


韓国ドラマ「30だけど17です」(連載133)
「30だけど17です」第15話(音楽祭の舞台へ)⑨
☆主なキャスト&登場人物
○シン・ヘソン➡(ウ・ソリ)
○ヤン・セジョン➡(コン・ウジン)
○アン・ヒュソプ➡(ユ・チャン)
○イエ・ジウォン➡(ジェニファー(ファン・ミジョン)
○チョ・ヒョンシク➡(ハン・ドクス)
○イ・ドヒョン➡(トン・ヘボム)
○チョン・ユジン➡(カン・ヒス)
○ユン・ソヌ➡(キム・ヒョンテ)
○チョ・ユジョン(イ・リアン)
○ワン・ジウォン(リン・キム)
○アン・スギョン(チン・ヒョン)
★★★
ヒスとウジンは音楽祭組織委員長とリン・キムに会った。クラシック公演に関する報告を行った。
「私たちが考えたクラシック公演の下絵ですが…」
タブレットを開いて画面を見せようとする。
それをウジンが制した。
「何? どうしたの?」
ウジンは呟くように答える。
「手直ししよう」
そう言って組織委員長を見た。
「申し訳ないですが、もう少し考える時間をいただけませんか?」
「いや、特に求めるものはない」と組織委員長。「クラシック公演なので無難な感じでいい」
「それはイヤです」とヒス。「時間をください」
組織委員長は渋い顔になる。
「適当にやってもらえば」
「待ちましょう」
リン・キムが組織委員長を見た。
すぐに続けた。
「舞台デザインも芸術です。期待しています」
「わかった」
組織委員長も頷く。
「では、好きにしてくれ」
ヒスたちは晴れやかな顔になる。
「クラシック公演の成功は決まってるようなものだ」
続いたこの言葉にウジンらは怪訝そうな表情に変わりだす。
「チケットの争奪戦になってくるはずだから」
ウジンたちは顔を見合わせた。
「どういう意味ですか?」
と、リン・キム。
「まあ、蓋を開けてのお楽しみというところだ」
「…」
「さあ、舞台の話は次にして、一杯、飲みに行きましょう」
ヒスはウジンを見た。
アイコンタクトで言葉を送る。
― これでいいってさ。
ウジンは首を横に振る。
― いいわけないだろ。
★★★
不本意な気分でウジンは最後に部屋を出た。ロビーに向けて歩き出したら携帯が鳴った。
世話をかけている診療医からの連絡だった。
ウジンはどうしたものか迷った。彼は暗闇から脱け出しつつある自分を感じていたからだった。
そこにシム・ミョンファンが通りかかった。
「こんなところで顔を合わすとは思いがけないですね」
「会議があったもので…」
「ありがとう」シム・ミョンファンは言った。
ウジンは笑みを浮かべた。
「おかげでソリさんと協演できる。チェウムが許可してくれて本当によかった」
夜のとばりがおり始めている。
心行くまでバイオリンを練習できたソリの足取りは鼻歌交じりで浮き浮きだった。
傍目からそれはじつに危なっかしい。
前をろくに見ていないソリは何かにぶつかりそうになる。
ぶつかる直前、誰かの助けが入った。
前にある障害物にぶつかりそうなソリの身体を支えたのはウジンだった。
「叔父さん!」
ウジンの出現にソリはびっくりした。
「前を見て歩こうよ、もう〜。怪我したら大変だ」
ソリは一瞬、返事につまった。代わりに昔の出来事を蘇らせた。いつも一緒で仲良しだった友達のことだった。
何かにぶつかりそうになり、こうして助けられたことがあったのだ。
― また音楽のことを考えてたでしょ。私が捨て置いたら、怪我するところだったわ。
ソリは黙ってウジンを見つめた。
「…? 顔に何かついてる?」
「違います。昔、友達に同じことを言われたことを思い出したんです」
「友達?」
ソリは先に立った。
「いつもボケ〜ッとしてて、その子の体操服を着て帰っても―1度も怒りを見せませんでした」
「…」
「昔の友達に会いたいなあ」
ウジンはソリの横に並んだ。
「―連絡は取れないの?」
「はい。みんな引っ越してどこにいるか分かりません」
ソリの話にウジンはシム・ミョンファンの言っていた言葉を思い浮かべた。
「彼女には特別な魅力がある」
「…」
「演奏を続けていたら今とは違う人生だった。失われた時間を取り戻せないのは―本当に残念だ」
「…」
「あっ、そうだ」
突然、ソリが切り出してウジンはびっくりする。
「見て見て―見えます?」
ソリの左顎のところが赤くなっている。
そこを指さして言った。
「これ、練習でできたアザなんです」
「…」
ソリは浮き浮きした声で言った。
「バイオリニストみたいでしょ?」
ウジンは黙ってソリを見つめた。
ソリの言葉はバイオリンの絃の響きのようにウジンの心に宿った。
診療医やシム・ミョンファンの言葉も同様だった。それらのひとつひとつがウジンの心で呼吸して彼女の存在を膨れ上がらせて来ていた。
ソリは言った。
「どうしたんです?」
ウジンは答えた。
「可愛いから」
そう答えてウジンは先に歩き出す。
しかしソリは動けない。ボーッとそこに突っ立っている。
ウジンは振り返った。
「入らないの?」
言葉をかけても動かない。
「家に入ろう」
ウジンはソリのシャツの袖を引っ張って歩き出す。ソリは袖を引かれて家に入った。
