宮部みゆきの時代小説「ぼんくら」の主人公 井筒平四郎は桜が嫌いだ。下を向いて咲いている景気の悪い花だと言っている。また、遠い昔から名だたる文人墨客に褒められ続けているのに未だに下を向いて咲きやがる。謙遜も度が過ぎれば嫌味になる。なんてことも言っている。
これを読んだ時は、はぁ~、へぇ~、ほぉ~、あっは、と感心した後でちょっと可笑しくなった。面白いことを書くもんだと、宮部みゆきが益々好きになった。
桜を嫌いだと正面切って言う人にお目にかかった事がない。春という季節と相まって桜は日本人の心を確りつかんでいる花である。悪く言うとそれこそ日本人じゃないみたいに思われるかもしれない。しかし、嫌いだと言う人がいても不思議ではない。人の心は千差万別なのだから。
熊本はすっかり葉桜となり、初夏の雰囲気が匂い始めている。今年も桜を楽しめたことに感謝しつつ書いてみた次第である。