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韓国ドラマ「病院船」から(連載185)

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  韓国ドラマ「病院船」から(連載185)




「病院船」第17話➡病院船の危機⑧


★★★ 


 ウンジェは歩を緩めながら名刺に見入った。その時、バッグの中の携帯が鳴った。
 ヒョンだった。ウンジェは近くの椅子に腰をおろした。
「まだ警察署に?」
「聴取は終えて、今は病院にいる」
「救急室の当直?」
「いいえ」
「なぜ病院に?」
「少し調べることがあって」
「すぐ行くから待ってて」
「…分かった」
 携帯を切るともう一度先ほどもらった名刺に見入る。
「”法律事務所 プルン”」
 口でつぶやき、携帯で検索をかける。
 ”巨済屈指の法律事務所”と出てきた。
「地元なのね…」
 さらに検索を進めると労務専門の事務所だった。
 ウンジェは首を傾げた。
「労務専門の弁護士がなぜ医療訴訟を?」
 さらにさらに検索を進めていくと、弁護士のチョ・ソンミンはドゥソングループの代理人を務めているのが判明した。
「この弁護士はドゥソンと関係があるのね…」
 これで得心がいった。ウンジェは目を上げた。
 そこにヒョンが現れた。
 ウンジェは席を立った。
「疲れただろ?」
「腹が減ったわ」
 ウンジェの元気な声にヒョンは拍子抜けした。
「では、食事する?」
「食べたい物があるの」
「君が選ぶの?」
「たまにはいいでしょ」
 ウンジェは先に立って歩き出した。
 落ち込んでないのにほっとしながらヒョンはウンジェに従った。


★★★ 


 ジェゴルやジュニョン、病院船の看護師らは食堂に集まりテレビに見守った。ドゥソン電子の提供するPC医療最前線のドキュメンタリー番組だった。
 ナレーションが入る。
「パソコンの前に座り血圧と血糖値を測ります…そして測定データーを送り、患者はSNSを通じて直接に医者の診断を受けるのです」


―薬は飲んでますか?
―血圧の薬を飲んでます。
―服用を続けてください。他に悪い所は?


 ノートパソコンに初めて触れた患者が別の患者たちに訊ねる。
「簡単でいいでしょ?」
「ええ、便利ですね」他の患者たちも口々に頷く。


「やあ、参った」
 撮影現場を見て帰ってきたジェゴルは呆れた声を出す。もっともらしいビデオ映像に感心もした。
「編集すると事実とはまるで違って見えるんだな」
 看護師らがジェゴルを見た。
「簡単そうに見えるだろ」
「あれは嘘なの?」とジュニョン。
 ジェゴルは渋い顔をした。
「まったく…、お前はバカだな。リモコンも操作できないソさんが、PCを使えるものかよ」
「…」
「それに血圧と血糖値の自己測定までやると言うんだ。それができればヒョンも毎晩、電話などしてないさ」
「そうだな」とジュニョン。
「100歩譲って」アリムが切り出す。「PCが扱えたとしても、正確に診断できるかしら」
「無理だ」
 ジェゴルは答える。
「だったら」歯科の看護師が言った。「道庁はなぜ遠隔診療を推してるのかしら」
「黒幕がいるのさ」とジェゴル。
「誰です?」と興味を示すミヒャン。
 ジェゴルは組んだ両腕をカウンターに置いた。
「”健康”を売って荒稼ぎを狙う人物」
「”健康”を売って荒稼ぎを?」
 誰か分かってるかのようにジェゴルは頷いた。




 チャン・テジュンはとある食堂にやってきた。食堂の前に立つと秘書をよそに行かせた。
 キム・スグォンは先に来て待っていた。
「やあ、待たせたね」
 テジュンに気づいてキム・スグォンは席を立った。
「私も今、来ました」
「はっははは、さあ座って」
 腰をおろすとテジュンは店主を呼んだ。女主人が返事して出てきた。
「牡蛎クッパを2つと生牡蛎。焼き牡蛎も」
「はい」
 愛想のいい主人を見てテジュンは言った。
「最近、繁盛してるせいか、量が少ないぞ」
「とんでもないです。会長、やめてください」
 テジュンは豪快に笑った。
「こちらは大切なお客様だ。頼むよ」
「お任せください」
 女主人は頭を下げて引っ込んだ。


 スグォンは言った。
「ここは、よく来られるんですか?」
「巨済にドゥソン重工を構えた時から来てる。だから30年来の常連だ」
「韓国屈指の企業の会長なのに全く気どりがない。尊敬します」
 スグォンは頭を下げる。
「私はただの商売人だ」
 テジュンは笑って答えた。
「君のような医者こそ尊敬に値するよ」
 スグォンは照れる。テジュンは続ける。
「人の命を扱うのは崇高な仕事だ」
「恐縮です」
「そこで頼みがある」
「はい」
「最近、巨済第一病院が騒がしいようだ」
「騒がしい…何のことでしょう」
「あの件だよ。先日会ったソン・ウンジェ先生」
「はい」
「刑事告訴されたとか」
「その件は…」
「話によると家族の同意も得ずに手術をしたそうだね」
「本人は否定しています」
「当然だろう…誰も素直には認めまい」
「…」

「私は面倒なことが嫌いでね。MOU締結の直後にこんな騒ぎが起きては…第一病院に投資をすべきか、迷いが出て来る」
「会長…」
「会長は慎重な人だから、懸命な判断をすると信じるよ」
  そこへ牡蛎クッパが運ばれて来た。
「やあ、これは美味そうな匂いだ」
 テジュンは声のトーンを変えて言った。
 その分、スグォンの表情は暗く沈んでしまった。
 テジュンはスグォンにかまわずスプーンを握った。スープを掬って口に入れた。
「そうだ、この味だよ」
 そう言って豪快に笑った。
 


 食事を終えた後、スグォンは先に店を出た。重い足取りで帰路についた。

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