今日は以前管理を依頼されていたブログに掲載した記事を紹介しようと思います
良いコンディションに繋げるために様々な提案がされています
国土や文化、他国との馬を管理する環境の違いは大きいです
しかし勉強になります
私達はビジネスとしてだけではなく、馬を通して感動や勇気言葉に出来ないほど様々な物を与えてもらい、その事でどれ程人生を豊かにしてもらっているか測り知れません。
そんな馬達にはハッピー
なアスリートであって欲しいと思います
海外競馬ニュースからの転載です
馬をフレッシュに保つ様々な提案(アメリカ)
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「よく学び、よく遊べ」と言われているが、それは馬にも当てはまる。
馬は群れをなして行動する動物であり、本来は1日に12時間から16時間は牧草を食べている。
そのため、仲間から離して馬房に閉じ込めてしまうと、しばしば
不安や
過剰なエネルギー、
ストレスおよび退屈が原因となり、
さく癖や熊(ゆう)癖などの悪い癖や好ましくない行動をとってしまっても無理はない。
時間をつぶすのに好ましいものがなければ、馬は何かすることを見つけ出し、結果的に悪い癖がついてしまうことがある。
放牧で外に出すことに加え、馬にとって最も重要なのは他の馬との接触、同じ種の動物と接触することです。馬が本当に幸せで健康であるには、仲間と一緒に外で放牧させる必要があると思います」とカリフォルニア州ペン・バレーの獣医師マイク・ヴァン・ノイ(Mike Van Noy)氏は述べた。
ヴァン・ノイ氏は、競馬場にいる時など他の馬との放牧が不可能な時は、できる限り馬を馬房から連れ出そうとしている調教師のやり方に大賛成だ。
また、ヨーロッパの馬はパドックの時間が長いことが多く、常に馬房に入れられているわけではないため、ヨーロッパの調教師はアメリカの調教師ほど、玩具に頼ったり他の馬と遊ばせたりする必要がないかもしれないと付け加えた。
「馬は群れをなして行動する動物であり、仲間と一緒のほうが良いふるまいをします。無生物とは対照的に、仲間となる動物と一緒にいられることがきっと最高でしょう。同じ種の仲間なら、なお良いのです。鶏やヤギよりもポニーの方が馬は気分が安らぐでしょうが、競馬場で問題となるのは、馬1頭に馬房1つが割り当てられるため、馬のために簡単にペットを入れられるような状況ではありません。馬以外のペットを使うのはそういった理由からです」とヴァン・ノイ氏が語った。
厩舎では、馬がお互いを簡単に見ることができることが大切である。
馬房の中に仲間となる動物を入れることができない場合は、
馬用に作られた様々な玩具の1つを与えることで緊張をほぐしたり退屈さを軽減するのことに役立つ。
玩具を購入する際は、馬の身になって考え、また、玩具の安全性と耐久性を考えることが大切だ。
「馬が肢を入れたり、下肢が入り込んで動きがとれなくなり、パニック状態に陥ってしまうような穴や開口部が玩具に無いことを確認してください」とヴァン・ノイ氏は述べた。また、玩具に下顎を挟んでしまうことがないように確かめるべきだと付け加えた。
「馬が怪我をするおそれのあるような縁や角が玩具にないかどうか、確認することが重要です。馬が飲み込んでしまったり、噛むと簡単に壊れてしまうような小さな玩具は適していません。握る部分のついた硬いゴムボールは安全です。馬房の壁や天井からぶら下げる大きなボールや(プラスチック製の)りんごも非常に実用的で安全です」とニュージャージー州ニューブランズイック(New Brunswick)のラトガーズ大学(Rutgers University)およびクック・カレッジ(Cook College)の馬栄養士で、馬運動科学の専門家のキャリー・A・ウィリアムズ(Carey A Williams)博士は述べた。
馬が身体的に健康を保つには、毎日遊ぶ時間を持たせることが非常に重要である、とウィリアムズ博士は指摘した。
「多くの人が思いつかないのは、食べたいときに食べられる干し草を与えることです。馬は一日中干し草があれば、馬は馬房の壁の代わりに、干し草を食べるようになります。競走馬にも、いつでも自由に食べられる干し草の効果はあります。そうすれば、食べている間にアルファルファからミネラルなどを得ることができます。干し草や遊ぶための玩具でもいいですが、遊び道具なしで馬房に閉じ込められてしまうと、馬は悪い癖をつけてしまいます」とウィリアムズ博士は述べた。
馬を馬房から出してやる
ジョリーボール(Jolly Balls) はティム・リッチー(Tom Ritchy)調教師の厩舎で特に人気のある玩具である。それぞれ馬房の中央に、太いゴムひもで吊り下げたジョリーボールが取り付けてある。ボールが跳ね返るので、太いゴムひものたわみも、また馬にとっては楽しいのである。
リッチー調教師によると、クラシック競走で2勝しているアフリートアレックス(Afleet Alex、訳注:同号は2005年のプリークネス・ステークスとベルモント・ステークスの勝馬である。)号は、このボールがとても好きで、遊び方を教えてやる必要がなかったほどであった。
