

カサゴ
■日本の岩のあるところなら、どこにでもいるのがこれ。それだけに日本各地に地方名が多く、標準和名が通じないことも多い。関西では「がしら」九州で「あらかぶ」「ほご」四国で「ほご」紀州・徳島で「ががね」などなどと呼ばれる。
■赤っぽいものが多いが、体色は黒から赤まで変化に富み、斑紋も変異が大きい。胸鰭は大きく上半部が浅く湾入する。
■大きな口をあけて餌にとびついてきて、簡単に釣れると嫌う人も多いが、カサゴをきちんと釣りこなすのは難しい。また、白身の肉は、よく締まり、こりこりして、あっさりしているから美味しい。刺身でも煮付けでも味噌汁でも美味しい。皮が、ややかたいので、皮に切れ目をいれるとよい。
■船の深場で釣れる大きくて赤身の強いのがウッカリカサゴで、それ以外はカサゴだと思われていたが、側線上方の白点が不明瞭か、あっても不定形で、体側の小白点に縁取りのないのがカサゴだと、近年されている。どちらにしても20cm~30cmまでのカサゴとウッカリカサゴの見分けは難しい。多少のぶれはあるが、確実なのは胸鰭軟条数をよむことで、カサゴは18が多く、ウッカリカサゴは19が多い。
ムラソイ
■ムラソイは浅海の岩礁域にふつうに見られる。とくに西日本には多いようだ。しかし、黒っぽいカサゴだと思われているようで、見分ける釣り人は少ないようだ。
■そういう意味で知られざる魚である。また、斑紋や体色に変異が多く、いま4亜種にわけられていて研究者でも論議が続いて決着はついていないという難しさがある。
■黒っぽい「カサゴ」だと思う魚が釣れたら、ちょっと注意して見よう。またムラソイ類は尾鰭の後縁が丸く、カサゴ類はまっすぐだと覚えておこう。
■カサゴはフサカサゴ科のカサゴ属になり、ムラソイはフサカサゴ科のメバル属になる。浅海域の磯魚は、カムフラージュのためか、一見よく似ていて見分けは難しいが、ぼくらの目を肥やすための、よき勉強相手になってくれてもいる。
■学名を見て欲しい。3名法になっている。これは属名・種小名・亜種小名と呼ばれる3名で、亜種であるということを示している。亜種とは定義はない。とりあえず、生殖隔離はないのだが、地方により形態的に見分けられるくらいの変異がある…というような研究者の「常識」によって分けられる。
■ムラソイ類は、1943年、松原喜代松により、ムラソイ、ホシナシムラソイ、オウゴンムラソイ、アカブチムラソイの4亜種にわけられた。1984年に尼岡邦夫はそれらの亜種を認めず、ムラソイ1種にまとめた。1993年に中坊徹次は、尼岡では詳しい議論がなされていないとして、松原の4亜種を暫定的に復活させた。そして松原標本を精査し検索形質を変更した。そのなかでムラソイとホシナシムラソイが種内変異、オウゴンムラソイとアカブチムラソイが種内変異。つまり2種に整理される可能性を示唆している。
■下顎が上顎より前に出ない、尾鰭後縁がまるい…などがムラソイ類の特徴になるのだが、ムラソイ類は、はっきりした特徴がないので、見分けが難しい。慣れるしかないだろう。
■分布の所にも書いたが、ムラソイは、ムラソイ類中では、南方系であり、西日本に多いようだ。北海道や東北にはオウゴンムラソイが多いようだ。これは体側に黄色斑がちらばる。
斑点が目立つ赤っぽいのがカサゴで、黒っぽくて太い縞のように見えるのがムラソイのようです。
パッと見は見分けにくいですね。
引用「WEB魚図鑑」