住宅ローン滞納・返済困難・任意売却について正しい知識で解決を

住宅ローンの返済困難や任意売却・競売について、金融・不動産業界経験者の司法書士が解決に向け情報提供をしていきます。

第23回 任意売却の費用とその負担について 

2010年05月19日 20時13分27秒 | 任意売却
第23回 任意売却の費用とその負担について 
その3

みなさん こんにちは
今回はハンコ代の基準についてお話します。
   
後順位担保権抹消依頼費用(ハンコ代)の基準
     
このハンコ代については、法律上規定があるわ
けではありません。
     
業界の慣習的な暗黙の了解に基づいた基準のよ
うな相場のようなある程度のラインはあります。
     
しかし、必ずしも全てその相場でいくわけでは
なく、債権の種類や債権者、売却代金から残債
を控除した余剰額があるか、あるとしたらどの
くらいか、等さまざまな要因により異なります。
     
私が金融機関で後順位担保権の抹消について、
後順位担保権者と折衝したときは、概ね10万
円で了承をもらう場合が多かったですが、債権
者の中には「50万円」や「100万円」を要
求してくる債権者もいました。
     
以下に、ある金融機関で定めている基準額につ
いて表記します。
     
第2順位 30万円(場合により50万円の場
合も有る)
     
第3順位 20万円
     
第4以下 10万円
     
(残元金の1割の額が上記より低い場合はその額)

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第22回 任意売却の費用とその負担について 

2010年05月13日 23時33分35秒 | 任意売却
第22回 任意売却の費用とその負担について 
その2

みなさん こんにちは
今週は仕事でばたばたしていて、月曜から毎日
法務局、区役所、裁判所と連日でかけて、夜は
、依頼人と会ったりして机に座っている時間が
ありませんでした。

裁判所ではいつもはあえない知り合いの司法
書士に珍しく偶然会えたり、(なんと3人に
連続あった)、今日(木曜)も午後は依頼人
とあったりで、いつもの暇な事務所では珍し
いハードスケジュールになり、いまやっと、
遅れた事務作業にとりかかっています。

長い前置きはその辺にして、今日は担保権
抹消費用についてお話します。
5月にしてはやけに寒い日が続きますが(特
に夜)風邪などひかぬようにしてください

   
後順位担保権者に支払う担保権抹消依頼費用
について
      
住宅ローンを設定している場合は、銀行やロ
ーン会社(貸主)の担保権(抵当権)が設定
されています。
      
住宅ローンの担保権が複数ある場合や、住宅
ローン以外で担保権を設定している場合もよ
くあります。
      
住宅ローンの担保権よりも優先度の低い(原
則、時間的に住宅ローンよりも後に設置され
た担保権)のことを後順位担保権といいます。
      
そうすると住宅ローン以外の債権者の設定し
た担保権が複数あることになります。
      
売却するには、これらの担保権をすべて取り
外さないと誰も買ってくれません。
      
住宅ローンの債権者以外の債権者にも交渉し
て担保権を抹消してもらわなければなりませ
んが、法的には、後順位担保権者には抹消す
る義務はありません。
      
しかも、売却代金のほうが第1順位の住宅ロ
ーンの残債の方が高いのがほとんどですから、
後順位の担保権者に弁済のための支払のお金
がまわっていくことはありません。
     
 (競売手続の場合は、落札者が所有権を移
転する時期に全ての担保権は抹消されます。)
      
しかし、後順位担保権者もこのままでは、債
権の回収ができないのは明らかですから、担
保権を維持して、第1担保権者の債権を回収
不能にするより、第1担保権者の債権を少な
くしたうえで、いくばくかの抹消協力費用を
受け取って、担保権を抹消したほうが得策で
す。
      
よって、抹消してもらうために、抹消協力依
頼費用を後順位担保権者に支払って担保権を
抹消してもらうのです。
      
この費用を業界用語で「ハンコ代」といいます。
      
それでは、そのハンコ代はいくらなんでしょう。
そもそも相場ってあるのでしょうか?
次回はハンコ代についてお話します

第21回 任意売却の費用とその負担について 

2010年05月06日 08時37分20秒 | 任意売却
第21回 任意売却の費用とその負担について 
その1

みなさん こんにちは
本日から新しい項目に入ります。

本日は任意売却において発生する費用について
お話します。


  
任意売却において発生する諸費用
    
任意売却とは、不動産売買契約に基づいて、
不動産の所有権を移転する手続ですから、
契約に伴う諸費用が発生します。
        
一般的に下記の費用がかかります。
        
不動産仲介会社に支払う仲介手数料
       
売買契約の印紙代金
       
登記申請の登録免許税(所有権移転・担保権抹消)
       