「ボールを取り付けてやるとすぐに、馬はボールを跳ね返し、噛み始めました。アレックス号はおそらく毎日1時間かそれ以上の時間、ボールで遊びます。
ボールはキ甲のすぐ下の高さで吊り下げられています。頭でボールをはずませると、キ甲のあたりでバウンドし、そしてまた別の方向へバウンドします」とリッチー調教師が言った。
時々、同馬が活発に遊び過ぎるために、ボールをつないでいるひもが解け、厩舎の廊下まで蹴飛ばしてしまうことがある。すると、彼は馬房の扉付近に立ち、誰かに玩具をすぐに戻して欲しいとサインを送るのだ。
「玩具を使うには、様々な理由があります。私のところには新しく来たばかりの2歳馬が5頭います。すべて牡駒ですが、そのうちの何頭かはアレックス号と同じような方法でボール遊びをしています。牝駒は牡駒ほど熱心に遊ばないようですが、彼女たちはボールが体に触れるような位置に立ちます。一種の、子供が安心感を得るために使う毛布のようなものです。これは神経質な牝駒によく見られます」とリッチー調教師は指摘した。
リッチー調教師は、馬の性格や知性およびどれだけ遊ぶことが好きかによって、どのように遊ぶかが異なることに気付いた。
ボールはいい気晴らしになるが、退屈しないようにする場合にリッチー調教師が頼みの綱としているのは、
馬を馬房から出してやることである。
同調教師がとる方法では、これは競走馬をリラックスさせ、満足させる上で最高のものである。
「我々は、機会あるごとにできるだけ馬を馬房から出してやるようにしています。朝と夕方に外に出します。競馬場や調教に行くときは、時間をかけなければなりません。たくさん歩かせ、外に出して牧草を食べさせ、日光に当てるのです。そうすることで、馬は非常にリラックスできるのです」とリッチー調教師は述べた。
自分の馬を知ること
調教師が直面する課題の一つは、毎日の調教を馬にとって楽しいものにすることである、とケン・マックピーク(Ken McPeek)氏は述べ、これは既に1、2度調教を受けたことのある年長馬では特に難しいと付け加えた。
サラブレッドの売買仲介業者として事業を始める前に、20年間調教師を務めたマックピーク氏は、馬を楽しませる方法を見つけ出すたくさんの機会に恵まれた。
「アメリカ競馬の失墜は、われわれが常に時計と反対回りの競馬をしているということです」とマックピーク氏は述べ、米国競馬場の楕円形の形状を例に挙げた。
「他の国はアメリカの調教師の場合よりはるかに多くの選択肢をもっています」と述べ、彼はイギリスのニューマーケット(Newmarket)競馬場やフランスのシャンティ(Chantilly)競馬場などでは特に調教師に多くの選択肢があることを指摘した。
ポニーと一緒に競馬場へ行くとリラックスする馬もいれば、
単独でいることを快適に感じる馬もいるとマックピーク氏は言う。調教師は
各馬がそれぞれ何を必要としているか見極めなければならない。
「いつも同じ調教助手であることが、馬にしてやれる最も重要なことの1つだと思います。馬と騎手は一緒に時間を過ごします。もし調教助手が毎日同じ馬に乗れば、
その調教助手はその馬の気持ちを感じ取ることができます。彼らは私の下へ戻ってきて、『今日はこの馬は少しおかしいです』などと言うことができます。彼らはどうやって馬の状態を知ることができるのでしょうか。それは、毎日騎乗しているからです。同じ調教助手が同じ馬を担当することで、更に多くの情報を得ることができます。女性の調教助手の方が敏感で、小さな変化からでも情報を拾えると思います。調教助手として、私はできるだけ女性の調教助手を使うようにしています」とマックピーク氏は述べた。
馬に厩舎で常にいい気分でいてもらうために、マックピーク氏は、エネルギーが有り余っている馬がそのエネルギーを消費する必要があるときに玩具としてボールを与えている。
また、馬がリラックスするのを助けるために、仲間となる動物も与えている。同氏は厩舎にいる気難しい牝馬には、気を静めるためにヤギを使った。(・・・
)
「大変神経質な牝馬にとって、ヤギは理想的な手段です。牡馬より牝馬の方により効果的なようですが、
馬の個性にもよります。調教師の仕事の一つは、馬の個性を知り、何か好きで何が嫌いかを見極めることです。恐らく最も重要なことの1つは、
馬と多くの時間を過ごす厩務員を揃えることです。馬がたくさん注目されていることが役に立つのです」と同氏は付け加えた。
玩具、おやつ、外遊び
年間を通じてカルダー競馬場(Calder Race Course)を拠点とする調教師ケイト・フランシー(Kate Francy)氏は、6頭から10頭で厩舎を管理している。彼女が調教した馬の中でもベルナーズキャンディー(Bernard’s Candy)号は、2002年にカルダー競馬場の5 1/2ハロン(約1,100m)のトラックレコードである1分04秒39(1:04.39)を樹立した馬で、この記録はいまだに破られていない。フランシー調教師は、
