もりあおがえるのつぶやき

山里の四季の移ろい、日々の暮らしをつれづれに

歴史的八丈島

2017-03-07 12:27:35 | 季節
    

ホテルのロビーに宮本常一先生の日本の島嶼という本があり思わづ読んでしまった。こんな絶海の孤島に5千年の昔から人々が住み続けたらしい。古くは源為朝が流され近世関ヶ原の戦いに敗れた宇喜田秀家が流された流人の島として通っているが江戸幕府の直轄地として重要視され保護援助されていたという。流人といっても粗暴犯もいるが多くは権力争いに敗れたり冤罪によって流された文化人も多くそのひとたちによってしまの文化が高められたという。流人たちは別に牢屋に入れられていたわけじゃない。村々の5人組の中に組み込まれ住むところと食べ物が与えられ労働に従事し島の住人として扱われていたのだ。住民の識字率も高く明治になって小学校が作られた時もその教師は島内の人たちで十分だったという。絶海の孤島というイメージは明治期の日本の国が急激に文明化していく中で取り残されたということで作られたものかもしれない。
だが火山島であるがゆえその産物は麦、サツマイモ、サトイモくらいしか取れず食料は困窮していたらしい。島の住民はそれで十分だろうが本土から来たものには米のご飯が食べたいという切実な窮乏感があったらしい。周囲を海に囲まれているにもかかわらず、岩険しく波荒く漁業はほとんどできず、今でこそ島一番の産業である漁業もわずか戦後になってからのことという。