司法書士に支払う報酬料金
       
固定資産税
       
(所有権移転するまでの日割り分・・売主の
所有権移転期日までの期間で年間の固定資
産税を按分する。例えば資産税が100万
円で6月30日で移転する場合、半年分のお
 よそ50万円を支払う)
       
後順位担保権者に支払う抹消依頼費用
       
マンションの管理費滞納分
       
引越し費用
       
残地物撤去費用
       
建物が損壊していた場合、修繕費用
       
その他
       
およそ、考えられる限り以上のような費
用項目が発生します。
       
通常の不動産売買ですと、司法書士の報
酬と登録免許税を除いて、上記費用は売
主が負担するものですが(法律的には登
録免許税は売主・買主が共同で支払い義
務がありますが、不動産業界の慣例上買
主負担の場合が多いです。)
       
(印紙代金は売主・買主折半・売買契約
書を2部作った場合1部の印紙代金を負
担する)
       
任意売却の場合、所有者が資金に余裕が
ない場合が圧倒的に多いので、現実的に
上記費用を負担することはできません。
       
しかし、上記費用を支払わないと不動産
売買が成立しませんから、費用を誰が負
担するかの問題になります。
       
現実は、売却代金の一部を費用に充てる
ことになります。
       
売買代金よりも残債が少なければ、代金
ー残債の控除分が債務者にわたりますか
ら、支払えば良いのですが、任意売却の
場合は残債が代金よりも多い場合がほと
んどです。
       
(このように、担保価額よりも残債額が
多い場合を「オーバーローン」といいま
す。)
       
よって、債権者に弁済として支払われる
代金の一部から費用を支払うことになり
ますので、実質、債権者の負担となるわ
けです。
       
一般的には、上記費用を債権者が負担す
ることは多いのですが、法的に支払い義
務があるわけでは、勿論ありません。
       
よって、債権者によっては「引越し費用
は負担しない」「撤去費用は負担しない」
方針を有する債権者もいます。

第9回 任意売却のできる期間

2010年02月05日 12時24分20秒 | 任意売却
第9回 任意売却のできる期間
  
住宅ローンの支払の延滞が3ヶ月続くと、「期限の利益の喪失」の状態になり、
一括請求されることになります。


法律上、担保権(抵当権)実行(競売申立)は「期限の利益の喪失」が必要な
条件となります。

任意売却の期間もこのときからスタートします。

そして、現実的には競売の開札日まで(正確には開札日の前日まで)が任意売
却の可能期間です。

(余談ですが、私が競売に入札して、開札日に裁判所に行くと、競売取消や取り
下げになった物件を一覧にして提示してあるのですが、入札した物件が競売取
り下げによってなくなっていることがよくありました。
この取り下げの理由が(ほとんど)「任意売却」による競売の取り下げなのです。)

法律的には、代金納付までに、最高価買受人(一番高い入札価格をいれた落札者)
次順位買受人2番目に入札した人)の同意があれば「競売の取り下げ」ができるの
ですが、現実には無理です。

よって、実質、開札の前日までがタイムリミットといえるでしょう。
   
詳しくは、後日お話しする「競売手続の流れ」で説明します。
      
※ 期限の利益喪失とは
   
金銭の貸し借りにおいて、返済期日までに借金を返さなくてよい(返済請求され
ない)という期限が到来していないことにより債務者(借主)が受ける利益を期
限の利益という。

  
金融機関が金銭を貸し付ける場合は、ほとんどの金融機関が「期限の利益喪失特
約条項」を契約書におき、借主が返済期日に分割約定金額を返済しなかった場合
に全額を返済しなければならない(期限の利益を喪失するということ)とする約
定の入った金銭消費貸借契約を締結する。

法律上、担保権(抵当権)の実行(競売申立)には「期限の利益の喪失」が必要
となる条件です。


第8回 任意売却の流れ

2010年01月31日 08時33分49秒 | 任意売却
第8回 任意売却の流れ

任意売却の流れ
  
債務の延滞が3ヶ月続くと、一括請求されたり、保証会社やサービサーに
債権譲渡されます。

不動産を処分しなければならないかどうか、他の支払手段は無いかを検討
することが必要です。

任意売却を決断したら、債権者と調整しながら、不動産仲介業者に物件の
売却を依頼すること になります。

債権者によっては、不動産仲介業者を指定したり、売り出し価額を指定す
る場合もあります。

債権者と調整した価額で売れることになったら、引渡し時期と諸費用の確
定その負担について調整しながら、物件引渡しの準備をします。

売却の費用については、別の号で「任意売却の費用とその負担について」
でお話します。
   
また、私が開設しているホームページに任意売却に至るまでの流れをまと
めた「自己診断フローチャート」がありますので、ご興味のある方は下記
からご覧ください。

http://hf-j.com/flow.html