野上と森本のコンビ、ダブルボランチは主将寺田とマジカルパサーの佐藤。サイドハーフは右に松下、左に小池。FW2枚はジャンボ大久保と鋭利な黒津というファーストチョイスをしてきた。これにより、基本的なベースを維持しつつ、戦い方をマイナーチェンジするコンセプトになったと言えるだろう。パクテホン、永田、中里、小野瀬といったスタメンで多く起用された選手をバックアップとした。ダブルボランチの起用方法以外は高性能というより信頼性を重きに置いたと見受けられる。
ゲームは序盤から横浜のプレッシャーが効いて、金沢が攻め込んでも、森本、野上のところで防ぎ、サイドの守りは人数をかけて遮断する動きが見られた。金沢の右サイドハーフの清原を基点とした攻撃を、小池と野上が左SBの中島をケアしていた。何度か攻め込まれることもあったが、満足とは言わないものの、及第点レベルで対応できていたと思う。中央の守備においては森本のカバーが良かった。高さはないものの、浮き球を防げていた。
金沢戦において良かった点は後方からのフィードに工夫が見られた点だろう。ゴールにはならなかったものの、野上の小池へのロングフィードは一発でビッグチャンスになった。先制点をアシストした市村の斜めへのボールは大久保の高さを生かした良いキックだった。中田監督のコメントの通り、まずは縦に早くボールを入れる・攻撃ユニットはスペースを作るというシンプルな心がけが実践できていた。縦への動きがありつつも、両サイドを満遍なく使えており、最終的にはシュート数が12本となった（金沢は6本）。佐藤の組み立てが攻撃にアクセントをつけていたし、サイドハーフの小池と松下が上がりすぎずバランスを保って守備でも貢献できていたのが勝因だと考える。
横浜の攻撃シーンが目立ったが、66分にキーパーと1対1になった黒津が外したシュートだけは悔いが残る。あれを決めていれば流れが完全に横浜ペースになっていた。J1でこのような流れになると押し戻されてしまうのでチャンスはキッチリと決めて欲しい。
2点目はハーフウェー付近から佐藤？のFKを大久保がヘッドで黒津へ、黒津のシュートは相手キーパーが弾き、そのボールを再度黒津が押し込んでゴールとなった。全般的にダラダラとボールを繋がずに縦への推進力が出た攻撃ができていた。ルス前監督のサッカーより良い内容のサッカーだと思った。
横浜の失点シーンは右サイドのクロスボールを競った市村が足を相手の顔付近まで上げていたことでPK献上となり、清原のゴールという形になってしまった。微妙な判定だが市村の守り方は悪かった。寄せが遅かったし、ややマークがずれて雑な守りだったと思う（普通あそこで足は上げないし、もっと上半身を当てにいくべき）。2-0で終わりたかったが、失点をしてしまうところに今季の不安要素が出てしまっている。
いろいろと書いてしまったが、この厳しい状況で勝てたのが一番大きく、次節の徳島戦に勢いがつく。アウェーでの徳島戦に勝ててこそ評価できることになるので慎重に戦っていきたい。なお、徳島戦は佐藤が出場停止になるため中里か安が出場すると思われる。
