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ビジネス経営戦略・成功事例の研究

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ユニクロのマーケティング戦略

2009-01-21 14:58:59 | Weblog
不況だからといって全ての企業が「耐え忍ぶほかなし」というわけではありません。
むしろそれを追い風にして成長している企業があります。そのひとつがユニクロです。

日経流通新聞の調査によると、「ユニクロの利用者でこの1年間にユニクロでの買い物を
増やした人は約2割」とのことです(1月16日号)。
またその理由は「安さ」ではなく「値ごろ感」であるとか。
つまり「安いだけでなく、デザインや品質も悪くない」ということで、「費用対効果が
高い商品」と認識されているためだとか。
ユニクロの経営手法からは多くのことを学ぶことができますが、ここではユニクロの
マーケティング戦略について分析していきたいと思います。

ユニクロのマーケティング戦略の中で特徴的なのは「顧客セグメント」についての
考え方です。
「顧客セグメント」とは「お客さんの分類」という意味ですが、通常どんな事業でも
「どんなお客さんを対象にするか」をまず絞り込みます。
例えば一口に女性向けといっても、女性にはいろんなセグメントがあります(中高生、
OL、主婦、シニア・・・)。
全てのセグメントを対象しようとするとどれもが中途半端になり、結局どのセグメント
にも響かないという状態になります。
自社の強みを活かせるセグメントに絞り込んでそこに経営資源を集中させる、これが
今の時代の経営の定石です。

ユニクロが扱うのはカジュアル衣料ですが、衣料品は「性別」、「年齢」、「嗜好性」
によってはっきり商品が分かれます。
ですからブランドコンセプトとしてはまず、「何歳くらいのこんな嗜好性を持った女性向け」
といったくくりから商品を企画していくのが普通です。
ところがユニクロは、「男女問わず、あらゆる年齢層、幅広い嗜好タイプ」を対象とすること
で成功しました。その代表的な商品がユニクロのフリースです。
ユニクロのCMには大人から子供まで出てくるものがありますが、これもそのメッセージ
なんですね。
このことは創業者の柳井氏が著書の「一勝九敗」で書かれています。(タイトルがいいですね!)

なぜユニクロはこの「絞り込まない戦略」を成り立たたせることができるのでしょうか。
いくらでもお金があるからでしょうか。
そうではなく、答えは「別のところで絞り込んでいるから」です。

ユニクロの場合ひとつは扱うカテゴリーを「ベーシック」に絞り込んでいます。
どんな年齢層でも着られ、どんな服にでも合わせられる、これがベーシックの特徴ですね。
ここに絞り込んでいます。

もうひとつはアイテム。同規模の他店にくらべて点数も種類も少ないですよね。
これはSPAという業態(小売と製造を両方やる)によるところもありますが、ユニクロは
「必要性の高いもの=ニーズの大きいもの」に絞り込んでいるんですね。
(同社のこのスタイルのモデルになっているのはアメリカの大学生協とのことです。)
つまりユニクロは「顧客」ではなく「商品」を絞り込んでいるということですね。

なお、絞り込むということは、「それしか扱えない」ということではなく、「それに特化して
掘り下げてゆく」ということです。
また、絞り込むということは、「テーマをもって事業を行う」ということであるとも言えます。

戦略の基本は集中と選択であると言われます。
「商品」と「顧客」という2つの軸について、他にどんな「集中」があるのか、
こんなときこそ一度じっくり考えてみることも有益かもしれません。

ご参考まで。



奈良の経営コンサルタント 橋本経営事務所 橋本嵩史 
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