「30だけど17です」第15話(音楽祭の舞台へ)⑨
☆主なキャスト&登場人物
○シン・ヘソン➡(ウ・ソリ)
○ヤン・セジョン➡(コン・ウジン)
○アン・ヒュソプ➡(ユ・チャン)
○イエ・ジウォン➡(ジェニファー(ファン・ミジョン)
○チョ・ヒョンシク➡(ハン・ドクス)
○イ・ドヒョン➡(トン・ヘボム)
○チョン・ユジン➡(カン・ヒス)
○ユン・ソヌ➡(キム・ヒョンテ)
○チョ・ユジョン(イ・リアン)
○ワン・ジウォン(リン・キム)
○アン・スギョン(チン・ヒョン)
★★★
ヒスとウジンは音楽祭組織委員長とリン・キムに会った。クラシック公演に関する報告を行った。
「私たちが考えたクラシック公演の下絵ですが…」
タブレットを開いて画面を見せようとする。
それをウジンが制した。
「何? どうしたの?」
ウジンは呟くように答える。
「手直ししよう」
そう言って組織委員長を見た。
「申し訳ないですが、もう少し考える時間をいただけませんか?」
「いや、特に求めるものはない」と組織委員長。「クラシック公演なので無難な感じでいい」
「それはイヤです」とヒス。「時間をください」
組織委員長は渋い顔になる。
「適当にやってもらえば」
「待ちましょう」
リン・キムが組織委員長を見た。
すぐに続けた。
「舞台デザインも芸術です。期待しています」
「わかった」
組織委員長も頷く。
「では、好きにしてくれ」
ヒスたちは晴れやかな顔になる。
「クラシック公演の成功は決まってるようなものだ」
続いたこの言葉にウジンらは怪訝そうな表情に変わりだす。
「チケットの争奪戦になってくるはずだから」
ウジンたちは顔を見合わせた。
「どういう意味ですか?」
と、リン・キム。
「まあ、蓋を開けてのお楽しみというところだ」
「…」
「さあ、舞台の話は次にして、一杯、飲みに行きましょう」
ヒスはウジンを見た。
アイコンタクトで言葉を送る。
― これでいいってさ。
ウジンは首を横に振る。
― いいわけないだろ。
★★★
不本意な気分でウジンは最後に部屋を出た。ロビーに向けて歩き出したら携帯が鳴った。
世話をかけている診療医からの連絡だった。
ウジンはどうしたものか迷った。彼は暗闇から脱け出しつつある自分を感じていたからだった。
そこにシム・ミョンファンが通りかかった。
「こんなところで顔を合わすとは思いがけないですね」
「会議があったもので…」
「ありがとう」シム・ミョンファンは言った。
ウジンは笑みを浮かべた。
「おかげでソリさんと協演できる。チェウムが許可してくれて本当によかった」
夜のとばりがおり始めている。
心行くまでバイオリンを練習できたソリの足取りは鼻歌交じりで浮き浮きだった。
傍目からそれはじつに危なっかしい。
前をろくに見ていないソリは何かにぶつかりそうになる。
ぶつかる直前、誰かの助けが入った。
前にある障害物にぶつかりそうなソリの身体を支えたのはウジンだった。
「叔父さん!」
ウジンの出現にソリはびっくりした。
「前を見て歩こうよ、もう〜。怪我したら大変だ」
ソリは一瞬、返事につまった。代わりに昔の出来事を蘇らせた。いつも一緒で仲良しだった友達のことだった。
何かにぶつかりそうになり、こうして助けられたことがあったのだ。
― また音楽のことを考えてたでしょ。私が捨て置いたら、怪我するところだったわ。
ソリは黙ってウジンを見つめた。
「…? 顔に何かついてる?」
「違います。昔、友達に同じことを言われたことを思い出したんです」
「友達?」
ソリは先に立った。
「いつもボケ〜ッとしてて、その子の体操服を着て帰っても―1度も怒りを見せませんでした」
「…」
「昔の友達に会いたいなあ」
ウジンはソリの横に並んだ。
「―連絡は取れないの?」
「はい。みんな引っ越してどこにいるか分かりません」
ソリの話にウジンはシム・ミョンファンの言っていた言葉を思い浮かべた。
「彼女には特別な魅力がある」
「…」
「演奏を続けていたら今とは違う人生だった。失われた時間を取り戻せないのは―本当に残念だ」
「…」
「あっ、そうだ」
突然、ソリが切り出してウジンはびっくりする。
「見て見て―見えます?」
ソリの左顎のところが赤くなっている。
そこを指さして言った。
「これ、練習でできたアザなんです」
「…」
ソリは浮き浮きした声で言った。
「バイオリニストみたいでしょ?」
ウジンは黙ってソリを見つめた。
ソリの言葉はバイオリンの絃の響きのようにウジンの心に宿った。
診療医やシム・ミョンファンの言葉も同様だった。それらのひとつひとつがウジンの心で呼吸して彼女の存在を膨れ上がらせて来ていた。
ソリは言った。
「どうしたんです?」
ウジンは答えた。
「可愛いから」
そう答えてウジンは先に歩き出す。
しかしソリは動けない。ボーッとそこに突っ立っている。
ウジンは振り返った。
「入らないの?」
言葉をかけても動かない。
「家に入ろう」
ウジンはソリのシャツの袖を引っ張って歩き出す。ソリは袖を引かれて家に入った。
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