小規模の厩舎の大きな強みは、調教師が全ての馬と一緒に過ごす時間を多く持てることであると述べた。
「高い知能を持つ馬ほどすぐに退屈するので、彼らと常に何かをしていなければなりません。できるだけ馬房から出してやることは、本当に効果的で、一番重要なことです。私は、彼らを長い散歩に連れ出すのが好きです。厩舎の間に草地がありますので、牧草を食べさせるために外に出してやります。できれば、午後にも外に出してやることが効果的です。彼らは全エネルギーを使って競走するマシーンになるようにできているのに、馬房に閉じ込められているので、落ち着かせるものが必要なのです」とフランシー調教師は言う。
フランシー調教師
は、馬の目の前に干し草を置いておくことも、退屈しのぎによる悪い癖を防ぐのに役に立つということに賛成である。それ以上に、馬房で馬に玩具を与えることが、簡単に実行できる方法であると彼女は考えている。
「私の管理馬はみんな玩具を与えられており、彼らはそれらが大好きです。好みの程度もそれぞれです。馬用ボール
は大ヒットです。ボールは結びつけることができますから、馬はボールを馬房の外へ放り出すことはありません。馬用ボールは彼らのお気に入りです」とフランシー調教師は述べた。
ボールとりんごの匂いのする吊り下げ型玩具は、(馬がおやつを取り出すことができる)スナック・ディスペンサー(treat dispensers)とともに、彼女の厩舎では人気が高い。
市場では数種類のスナック・ディスペンサーが出回っているが、フランシー調教師は、プラスチック製の1ガロン用水差しの片側にちょうど1個のアルファルファのキューブが落ちるだけの小さな穴を開けただけのものを手作りしている。
「アルファルファのキューブを水差しに入れ、あまり詰めすぎずに馬房に放置するだけです。馬は鼻でそれを転がし、スナックを取り出します。いつもだいたい次の日にはおやつの塊が全部なくなっています」とフランシー調教師は述べた。
馬はそのようなスナック・ディスペンサーに何時間も熱中することができる。各々のディスペンサーに応じて、ペパーミント、にんじんの塊、市販の馬用おやつも使える。
楽しみと同様、玩具は馬の退屈を取り除くが、外で過ごす時間に勝るものはないとフランシー調教師は強調する。
「一番いいのは、馬を馬房の外に出してやることです」と同調教師は述べた。
馬用玩具は多種多様。馬用玩具のこととなると、製造会社は独創的である。
ボールは人気のある玩具であるが、市販されているのはたった1つの馬用玩具ではない。りんご、にんじん、ペパーミントなど、馬が欲しがるとされる香りを染み込ませた玩具まであり、厩舎に吊るすりんごの形をした玩具さえある。おしゃぶりタイプの玩具は、馬が鼻で転がすことのできる回転棒がついている。
玩具の中には遊び時間とおやつタイムを巧妙に組み合わせているものもある。スナック・ディスペンサーは、玩具で遊び、スナックを取り出す方法を見つけた熱心な馬に褒美を与える。馬房用の玩具としてプラスチック製のハザード・コーン(訳注:道路工事区域などを区画する円錐標識)を使っている調教師もいるが
、大きなコーンは貴重なスペースをとってしまう。
もう1つ多くの馬が喜ぶ玩具として、馬房に吊り下げるすべすべした金属製チェーンがあり、馬はこれを鼻で押したりして遊ぶ。
ボール類では、ジョリーボールが人気である。
というのは、耐久性のあるポリエチレンでできていて膨らませる必要がないからである。
どんなに荒っぽく遊んだり噛んでも、この頑丈な玩具は空気が抜けない。埋め込み式のリングや取っ手があるので、馬房に簡単に取り付けることができる。
(アフリートアレックス号
の説明を参照。http://www.afleetalex.com/)
覚えておくべきこと:放牧場ではつないでいない馬用ボールでもよいが、馬房ではボールをひもでつないでおくべきである。そうしなければ、馬は遊んでいるうちに自分の馬房から隣の馬房へボールを放り出してしまい、同僚の馬を怖がらせてしまうことがある。
安価な手作り玩具として、馬が遊ぶことができるように、キ甲の高さに取り付けるプラスチック製水差しがある。水差しの中のひとつかみほどの小石は音を出し、それが一部の馬の興味をひく。プラスチック製の水差しは、スナックのディスペンサーとして使うこともできる。
玩具が馬に悪い癖をつけさせてしまうことはないのだろうか。
「玩具を噛む馬はいますが、そのことが他の馬や人を噛むよう助長するでしょうか。私はしないと思います。」とマイク・ヴァン・ノイ博士は言った。
競走馬を幸せでリラックスした状態に保つためのアイデア
・厩舎で馬が簡単に他の馬を見えるようにする
・ジョリーボールなど、安全な玩具を馬房に取り付ける
・可能な限り多く、馬を馬房から出す
・自由に食べられる牧草を与える
・午前中に調教馬場へ行く際に、ポニーと一緒の方がいいのか、ポニーが一緒でない方がいいのか、その馬の好みを見極める
・馬の行動の変化を見つけるために、同じ調教助手を使う
・神経質な馬には、ヤギなどの仲間となる動物を与える
・
馬により多くの注意を払う