
今回は調色を中心に番外編として製作日誌を書いてみます
こんな考え方でやっていますよという程度ですが・・・
なお、影響を受けた本はありますが、それの受け売りや引き写しではなく、実際に自分が試し些少ではあるものの経験を積んで、検証してよいとおもったものを採用、紹介する次第です
色彩学の原則めいた話をすれば、きりがないのですが、理論と実際は違いますし、必ずしも理論どおりならないのが実際の調色です。
そうはいっても、まずは、基本的な話から。
色の三属性は、色相、彩度、明度です
こと調色に限れば、これらをいっしょくたに考えて、調色するよりも、つぎの手順で踏んだ方がベターです
ステップ1)見本となる色をじっくり観察して一番近い色相の塗料ビンを選択する。
ステップ2)それで色相が合わなかったら、色相環の隣り合う色を混色して合わせる
ステップ3)色相がそれなりに合致して、まだ見本と違う場合には彩度、明度を調整す
る。
ステップ4)彩度、明度がそれなりに合致して、色相がシフトした場合には色相環の隣り合う色を混色して合わせる

写真2:
ステップ1)見本となる色をじっくり観察して一番近い色相の塗料ビンを選択する。
コトナのボディ色は、ピンクと赤(以下、コトナレッドといいます)が基本色ですが、このコトナレッドの方を調色します
色相環のクレオス「原色」カラーで見本のコトナレッドに一番近いのが、マルーンです
ただマルーンそのものでは彩度高すぎで、このまま塗るわけにはいけません
実際のアニメカラーは、彩度高い色で色指定しているのはほとんどなく、彩度のトーンを落とした中間色が色指定されているのがほとんどです
ですので、ことアニメ系フィギュアに限れば調色が必須となります
さて、ここで、たくさんのカラー塗料がリリースされているので一番違い色を探して塗ればいいのでは?という考え方もありますが、すぐさま生産中止になることもあり、たくさんのカラーから探すのも大変ですし、実際のところ、そうそうピッタリのカラーがズバコンであるわけではありません。実際の話。
また逆に色彩学上、調色の原色は、シアン、マゼンタ、イエローですが、それを使用して(純色カラーでリリースされている)、色相を合わせればよいという考え方もありますが、現実的ではありません。
実は、このコトナレッドは、手持ちのガンダムカラーのシャアレッドがほぼ一致するのですが、シャアレッドをベンチマークに調色してみます。

写真3:
ステップ2)それで色相が合わなかったら、色相環の隣り合う色を混色して合わせる
ステップ3)色相がそれなりに合致して、まだ見本と違う場合には彩度、明度を調整す
る。
マルーンで色相的にOKですので、ステップ3)で彩度、明度を調整します。
彩度、明度を調整するために「味付け色」を使用します
味付け色は基本的に茶系統のカラー、ブラウン、マホガニー、艦底色、ダークアース、ウッドブラウン、レッドブラウン、タンです
なぜ味付け色(茶系統)を彩度、明度調整用にメインに使うのか、一つには後述しますが、彩度の調整がコントローラブルであり、元の色の色味を殺さない方向で調整できるからです。なお茶色、ブラウンは色相的にオレンジで彩度が低いもの、「濁ったオレンジ」
と考えておけばよいです。
基本的に、彩度を落とすには、
1)無彩色を混色する ホワイト(明度が高い方にシフト)、ブラック(明度が低い方にシフト)、同じ明度のグレーを使用する。
2)補色を混色する
がありますが、理論はそうとしても、いずれもメインで使うべきでないし、現実的ではありません 後述しますが、ホワイトをメインにすれば、色がパステル調にシフトするし、ブラックをメインにすれば元の色味を殺し、汚い色となります
それと基本的に、色彩学的に色を多数の色で混色すればするほど、彩度は低くなり理論的にはブラックに近づくので(減法混色の理論からみて)、混色で彩度が低くなるということは考慮しておく必要はあります。
上記写真3は味付け色の比較用に示したものであり、一番左が、マルーンに、マホガニーを混色したもの、真ん中が、マルーンに、ブラウンを混色したもの、一番右が、マルーンに、艦底色を混色したものです。いずれもマルーンの彩度が落ち、コトナレッドに多少近づいているものの、明度や色相がシフトしているのがわかります
それでマルーンに、艦底色を混色したものを選択します

