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韓国ドラマ「プレーヤー」(連載10)

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韓国ドラマ「プレーヤー」(連載10)

☆主なキャスト&登場人物 
○ソン・スンホン➡(カン・ハリ(チェ・スヒョク))
○クリスタル➡(チャ・アリョン)
○イ・シオン➡(イム・ビョンミン)
○テ・ウォンソク➡(ト・ジヌン)
○キム・ウォネ➡(チャン・インギュ)


 「プレーヤー」第1話→(悪いやつらだけ選んで盗む)⑩


★★★


「だったら帰れよ」
 ビョンミンは声を荒げた。
「私が?」
 アリョンも負けていない。
「一番オタクっぽいくせに」
 ビョンミンはちらとジヌンを見る。
「何だこいつ」
 ビョンミンはハリに歩み寄る。腕をつかんだ。
 腕をつかんだ。
「ちょっと来い」
 ジヌンも同調し、怖い顔でハリを睨む。
「気に入らないよ」
「俺もだ」
「聞こえてるぞ」
 ハリはアリョンに目を流す。2人も続く。
「仕事の話しましょ」
 アリョンは意に介さず、テーブルの前に腰をおろした。
「座れ」
「お前が座れよ」
 アリョンは気軽なタッチでおいでの仕草を見せた。


★★★


 TVは検察庁の前から現場中継を行った。


―ヒョンジングループ4世、チ・ソングさんの報道です。気象予報士だったパク・ソンヨンさんの遺書には、性的暴行のあと動画まで流出したと書かれてあり、波紋を広げています。




 チャン検事は法廷に立っていた。
 証人に尋問した。
「ホン・ユニさん…あなたはソンヨンさんと中学時代からの友人で、最近まで同居していたそうですね。お互いに個人的な秘密を打ち明け合うほど、親密な関係だったと聞きます。本当ですか?」

 証人のホン・ユニはちらと被告人のチ・ソングを見た。
「はい。彼女は私が一番頼りにしている友人でした。辛くても諦めない姿に元気をもらっていました」
 チャン検事は頷く。
「でも、あの人に会ってからは、警察も弁護士もあいつの味方よ、弱い私自身が、力のない私が―すごく嫌なの、もうやめたい、と…」

 部屋で倒れていたパク・ソンヨンの姿を思い浮かべ、ホン・ユニの証言は中断する。被告人に目をやる。その表情は暗い。うっすら恐怖の色を滲ませている。
 裁判長は証言の続きをうながした。

「あの時から―今みたいに生きるのが嫌だと、あの人を口説いて人生を変えると…」
 傍聴席はざわめきだす。
 チャン検事は質問を挟んだ。
「何を言ってるんですか?」
「思いどおりにいかず、こうなったら一緒に死ぬと」

「嘘つかないで!」
 傍聴席に座っていた女性が叫んだ。

 チャン検事は裁判長を見た。
「証人は神聖な法廷で偽証しています」
 弁護士が立ち上がった。
「反対尋問を行います」
 チャン検事も席を立つ。
「これは検察側の尋問です」
「許可します」と裁判長。
 チャン検事はすかさず抗議する。
「裁判長!」
「静粛に」と裁判長。
 法廷内は不穏なまま静まり返る。

 やがて裁判長は切り出した。
「逃亡と証拠隠滅がないと判断し、チ・ソングの保釈を許可する」 
 閉廷のガベルが鳴った。


 思いもしない流れで閉廷し、チャン検事は頭を抱えた。肩を落とした。
 被告人のチ・ソングは殊勝な表情で弁護士らに頭を下げた後、チャン検事のもとにやってきた。
「検事さん」
 チャン検事は顔を上げる。

 頭に手をやりながらチ・ソングは切り出す。
「検事さんのいう通り、法に従うのは―いいですね」
 皮肉のこもった口調だった。その後、深々と一礼した。
 チャン検事は苦々しい表情を返した。


―俺をからかって自分を誇ってやがる…こいつは間違いなく黒だ!


 背を返したチ・ソングは薄笑いを浮かべて退廷した。




「この度はチャン検事がご迷惑をおかけしました。…息子さんの問題はご心配なく。ちゃんと処理します。はい、会長」
 電話を終えた検事長の部屋にノックして部下が顔を出す。
「チャン検事はどう見てる?」
「問題視していますが心配ありません。この件から外します」
「放っておけ」
「…」
「一人では何もできない。いつか自分の方で墓穴を掘るだろう。その機に乗じて片付けろ。昔のことは詮索させるな」
「はい、検事長」
 部下は深く頭を下げた。




 チャン検事は両手で顔を覆って考え込んでいる。裁判の進行が思わしくないのもある。だがそれ以上のショックは、被害者の母親が裁判の滑り出しに早々と絶望してしまったことだった。
「検事さん、もう諦めます」
「お母さん…裁判はまだ終わっていません。ようやく一審です。控訴して次に」
 母親は泣きながら訴えた。
「検事さんも見たでしょう。娘のネット記事にひどい書き込みがあったのを」
「…」
「私たちの味方は誰もいません」
「だからこそ、もっと頑張ってその口惜しさを…」
「あの男には…お金もあるし、コネもある。あの男を止めてくれる人はどこにもいないじゃないですか」
 泣きじゃくる母親にチャン検事は慰める言葉を持たなかった。検察庁内にあって、彼自身も時に孤立無援の自分を感じる時があるほどだったから。
 母親の言葉を思い返す度、チャン検事の胸には口惜しさがこみ上げて来るのだった。

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