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大和川から分流された長瀬川が関西本線に沿って流れていた。田んぼに水を引き込む用水路と下水路を兼ねた人工の川だった。工場などで役割を終えた排水は本流には流れ込まず、コンクリートで造られたへりの水路に流れ込む仕組みが出来ていた。
川沿いにはいくつかの大きな工場が立ち並んでいた。
家から川までは数百メートル足らずの距離だったが、足を伸ばす機会はあまりなかった。十字路から先の川や線路までは家も少なく、草茫々の空き地や畑が広がっているだけだったからだ。
しかも線路や川の方面はいい話はないのに悪い話を耳にすることはしばしばあった。近くにあった工場の家族が夜逃げしただの、川で溺れた子がいただの、近くの線路で飛び込み自殺があっただのという話だった。
僕らがそのあたりを歩き回るようになったのは母がその辺りに住むおばさんと仲良しになったからだった。母は時々、手のかかる妹を連れその人のところへ出向いていくようになった。
その町に越してきて三ヶ月が過ぎた頃だった。
ある日、父の言いつけでその人のところへ出向いた。川の近くにある家を訪ねると母はその人と一緒に飯場に出す布団の縫い物をしていた。
母は僕を見て怪訝そうに尋ねた。
「どうしたの?」
「お父ちゃんが帰ってきた」
母は柱時計を目をやった。首をかしげるようにし、髪に縫い針をこすりつけた。
「戻るからもうちょっと待っててと伝えといて」
それ以降、母がそこに来てると分かってる日は川の周辺にやってきたりした。
川は思っていたより水量がなかった。弟と連れ立ってきた日に水の中へ入ってみたら、水かさは脚の膝から十センチくらいまでしかない。川のへりは汚水専用の排水路になっている。ちっちゃい子らがここをまたいで川に下りて溺れるなどとはとても思えなかった。
夏休みの暑い日が過ぎる中、夕暮れの新聞配達を終えて帰ってくると母はいきなり僕を叱りつけてきた。
「何であの子を連れて行ったの!」
僕は土間から部屋を見やった。一間の部屋に弟や妹らが揃っている。父の姿だけがなかった。
弟を見た瞬間、僕は母の怒りの意味を理解した。弟の右足には白い包帯が巻かれていた。
「町中を流れる川がどんなに危険かは分かる年やろが! 何であんなとこへ連れていったんや!」
母はしばらく同じ意味の説教を続けた。弟は友達と川に入り、ガラスの欠片を踏みつけたらしかった。
隣のおばさんが醤油を借りにきて母の怒りは止んだ。隣人が醤油を借りにきたのはただの理由だったらしい。何週間か経った頃、その話は仲のよいおばさん同士の笑い話になっていたから。
日が暮れる頃に帰ってきた父も弟のけがはすぐに気になったようだった。僕が弟を川に連れて行った話になったら、短気な父は僕を殴りつけてきたかもしれなかった。
しかし母はそんな話にしなかった。僕に向けた怒りとは別の穏やかな表情で、弟は遊んでてガラスで足を切ったけど大したけがではない、と話を丸く収めた。
その後、ちらと僕を見て「母さんの気持ち、汲み取りなさいね」と言いたげな顔をした。
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