写真4:ステップ3)色相がそれなりに合致して、まだ見本と違う場合には彩度、明度を調整する。
マルーンに、艦底色を混色したほほコトナレッドには近づいたのですが、明度をやや高めるために補助的にホワイトを混色します。
ここまでマルーン:艦底色:ホワイト=およそ4:2:1です
写真4で左が、マルーン:艦底色:ホワイトで調色したもの、右がシャアレッドです
近づいたとはいえますが、左がワインレッド(ブルー側にシフトした赤)、右がエンジ(オレンジ、茶色にシフトした赤)ですので、つぎに色相の調整を行います。

写真5:ステップ4)彩度、明度がそれなりに合致して、色相がシフトした場合には色相環の隣り合う色を混色して合わせる
色相環で、オレンジ寄りの赤の「原色」、シャインレッドを混色します
マルーン:艦底色:ホワイト:シャインレッド=およそ4:2:1:1です
写真5で左が、マルーン:艦底色:ホワイトにシャインレッドを加えて調色したもの、右がシャアレッドです
どうでしょうか、混色でシャアレッドを作れました 通常より三倍速く調色しました(笑)

写真6:コトナレッドにほぼ近づいたのではないでしょうか。実際には、かなりの量の希釈液とクリアを混合して色を薄めて吹き付け塗装しますし、また乾燥すれば当然色は濃くなりますので、実際に塗ってみないと実際の色はわからないところがありますが。
以上、こんな感じで調色していることは伝われば幸いです

写真7:比較用の写真です。
上で説明したように、基本的に、彩度を落とすには、
1)無彩色を混色する ホワイト(明度が高い方にシフト)、ブラック(明度が低い方にシフト)、同じ明度のグレーを使用する。
というのがありますが、写真7は、マルーンにニュートラルグレーを混色したものです。
マルーンの彩度は確かに落ちますが、パステル調に変化して、ねらいとする色味にたどり着きません。さらにホワイトを使用すれば、極端に明度高めのパステル色にシフトして、となり、ねらいとする色味にたどり着からないとは明らかです。

写真8:同じく比較用の写真です。
写真8は、マルーンにブラックを混色したものです。
マルーンの彩度は確かに落ちますが、極端に明度が落ちるとともに、元のマルーンの色味が死んでしまい、ねらいとする色味にたどり着きません。
通常、タミヤの調色スティック一杯単位で塗料を調色するのですが、ブラック、ホワイトの場合には、彩度、明度が極端にシフトしてしまい、色の調整がコントローラブルとはいいがたいのではないでしょうか。

写真9:こちらは、今回調色したコトナレッドではなく、前回調色したピンク(ピンク+ブラウン)でボディのピンク部分を吹き付け塗装したものです。なおピンクは赤と白ですが、それですと彩度は落ちますので、ピンクは写真1の原色カラーにありませんが、素直に調色された塗料のピンクを使うべきでしょう
調色したカラーの彩度(彩度そのものは落ちてはいるものの)を維持したまま、明度差を変えたグラデーション塗装する唯一の方法は、調色した色そのものの薄め具合(希釈液、クリア)を変化させることです。
実際には、かなり希釈したものの吹き付け量、吹き付け時間を変えて吹き付け塗装することになります(単色グラデーション)。
逆に、調色した色のハイライトをだすために、ホワイトを混色すると、パステル調にシフトして(極端に彩度が低くなる)、せっかく調色した意味がなくなるともいえます。

改造が主流だったLBXで、塗装で本気出されたメタルシファーの感動蘇りましたぁ
今日の教訓
調色とは、常に二手三手先を読んで行うものですね!
ありがとうございました
こんばんは~
結構色のあわせは勘でやってしまうんですよ
それでオッケーなら問題なしです
ただ 迷ったときは原則に戻って考えてみるという法則がありますからね
ですので、自分なりの方法論をちょっとまとめてみました
厳密にこうしなくては、ということでなく
こんな感じでやってますよという程度です
また何かまとめてみます
追伸
aryareちゃんもストーンLBX作られましたね~
そうそう二手三手の先をみるのはほんと大事ですよね~
そうだ! 今度 aryareちゃん流の絵の描き方講座おねがいしますね!